2009年5月19日火曜日

火星の枕木(まくらぎ)

5月15日付の記事「火星人の頭蓋骨(?)」に関連して、火星探査車が撮影したおもしろい物体をもう一つ紹介します。「頭蓋骨」の方は探査車 "スピリット" が撮影したものでしたが、こちらはもう一方の探査車 "オポチュニティ" が、 "エンデュランス" と名付けられたクレーターの傍らで火星到着から 115日目に撮影したものです:
両端がスパッと直角に切りそろえられた枕木のようなものが、画面の左部分に写っています。また、薄黒く見えるオポチュニティの車輪の跡がこの「枕木」と交差しており、オポチュニティが「枕木」の上を通過したことがわかります。この「枕木」を右方向に延長したところに同じような色調と模様の岩石が地表に一部露出していることから、「枕木」も同類の岩石がたまたまこのような形になったものと推定されます。なお、地平線近くに白く輝いているものは、オポチュニティが火星大気圏突入時に使い、その後分離・落下した耐熱シールドです。

この「枕木」については、例によって陰謀説や隠蔽説を事とする人たちが好き勝手なことを書いています。以下はその例です:
冒頭のリンク "Press Release Images: Opportunity 24-May-2004 (NASA の報道発表)" でも明らかなように、これらの写真は NASA が報道機関向けに発表した資料に含まれているものです。また、この発表で使われた写真のオリジナル画像(つなぎ合わせてパノラマ写真にする前の未加工画像)は、火星から届くとほぼリアル・タイムで NASA のサイトで公開されています。それが、陰謀説・隠蔽説を事とする人たちにかかると、NASA が隠蔽していた画像が匿名の人物によってリークされたということにされてしまうわけです。まったく、こういう人たちには付ける薬がありません。