2011年3月14日月曜日

箱根火山で群発地震 (続報)


群発地震はその後も続いていますが、「地震積算回数」や「深さとマグニチュードの時間変化」のグラフを見ると減衰の兆しが現れているように思えます。地殻変動に異常はないとのことです:

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2011年3月13日日曜日

計画停電対策にトヨタ・プリウス


東京電力は明日 3月 14日から計画停電を実施するとのこと。過去にこのブログに掲載した記事の中から参考になりそうなものを選んでみました。3日間の停電をプリウスのバッテリーと発電能力で乗り切った話などです:

radiko が被災地でも聴取可能に


地上波ラジオのサイマル配信 「radiko.jp」 の地域制限が解除されました。地震被災地でも関東 7局、関西 6局のラジオ放送を PC やスマートフォンで聴取できるようになりました。詳しくは以下で:

電源事情や通信事情の悪い被災地でどの程度役に立つのかわかりませんが、just in case。


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東北地方太平洋沖地震の写真 (続報)


『ボストン・グローブ』紙の “The Big Picture” が東北地方太平洋沖地震の写真の第 2集を掲載しています:

津波の水位の高さを如実に物語る写真です:

その他、写真ではありませんが ――

地震発生時に福島第 1原子力発電所の地下で作業をしていた人の証言です。「廊下が隆起するほどのものすごい揺れ」だったとのことで、同原発が大きなダメージを受けたことがうかがわれます:

先進国を襲った巨大地震。「日本人」を世界が注視しています:

日本発の津波がハワイ島に到達、コナの街中にある商店も水に浸かったようです:

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地軸がずれ、自転が加速 ― 東北地方太平洋沖地震で


3月 11日に発生した東北地方太平洋沖地震(M8.8)によって地軸がずれ、地球の自転速度が速まりました:

11日の地震によって本州を構成する地塊の一部が約 2.5m 東に移動し、地球の自転軸が 8cm ずれたとのことです (10cm と見積もる研究者もいます)。また、自転周期が 1.6 マイクロ秒短くなったとのことです。


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カランゲタン山が噴火 ― インドネシア


3月 11日、日本が大震災に襲われた数時間後、インドネシア北部 (というよりはむしろフィリピンに近い) セレベス海にある火山島のカランゲタン山(地図)が噴火を始めました。溶岩の流出や高温ガスの噴出(火砕流?)が起きているもようです:

カランゲタン山は標高 1784mで、昨年 8月にも噴火しています。


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原子力発電所の爆発の瞬間


日本の報道ではどういうわけか見かけない画像や動画が、海外のメディアには掲載されています。自主規制が行われているのでしょうか:

原発の周辺で警備に当たる警察官の服装:

以下の記事では、上から 1番目の動画に福島第 1原発 1号機の爆発の瞬間が写っています (36秒付近と 3分 30秒付近)。灰色の煙が地面を這うように広がったあと、爆発の衝撃波が広がり、噴煙が北に向かって流れていく様子が見てとれます。2番目の動画にも大量の噴煙が流れている様子が写っています:

NHK などの報道を私が見た範囲では、爆発の瞬間の動画はなく、爆発前と爆発後の骨組みだけになった建屋の比較写真しか使っていません。

この爆発で原発の従業員 4人が負傷したが、4人とも意識はあると報道されています。しかし、上掲の動画に写っている爆発の様子を見ると、もっと被害は大きかったのではないかとの疑念がわいてきます。

福島第 1原発から北に 3km 離れた場所にある病院で、患者と職員 90人のうち 3人を抽出検査したところ、3人全員が除染が必要なレベルの被曝をしていることが明らかになったと報道されていますが、爆発にともなう噴煙が北に向かって流れていく上記の動画と矛盾しません:

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2011年3月12日土曜日

東北地方太平洋沖地震の写真


『ボストン・グローブ』紙の “The Big Picture” が、昨日発生した東北地方太平洋沖地震の写真を集めています。日本のテレビや新聞では見たことのない写真や図がかなり含まれています:

