報道によると、8月 20日にニュージーランドで発生したクジラの大量座礁について電子メールで問い合わせを受けたクマール博士は、「このクジラの大量座礁は、7日以内に起きるインドネシアの火山噴火と 2週間以内に起きる地震の前兆である」 と回答したとのことです。
はたして、8月 29日にインドネシアのシナブン山が 410年ぶりに噴火し、9月 4日にニュージーランドで大地震が発生しました (注: 発生時期は予測よりわずかに遅れています)。
クマール博士の専門は解剖学で、KS ヘッジ・メディカル・アカデミーの教授(記事によっては学部長)のようですが、アマチュア・ナチュラリストという肩書きも散見されます。以下は長いページですが、その中の “A LITTLE BIRD TOLD ME(小さな鳥が教えてくれた)” というタイトルの文章に、博士が動物の行動に興味を持つようになったきっかけが書かれています:
クマール博士がなぜ注目されているかというと、これまでにもクジラ類の座礁情報などをもとに数々の自然災害を予知し的中させてきているからです。
博士を有名にしたのは 2004年の出来事です。同年の 11月末、オーストラリア・タスマニア島で 120頭、ニュージーランド・北島のコーラマンデル(Coromandel、地図)で 50頭のクジラがほぼ同時に海岸に乗りあげ、ほとんどが死ぬという事件がありました。2004年 12月 4日、博士は米国・プリンストン大学が運営するメーリング・リストに次のようなメールを配布しました:
過去何年間にもわたって確認してきた私の観察結果によると、世界各地で散発的に発生するクジラやイルカの集団自殺は、電磁場座標の変化や擾乱、さらに、これから起ころうとしている地殻構造の再配置と何らかの関係がある。
地震の発生日と発生地点を追跡記録した結果、クジラ類の大量座礁から通常 1~2週間以内に大きな地震が発生することがかなり確実であると私は考えている。
そのような海棲哺乳類(この場合はクジラのこと)の大量死がオーストラリアの海岸で起きたとの先週の報道について、私は警告の意味を込めて書いた。数日のうちに地球上のどこかで巨大な打撃(地震)があっても、私は驚かないだろう。
クジラの群の異常な「死の願望」とその不可避の結末である地震との間の関係については、さらに熱意に満ち先入観にとらわれない研究が必要であろう。
このメールの 3週間後、スマトラ沖大地震(M9.1)とインド洋大津波が発生しました (注: これも「1~2週間以内」という記述から少し遅れています)。
「1~2週間以内」という時期の指定はあるものの、「地球上のどこかで」という場所の指定は実質的に何も言っていないに等しく、本当に予知が的中したと考えてよいのか疑問が残ります。しかし、それ以後もクマール博士は数々の自然災害を予知してきたらしく、検索すると過去の報道記事がいくつか見つかります。インドのメディアの中には、クジラ類座礁のニュースが伝わるとクマール博士に見解を求めるという慣行があるところもあるようです。以下は報道記事の例です:
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