2008年12月11日木曜日

今年最大の満月

日本時間12月13日(土曜日)午前1時37分に満月となりますが、この満月、非常に大きく見えるはずです。理由は次のとおりです ――
地球の周囲を回る月の軌道は楕円形をしています。このため、月と地球の距離は周期的に変化します。月と地球が最も近づく点が近地点(Perigee)、最も遠くなる点が遠地点(Apogee)です。月が近地点近くにあるときに満月を迎えると、距離が近い分、その満月は大きく見えることになります。
来る13日の満月は午前1時台、月が最も地球に近づく(近地点通過)のは午前7前後、で時間的に非常に近接しています。そのため、満月の見かけの大きさ(視直径)が33′30″にもなります。近地点通過時には、地球と月の距離は35万6567kmになります。地球-月の平均距離38万4401kmと比べると約8%も近づいていることになります。

下記の写真は、2006年の満月を撮影したものです。左側が遠地点、右側が近地点にあるときの満月です。大きさの違いがどの程度のものか、おわかりいただけると思います:
また、今回の満月のときには月の赤緯が最北となります。「月の赤緯が最北」とは、天球上で月と北極星の距離が最も短くなること、すなわち、月が南中する(真南に来る)ときの高度(仰角)が最も高くなることを意味します。満月が南中するするのは真夜中ですが、このとき、月は空の非常に高いところから地上を照らすことになります。

関東大地震(関東大震災)や兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)などの大地震では、地震の前に月が大きく見えたという証言が残っています。このため、今回の満月に関連して「これは地震の前兆ではないか」という類の投稿が、地震前兆関係の掲示板などで増えることが予想されます。しかし、今回満月が大きく見えるのは、純粋に天体力学的計算によって、あらかじめわかっていることですから、心配することはないと言えます。