12番の図: 昨年のチリ地震津波では三陸地方がもっとも大きな被害を受けました。今回の東北地方太平洋沖地震で起きた津波では、逆に、もっとも波高の高い部分が昨年のチリ地震の震源域に向かっています。

40番の写真: ありがとう、と伝えたいです。


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2011年3月11日金曜日

箱根火山で群発地震


今日の東北地方太平洋沖地震(M8.8)の直後から、箱根火山周辺で群発的な地震が発生しているとのことです。最大は M4.8:

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東北地方太平洋沖地震を受けて


【21:20 追記】 21:15 ごろから、東急田園都市線・中央林間駅に停車していた列車・2編成が 「回送」 として動き始めています。ただし、非常にゆっくりとした徐行運転です。


グーグルが災害に関する情報や被害状況を提供する特設サイトを開設しています。また、ニュージーランド・クライストチャーチの地震でも活躍した “Google Person Finder” も開始しています。詳しくは以下のグーグル公式ブログ(日本語)をご覧ください:

神奈川県・県央地区 (震度 5弱) の私の住まい周辺では、ざっと見て回った限りでは大きな被害はなかった模様です。私のところも、壁際に積み上げていた本の山が崩れた程度でした。東急田園都市線は地震以降まったく動いていません。

2011年3月9日水曜日

温泉の色が突然変化 ― 北海道釧路市


2月25日、釧路市山花にある温泉(地図)の色が突然、無色透明から茶褐色に変化しました:

湧出量や温度に変化はないものの、3月 4日に実施した検査では、酸性が強くなり鉄分が大きく増したという結果が出たとのことです。


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キラウエア山で新たな割れ目噴火 ― ハワイ (続報)


USGS 傘下の HVO(ハワイ火山観測所)の情報やニュース記事からその後の展開をかいつまむと ――
  • プウ・オオ火口とナパウ火口の間で発生した割れ目噴火は、休止と活動を繰り返しながら徐々に激しさを増している。溶岩を噴出している亀裂は長さ 200m にまで拡大。噴出する溶岩の高さは、当初の報道では 65フィート(約20m)と伝えられていたが、その後 80フィート(約25m)、100フィート(約30m)と徐々に高くなっている。
  • キラウエア・カルデラや東地溝帯での地震活動は、きわめて高いレベルが継続している。傾斜計のデータでは、山体の収縮傾向は減速している。
  • 二酸化硫黄ガス(亜硫酸ガス)の噴出量はこれまで 700トン/日だったものが 10000トン/日を上まわっている。地表に近づいたマグマが揮発成分にきわめて富んでいることを示唆している。
  • 今回の噴火が新たなマグマの貫入によるものか、これまでプウ・オオ火口やハレマウマウ火口の下にあった従来のマグマが地中に新たなできた亀裂を通って迂回したものかはわかっていない。ただし、今回の割れ目噴火の直前に、ハレマウマウ火口内で溶岩湖の湖面が急激に低下した現象や、プウ・オオ火口で崩落が起きたことなどは後者を示唆している。

以下の写真は HVO のサイトに掲載されているキラウエア山の写真です。手前で噴煙を上げているのがプウ・オオ火口、噴煙の左上方(黒い字で少し見にくい)がナパウ火口です。この 2つの火口の間で今回の割れ目噴火が起きています。地平線の中央やや右にハレマウマウ火口から上がる噴煙が写っています。この写真に写っている広大な地域ですら、キラウエア山の一部にすぎないのですからから驚きです:

今回の噴火の影響でしょうか、ハワイへの観光客は増加しているとのことです。ただし、ボルケーノ国立公園は以下のような立ち入り禁止区域を設けています:
Closure Update - Monday, March 7, 2011: Chain of Craters Road, all east rift and coastal trails, and Kulanaokuaiki Campground are closed until further notice.

None of the current eruptive activity can be seen from within the park.

