2010年3月23日火曜日

氷河の下の火山が噴火 ― アイスランド

3月 10日付「氷河の下の火山に噴火の兆候 ― アイスランド」の続報です。現地時間の 3月 20日(土曜日)深夜に噴火が始まりました。1986年に日本の伊豆大島で発生し全島民島外避難に至った山腹の割れ目噴火に似ていますが、それに比べると規模は小さいようです。

降灰とともに、噴火の熱で氷河(氷冠?)が溶け泥流が発生する可能性もあるため、数百人が避難しています。付近を流れる川の水温が突然数度上昇したとの報道があります。

21日(日曜日)には、噴煙によってジェットエンジンに不具合が発生する恐れから、終日航空機の飛行が禁止されましたが、徐々に平常に戻っています。噴煙は 8000m 上空まで達したとの情報があります。

噴火が起きている割れ目は、北東方向に向かって徐々に伸びているようです。当初は長さ 0.5km とされていましたが、報道によっては 0.8km、2km としているものがあります。

以下はアイスランド気象局(Icelandic Met Office)が 3月 21日付で発表した “Eruption on Fimmvörðuháls”という資料の「適当」訳です:
Eyjafjallajökull での地震活動は過去 3週間にわたって活発化しており、震源の深さは 7km から 10km であった。

3月 19日に山頂火口の東で地震が群発し始め、その深さは 4km から 7km であった。3月 20日(土曜日)、地震活動は東方向に移動しながら地表に近づいた。

同日 22時 30分(グリニッジ標準時)、地震活動がわずかながら増加したことが、山頂火口から 20km 以内に設置された 3つの観測ステーションによって検知された。それから 2時間ほどの間に噴火の報告が届き始めた。

噴火は 20日(土曜日)の 22時 30分から 23時 30分の間に始まった。噴火をおこしている裂け目は長さ 0.5km ほどで、Eyjafjallajökull アイスキャップ(氷冠、山頂部を覆う万年雪)の東にある Fimmvörðuháls の北側にある。

21日(日曜日)朝 7時から 8時ごろまで地震は増加し続けたが、それが最初のピークとなり、10時ごろには減少した。その後 1時間で新たなピークに達したが、それ以降は火山性地震は増加と減少を繰り返している。

大規模な降灰は観測されていない。噴煙の規模は小さく、これまでのところアイスランド気象局の気象レーダーに写っていない。

AP通信が配信した噴火の動画です:

昼間に撮影された噴煙の写真があります。夜間の映像ではよくわからなかった噴煙の様子です:

噴火を伝えるワシントンポスト紙の記事です。スライド・ショーがあります:

前回の記事でなんと読むのかわからないと書いた地名 “Eyjafjallajökull” あるいは “Eyjafjallajoekull” についてですが、読売新聞は「エイヤフィヤトラヨークトル」、CNN の日本語版は短く「エイヤフィヤトラ」と書き、ワシントンポスト紙は 「AYA-feeyapla-yurkul」と発音を表記しています。読売新聞などの読み方を信ずるならば、アイスランド語の “ll”は “tl” に近い音を表していることになります。


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