通行止め 最新情報 (2011年 3月 7日付): チェーン・オブ・クレーターズ・ロード、東地溝帯と海岸沿いのすべての道、クラナオクアイキ・キャンプ場は別途通知するまで閉鎖する。

公園内から現在の噴火活動を見ることは一切できない。

チェーン・オブ・クレーターズ・ロードは、ボルケーノ・ビジター・センターやハレマウマウ火口のあるキラウエア・カルデラから山を下って海岸沿いの溶岩が海に流れ込む地点までを結ぶ道路です。道に沿って、活動を休止した火口がいくつも木立越しに見え、また中腹付近からは、溶岩が海に流れ込むところから立ちのぼる水蒸気を遠望することができます。この道路が通行止めになるということは、ハワイ島観光の目玉が一つ失われることだ思います。

私もレンタカーを運転してチェーン・オブ・クレーターズ・ロードを何度か通ったことがあります。時差ボケのせいで、一瞬ですが居眠り運転状態になり、蛇行して路肩に飛び出し怖い思いをしたこともあります。


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2011年3月8日火曜日

ケン・リング氏の地震予報 ― ニュージーランド


ニュージーランドでケン・リング (Ken Ring) 氏の地震予報が話題になっています。リング氏は、月と地球の位置関係をもとに気象パターンの長期予報を行っている人物で、通称「ムーンマン」(Moonman)。あるニュース記事には 「神秘主義者まがいの数学者」(quasi-mystic mathematician) とも紹介されています。気象台の予報よりもリング氏の情報を頼りにする農業従事者も多いのだそうです。

以下は、リング氏のウェブサイトと同氏の地震予報の方法を説明したページです:

リング氏は、昨年 9月 4日に起きたカンタベリー地震(M7.0)を、ラジオ番組のインタビューで的確に予報していたのだそうです。

そして、今年 2月 22日にクライストチャーチを襲った M6.3 の地震についても、約 1週間前の 14日にツイッターで次のようなメッセージを発信していたということです:
Potential earthquake time for the planet between 15th-25th, especially 18th for Christchurch, +/- about 3 days. Short... and sharp.

15日から 25日の間に地震発生の可能性あり。クライストチャーチについては特に 18日± 3日程度。急激で・・・激しい。

さらに、今回のクライストチャーチの地震の 4日前、すなわち 2月 18日には次のような報道やブログ記事がありました:

上記の記事が伝えているのは、リング氏が昨年 9月のカンタベリー地震の後に自身のウェブサイトに掲載した次のような地震予報です:
Next year, the morning of 20 March 2011 sees the South island again in a big earthquake risk for all the same reasons. This date is the closest fly-past the moon does in all of 2011. The node arrives on the 20th at 9.44am. As that date coincides with lunar equinox this will probably be an east/west faultline event this time, and therefore should be more confined to a narrower band of latitude. The only east/west fault lines in NZ are in Marlborough and N Canterbury. All factors should come together for a moon-shot straight through the centre of the earth and targeting NZ. The time will be just before noon. It could be another for the history books.

来年、つまり 2011年 3月 20日の午前、(ニュージーランドの)南島に再び大地震のリスクがある。根拠はこれまでと同じだ。この日は、月が 2011年中ではもっとも(地球に)近づく日である。交点(node)は 20日の午前 9時 44分にやってくる(注 1)。この日は “lunar equinox” でもあるので(注 2)、今度はおそらく東西方向の断層による地震になるだろう。東西方向の断層ということから、(震源は)もっと狭い緯度の範囲に限定される。ニュージーランドで東西方向の断層があるのは、マールボロ地方とカンタベリー地方の北部だけである。すべての要因が重なって、月の力が地球の中心を一直線に貫いてニュージーランドを標的とするはずだ。(地震が発生する)時刻は正午直前だろう。この地震は、歴史書に記録されるもう一つの地震になるかも知れない。

マールボロ地方とカンタベリー地方については、以下の地図を参照してください。地図中の 「12」がマールボロ地方、「14」がカンタベリー地方です。後者の中心都市がクライストチャーチです:

3月 20日に月が地球に接近することについては、このブログの「エクストリーム・スーパームーン」(3月 3日付)、「エクストリーム・スーパームーン (補足)」(3月 4日月)、「エクストリーム・スーパームーン (補足-2)」(3月 4日付)を参照してください。

リング氏が 3月 20日に起きると予報した地震が、実際には約 1ヶ月早く 2月 22日に起きてしまったのか、あるいは 3月 20日にさらに別の大地震がおきるのかは定かでありません。

リング氏の地震予報については、当然のことながら科学者から批判が噴出していますが、それについては稿を改めて紹介したいと思っています。


(注 1) 原文の “node” は、天文学では交点 ―― 天体の軌道が基準面と交わる二つの点 ―― を意味しています。天体が基準面(通常は太陽の軌道を含む黄道面)を南から北に横切る点を昇交点、逆を降交点と呼びます。月が黄道面を北から南に横切る降交点通過が日本時間 19日午前 11時 7分頃に起きます。しかし、これをニュージーランドの夏時間(日本時間+4)に換算しても、リング氏の書いている「20日の午前 9時 44分」とは合致しません。その他、月の視赤経が 12時 00分となるのは 20日 午前 8時 26分ごろ、視黄経が 180度 00分となるのは 20日の 午前 5時 04分ごろ(ともに日本時間)で、やはり合致しません。また、文脈上は “The node” を月が地球に接近する時間帯の「中心時刻」 と訳すことも可能ですが、月の近地点通過は日本時間で 20日の午前 4時 9分で、やはりリング氏の書いている時刻とは一致しません。

(注 2) “lunar equinox” は、月の昇交点通過や降交点通過を意味していると思われますが、「注 1」で書いたように、日付や時刻が一致しません。ちなみに、占星術では黄道面に対する月の昇交点をドラゴンヘッド(Dragon's Head)、降交点をドラゴンテイル(Dragon's Tail)と呼んで、特別の意味を見いだしているようです。


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2011年3月7日月曜日

キラウエア山で新たな割れ目噴火 ― ハワイ


これまで粛々と溶岩を流し続けていたハワイ島のキラウェア山は、2月中旬頃から群発地震やハレマウマウ・クレーター内の溶岩湖の湖面上昇など、やや不穏な動きを見せていました。そのキラウエア山で、この週末に大きな変化がありました。3月 5日、プウ・オオ・クレーターで崩落が発生、それとほぼ同時にハレマウマウ・クレーターでは溶岩湖の湖面が急速に低下(動画)。続いてプウ・オオ・クレーターとナパウ・クレーターの間に新たな亀裂ができて、割れ目噴火が始まりました。溶岩は高さ約 20m まで噴き上がったとのことです:

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2011年3月6日日曜日

2つの太陽出現 ― 中国


中国で太陽が二つに見える現象が撮影されました:

最近の出来事らしいのですが、上掲記事には場所や日時が記載されていません。科学者は大気の屈折現象ではないかと推測していますが、今までにないパターンで説明に窮しているようです。


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X-37B 2号機 打ち上げ


3月 5日、アメリカ空軍が開発中のスペース・プレーン X-37B の 2号機が、フロリダ州ケープ・カナベラルから打ち上げられ軌道にのりました。悪天候による落雷を避けるため、当初の予定より 1日遅れの打ち上げとなりました:

X-37B は 270日間宇宙にとどまる能力があると発表されていますが、1号機の飛行が順調だったためか、空軍の幹部は 2号機がそれ以上の期間飛行を継続する可能性を示唆しています。

空軍は依然として X-37B の使用目的を明らかにしていません。多くの専門家は、敵状の偵察が目的であろうという点で一致していますが、以下のような記事も出ています:

5つの説とは次のようなものです:
  1. 偵察衛星のテストあるいは打ち上げ
  2. 敵国の衛星の除去 ・・・ スプレー式の塗料を使って
  3. “Rods from God” を敵地の目標に向かって投下する
  4. われわれが想像だにしない何か
  5. まったく何もしない

「2」 について: 黒色の塗料を敵の衛星に吹き付けると、その衛星は短時間でオーバーヒートし機能停止するのだそうです。衛星を物理的に破壊するのとは違って、単純な故障にしか見えないところがミソだそうです。

「3」 は、“Rods from God” (神の投げ降ろす棹) と呼ばれるタングステン製の棒を宇宙から投下することによって、地下深くに建造された敵の基地を破壊するシナリオです。実現すれば地下に基地や核兵器製造施設を持っているとされる北朝鮮や、洞窟に潜伏しているアフガニスタンのタリバン勢力にとっては大きな脅威となることでしょう。

「4」 について: 「1」・「2」・「3」などの目的は、再使用可能なスペース・プレーンよりも、もっと単純な在来の衛星の方がうまく、かつ低コストで実行できるという考えから発しています。宇宙空間から何らかの物を回収するにしても、単純なカプセルとパラシュートで十分。そして、そのような 1度のミッションにしか使えない「使い捨て」の装備の方が建造費がはるかに安く上がる。X-37B のように帰りの燃料を積み込んで軌道まで上がり、自動操縦で地球に帰還する再使用可能な宇宙船が必要だとは考えられない。だから、われわれ部外者が想像できないような目的があるに違いない、という説です。

「5」 は「4」の延長線上にある考えと言ってよいかも知れません。専門家は 「スペース・プレーンでなければ達成できないようなミッションを見いだすのは困難だ。宇宙兵器も、地上に配備するわれわれのテクノロジーに比べれば実用的価値に乏しい」、「要するに、シャトルのユニークな能力は軌道から地上に帰還できることだけだ」、「ペンタゴン(アメリカ国防総省)は、高価でありながら役に立たないと知りつつ、何十億ドルもの予算をスペース・プレーンのコンセプトを生き延びさせるためだけに使っているのではないか」と語っています。


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隕石中に地球外生物の化石!?


1864年にフランスに落下したオルゲイユ隕石の中に地球外生物の化石を発見したと、NASA・マーシャル宇宙飛行センターの宇宙生物学者リチャード・B・フーバー博士が発表しました:

オルゲイユ隕石は炭素質コンドライトと呼ばれる希少なタイプの隕石です:

以下は、発表された論文に掲載されている顕微鏡写真からの抜粋です。フィラメント状あるいはリボン状の構造が見られます:

これまでにも、隕石の中に地球外生物の痕跡を発見したという発表は何度も行われています。フーバー博士自身も 2007年に今回とは別の論文を発表しています。しかし、これまででもっとも大きな反響を呼んだのは 1996年に NASA が発表したアランヒルズ隕石 ALH84001 についてのものでした。NASA が周到に検証した上で発表したにもかかわらず多くの反論・批判が寄せられ、ALH84001 の内部に見つかった「微化石」や化学的な痕跡が地球外生物のものなのか否かは、現在でも結論が出ていません。

ALH84001 のときに出された反論や批判は 2つのポイントに集約できます。一つ目は、「微化石」のように見える構造や化学的な痕跡は、隕石が地球に落下した後に隕石内部に浸入した地球上の物質や生物によって「汚染」された結果ではないか、という疑問。二つ目は、それらの構造や化学的な痕跡が生命活動以外でも生じうるのではないか、という疑問です。

一つ目の疑問については、フーバー博士は次のように答えています ――
エネルギー分散 X線分光分析(EDS)によると、フィラメント状の「微化石」の鞘(さや)は炭素に富んでおり、その内部は硫酸マグネシウムなどの炭素質コンドライトに特徴的な鉱物で充填されている。フィラメントのサイズ、構造、微細な形態的な特徴は既知の鉱物と合致しない。

地球上の鉱物や生体物質 (たとえば、マグネシウム硫酸塩の針状結晶、フィラメント状のシアノバクテリア、ミイラやマンモスの毛髪や組織、シアノバクテリア・三葉虫・琥珀に閉じこめられた昆虫のなどの化石) に対して EDS を行うと、数千年経過した生体物質でも窒素の残存が検出可能であるのに対して、太古の化石では窒素が検出できない。今回見つかったフィラメント状の「微化石」の窒素含有率はほとんどの場合で検出限界以下であった。

つまり、今回発見された「微化石」は隕石が落下(1864年)した後に形成されたものではなく、太古から隕石内部に存在していたというわけです。

二つ目の疑問については、論文所載の顕微鏡写真に示されている複雑な構造を見る限りでは、それが生命活動以外で形成されるとは考えにくいのではないでしょうか。

いずれにせよ、アランヒルズ隕石のときと同じように科学者たちの間で激しい論争が起きることでしょう。今後の展開に注目していきたいと思っています。


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2011年3月5日土曜日

今度は日本でクジラの集団座礁 ― 茨城県鹿嶋市


ニュージーランドのクライストチャーチを襲った大地震の 2日前に、同国南島で 100頭を超えるゴンドウクジラの集団座礁がありましたが(2月 24日付「ニュージーランドでクジラの集団座礁」参照)、今度は日本の茨城県です:

集団座礁が発見されたのは 3月 4日の夜。翌 5日朝から救出作業が行われ、22頭が海にもどされたとのことです。

地元の人は 「過去にも打ち上げられたことはあるけれど、これほど多いのは初めて」 と語っています。

ニュージーランドで座礁したのは “pilot whale”(コビレゴンドウかヒレナガゴンドウ) でしたが、今回はカズハゴンドウ(melon-headed whale)。前者が球状の頭部を持ち成獣の体長が 3~6m あるのに対して、後者はほっそりとした頭部を持ち成獣の体長が 2m 台と小形です。


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2011年3月4日金曜日

エクストリーム・スーパームーン (補足-2)


近地点(Perigee)の月と遠地点(Apogee)の月ではどれほど大きさが違って見えるのか、写真で比較しているページがあります:
  1. Apogee Moon, Perigee Moon
  2. Perigee Moon, Apogee Moon
  3. Apogee Moon, Perigee Moon

このように写真を並べて比較するとその差は明らかですが、実際に空に浮かぶ単独の月を眺める場合にはそれほどでもありません。ふだんから月を見慣れている人以外は、「そう言われればいつもより大きいかな」程度にしか感じないかも知れません。月の見かけ上の大きさは、地球との距離の遠近以外に、地平線からの仰角や大気の屈折なども大きく影響します。


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エクストリーム・スーパームーン (補足)


Image Credit: NASA
3月 3日付記事 「エクストリーム・スーパームーン」 で、前回のエクストリーム・スーパームーンは 18年前であると紹介しました。調べてみると、18年前の 1993年 3月 8日 18時に月が 35万6522km まで地球に近づき、18時 46分に満月になっています (いずれも日本時間、1993年版 『天文年鑑』、誠文堂新光社)。

1993年 3月 8日前後には、日本でも世界でも大きな被害地震は発生していません。

この年は、気象の面では世界中で異変が起きています。日本では 「平成の大凶作」 と呼ばれる冷害が起き、米の生産が前年の 8割にまで落ち込みました。以下は、東京大学理学部・地球惑星物理学科の資料からの引用です:
我が国で最近起きた異常気象の典型的な例としては、1993年の大冷夏が挙げられます。 あの年は梅雨が明けないままで、米は大凶作。政府は食糧政策の転換を強いられ、米の輸入が解禁されたのでした。 その夏は日本の北方に冷たいオホーツク海高気圧がしばしば発達し、それにともなう「ヤマセ」と呼ばれる冷たく湿った北東風は、北・東日本の太平洋側に著しい低温と日照不足をもたらしたのでした。

(中略)

その翌年、1994年の夏は一転して猛暑になりました。 亜熱帯の太平洋高気圧が7月上旬から日本付近へ強く張出し、東京でも連日最高気温が35℃を超える暑さが続き、最低気温も25℃を下回らない熱帯夜が続きました。 なぜ太平洋高気圧が異常に発達したかの正確な原因はまだ不明ですが、インド洋で起きたダイポール現象の遠隔影響ではないかとも考えられています。

また、カテゴリー 4のスーパー・タイフーンで最大風速が歴代 3位の 「平成 5年台風第 13号」 が上陸し死者・行方不明者 48名、負傷者 396名がでています。

一方、アメリカでは 6月から 8月にかけてミシシッピ川の大洪水が起き、農業生産に甚大な被害が出ました。

今年は、すでに小麦など食料品の値上げが相次いでいますので、追い打ちをかけるような異常気象が起きることのないように願いたいものです。


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2011年3月3日木曜日

エクストリーム・スーパームーン


「スーパームーン」(SuperMoon)という言葉は、月の近地点通過と満月(あるいは新月)が時間的に接近して起きることを意味しています。最近は天文学に携わる人たちの間でも使われるようになったとのことですが、もともとは占星術の分野でもう少し狭い意味に使われていたのだそうです。

このスーパームーンが近々見られます。日本時間では 3月 20日の午前 3時 10分に満月となり、その 1時間後の 4時 9分に月が近地点を通過します。地球の中心から月まで測った距離の平均は 38万4400km ですが、3月 20日にはこれが 35万6580km にまで縮みます。この近日点通過時の月と地球の間の距離が 18年ぶりという近さのため、単なるスーパームーンではなく、「エクストリーム・スーパームーン」 と呼ばれています (「エクストリーム」は、「極端な」、「最高の」、「強烈な」、「行き過ぎの」、「異常な」などを意味する形容詞です):
  1. Extreme Super (Full) Moon to Cause Chaos?
  2. March SuperMoon could bring trouble to Earth

上掲(1)は AccuWeather という気象予報会社のサイトに掲載された記事ですが、それによると、いわゆる「ニュー・エージ」系のトンデモ情報では、今回のエクストリーム・スーパームーンが強い地震や嵐、異常な気象パターンをもたらすと喧伝されているとのことです。そのような状況を紹介した上で、記事の筆者は次のように述べています(以下意訳):
1955年、1974年、1992年、2005年にもスーパームーンがあった。そして、それらの年には極端な気象があった。これは偶然だろうか。ある人は偶然だと言うだろうし、偶然ではないと言う人もいるだろう。私はここではどちらかの肩を持つことはせず、このような話を信じる場合もあれば信じない場合もあると言うにとどめておこう。しかし、一科学者として私には多くの疑問があり、答えを見つけようと思っている。

たとえば潮汐現象など、月が地球に影響を与えていることを示す科学法則があることは誰でも知っている。また、完全に証明されているとは言えないが、満月の時期の(人などの)異常な行動も、月が地球に与える影響のせいであるという説もある。スーパームーンが極端な気象を助長することはありうるのだろうか。

フェースブック上の AccuWeather のファン・ページのメンバーである Daniel Vogler は 「一番最近スーパームーンがあったのは 2005年の 1月 10日だったが、その直前に M9.0 のインドネシア地震が起きている。その時のエクストリーム・スーパームーンは新月だった。用心した方がいい。何か大きなことが 3月 20日前後に起きるかも知れない(私の推測では ±3日)」 と書いている。

何が起こるのだろうか。地震だろうか。火山噴火だろうか。成り行きを見守るしかないのだと思う。

( 訳注: インド洋大津波を起こしたスマトラ島沖地震は、日本時間 2004年 12月 26日 午前9時58分に発生、マグニチュード 9.3; 日本時間 2005年 1月 10日 19時に月が近日点を通過、同夜 21時 03分が新月 )

以下の記事は、株式市場への影響について書いています。月の位相(満ち欠け)や地球との距離が株式市場に影響することは通常はないが、現在のような不安定な経済情勢では何らかの影響があるかも知れない、とのことです:

トンデモ説を弄ぶ人たちや、フィアモンガー(fear monger)、ドゥームセイヤー(doomsayer)と呼ばれる類の人たちが唱えるような、月の位相や距離と地球上の大災害を短絡させる考えには私は懐疑的です。3月 20日前後には、何かが起きるかも知れないし、起きないかも知れない。いずれにせよ、今月の満月はふだんよりも大きく見えることだけは確かです。


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2011年3月2日水曜日

ニイラゴンゴ山に噴火の兆候? ― コンゴ民主共和国


アフリカ中央部・コンゴ民主共和国(隣接するコンゴ共和国とは別)東部にあるニイラゴンゴ山(Nyiragongo、地図)が近々噴火するのではないか、との報道があります。まだ 1紙のみなので信憑性は「?」ですが:

上記記事には “Previous eruptions in recent times may be dwarfed by the expected next eruption of Mt. Nyiragongo”(ニイラゴンゴ山で次に起こる噴火に比べれば、これまでの噴火は小規模に見えるかも知れない)との記述があります。

ニイラゴンゴ山は、大地溝帯 ― アフリカ大陸が東西に引き裂かれている現場 ― にある火山です。

上記記事は 2月 18日付ですが、このブログでたびたび紹介している 『ボストン・グローブ』 紙の “The Big Picture” が、2月 25日付でニイラゴンゴ山の特集を組んでいます。すばらしい写真が多数掲載されており、一見の価値ありです。写真が撮影されたのは昨年 6月です。特に興味深いのは、火口底の溶岩湖の縁が盛り上がって皿か器のようになっている様子です:

21枚目の写真には、溶岩湖の縁に耐熱服を着た人が小さく写っています。この人の大きさと比べると、他の写真ではそれほど大きくは感じられなかった溶岩湖がかなり大きいことがわかります。


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2011年3月1日火曜日

X-37B 2号機の打ち上げ迫る


アメリカ空軍が開発中のスペース・プレーン X-37B。その 2号機の打ち上げが 3月 4日に予定されています:

X-37B の 1号機は昨年 4月に打ち上げられ、225日間にわたる軌道飛行を終えて 12月 3日に帰還したばかりです。その 3ヶ月後に 2号機の打ち上げを行うということは、この X-37B プロジェクトの優先度が高く、開発が急がれていることを示しているのではないでしょうか。

アメリカ空軍は、X-37B の目的を一切明らかにしていません。同様に情報は限られていますが、ロシアと中国も対抗してスペース・プレーンの開発を行っているようです。

アメリカによる X-37B の打ち上げが伝えられた当初、ロシア軍の高官が 「ロシアも X-37B に対抗するスペース・プレーンを開発する必要がある」 という主旨の発言をし、ロシアが対抗手段を持っていないことを窺わせました。以下のようにロシアがスペース・プレーンを開発することに及び腰であることを伝える報道もありました:

さらに、X-37B に対抗できるスペース・プレーンを開発する能力がロシアにあるのか疑問視する報道もありました:

しかし、その後はロシアもスペース・プレーンを開発中であるという報道が増えています:

もう一方の中国については、スペースプレーンを開発中である、あるいはすでにテスト飛行に成功したという報道があります:

上記の 3番目の記事は、今年 1月の胡錦涛国家主席の訪米に合わせて、中国(軍)が第 5世代ステルス戦闘機「殲-20」の姿をリークし世界の注目を集めていたころ、その裏では、「中国のスペース・プレーンの試作機がテスト飛行に成功した」 という香港紙の報道についてのネット上の書き込みが当局によってせっせと削除されていた、と伝えています。


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レイキャネス半島で群発地震 ― アイスランド


アイスランド南西部・レイキャネス半島にある Kleifarvatn 湖(地図)を中心とした地域で、2月 24日頃から群発地震が起きています。27日にはマグニチュード 4 クラスを含む地震が 500回以上発生し、首都レイキャビクでも揺れを感じました:

レイキャネス半島は大西洋中央海嶺がアイスランドに上陸する地点にあり、地震が多発するところです。アイスランド気象局の専門家は、火山活動の兆候は見られないと語っています。群発地震は 27日をピークに終息に向かっているとのことです。


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