2010年1月29日金曜日

吾妻山で火山性微動

気象庁が発表した 「吾妻山の火山活動解説資料」 によると、29日 05時頃に吾妻山で火山性微動を観測したとのことです:
火山性微動が観測されたのは 29日 04時 56分 および 05時 04分で、継続時間はそれぞれ 1分 54秒と 32秒。火山性微動の発生は 2004年 11月 23日以来。

今のところ 「今回の火山性微動の活動に伴う新たな噴気や地熱によると思われる融雪域等の変化は確認されませんでした」 、「吾妻山の噴火警戒レベルは1(平常)が継続しています」 とのことです。

潮汐による地震で巨大地震を予知 (続報)

このブログの 1月 7日付記事 「潮汐による地震で巨大地震を予知」 で紹介した日本人研究者の研究が、日本の新聞にもようやく掲載されました。以下は 29日付『読売新聞』の記事です:
この研究のポイントは、 「やや規模の小さい地震が潮汐力の強いときに頻発するようになれば、大地震を引き起こす地殻のひずみが、その地域でたまっている可能性があることを示す」 という点です。あらゆる地震が潮汐力の影響で発生しているというわけではなく、ある条件下では潮汐力が地震発生の引き金となりうるということです。

なお、1月 7日付の記事にも書きましたが、この種の研究成果が発表されると、トンデモ説を弄ぶ人たちが研究内容をよく理解することなしに、勝手な拡大解釈をおこないますので注意が必要です。詳しくは、1月 7日付の記事の末尾をご覧ください。


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リュウグウノツカイ また 2匹漂着 ― 石川県羽咋市

「リュウグウノツカイ・ラッシュ」が止まりません。1月 12日付「さらにリュウグウノツカイ漂着 ― 石川県羽咋市」と 1月 20日付「リュウグウノツカイの漂着続く ― 石川県羽咋市」で紹介したのと同じ羽咋市千里浜海岸で、28日、新たに 2匹のリュウグウノツカイが漂着しているのが見つかりました。2匹とも体長約 4m。千里浜海岸だけに限ってもこれで 6匹目です:
同時に2匹が見つかるケースが何件かありますが、これは漂着と繁殖行動の間に何らかの関係があるからでしょうか。


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2010年1月28日木曜日

中国で「大地震近い」の噂

宏観異常による地震予知の本家・中国で「大地震が起きるのでは」との噂が広まっています。きっかけは多くの人が目撃した「筋状の多くの雲が平行に並ぶ現象」。さらに「井戸の水位が上昇しはじめ、あふれだした」、「冬眠しているはずの蛇が大量に、地面を這っていた」との情報も。当局が調査したところ、雲については「通常の気象現象として解釈できる」、井戸の水位については「付近の工事のため地下水脈が変化したことが原因」、ヘビについては「騒音に驚いた蛇が巣から出てきた可能性が高い」とのことです:
日本のわれわれも教訓とすべき点は、地震の前兆と決めつける前に他の原因がないかよく調べることと、安徽省馬鞍山市地震局が説明しているように「大地震の前に …… 多くの種類の動物が反応を示すことが知られている。冬眠中の蛇だけが活動することは、考えられない」という点でしょう。地震前兆関係の掲示板やブログでしばしば見受けられますが、原因をよく調べることもなしに、一つの「異常」だけを取り上げて地震が来ると騒ぐのはやめてほしいものです。

スピリットの脱出を断念

火星探査車・スピリットは、右前輪が動かなくなるなど満身創痍になりながらも、火星に着陸して以来 6年を超える期間(当初の予定は着陸後 90日間でした)にわたって活動を続けていたのですが、とうとうこの日がやって来てしまいました。

スピリットは、昨年 5月にトロイと名付けられた砂地に車輪がスタックして動けなくなっていました。それ以来 10か月近く、さまざまな脱出方法が試みられてきましたが、ついにトロイからの脱出を断念することになりました。非常に残念です。今後は、固定観測基地として使われることになりますが、当面は、間近に迫っている火星の冬に備えて、車体の傾斜を調節して太陽電池パネルを太陽の方向に向けることが最優先の課題となります。太陽電池から電力が十分に得られないと、観測装置やモーターなどの保温ができず、厳寒の火星の冬を乗り切ることが困難になります:
スピリットを砂地から脱出されるための最後の手段として、先端部に観測装置を搭載したロボティック・アームを使って車体を持ち上げ車輪にかかる重量を軽減すること、砂を排除すること、岩石を移動させて車輪と地面の間に噛ませることなども検討されていたようです。しかし、ロボティック・アームの出せる力が弱いことや、アームの先に取り付けられたさまざまな観測装置に障害が出る可能性などを勘案して実行されなかったようです。観測装置は、動けなくなったスピリットを固定観測基地として運用する場合にも必要となることから、リスクを冒さないという判断になったのだと思います。

以下は、スピリットの前方監視カメラが捉えた画像を合成した動画です。画面右側に写っているのは、数年前から動かなくなっている右前輪です。この右前輪の不具合を克服するために、スピリットはこの右前輪を引きずりながら後ろ向きに進むようにプログラムし直されています。左前輪はほとんど砂地の中に埋まっています。地面に影がうつっているのは、先端部にさまざまな観測装置を取り付けたロボティック・アームです:
次は、後方監視カメラが捉えた画像を合成した動画です。この動画を見る限りでは、もう少しで砂地を脱出できそうなように見えるのですが:
もう一台の火星探査車・オポチュニティは、2004年の火星着陸以来 6年以上が経過してあちこちに不具合が生じていますが、全体的には健康な状態を保っています。現在は、エンデバーと名付けられた大きなクレーターに向かって移動中で、その道すがら、さまざまな観測をおこなっています。最近は、火星の深部から放出されたと考えられる “Marquette Island” と命名されたバスケットボール大の岩石の分析をおこなっています:

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2010年1月27日水曜日

リュウグウノツカイ 2匹 ― 兵庫県

今度は兵庫県で 2匹です。27日、香美町の沖合に設置された定置網にかかっていました:
2匹を水揚げした漁港では「10年に1度水揚げされるかどうかの珍魚」とのことです。


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大爆発をおこす火山 ― 雲仙がトップ

「アイルランド最大のブックメーカー(賭け屋)」 “Paddy Power”が火山噴火を対象にした賭を主催しています:
どの火山が最初に火山爆発指数 3 以上の噴火をおこすかを予想し賭けるものです。リストされている火山の中では、雲仙がトップでオッズは 3:1 となっています。2位はハワイのマウナロアで 9:1、3位グループは 10:1 で、パプア・ニューギニアの Ulawun、インドネシアのムラピ(メラピ)、ギリシャのサントリーニが並んでいます。いま群発地震が起きているイエローストーンは、リストの末尾で 33:1 となっています。

日本の火山ではもう一つ桜島が対象となっていて、オッズは 14:1 です。雲仙よりは桜島の方が、可能性が高いと思うのですが、どうでしょうか。

自然災害を賭の対象にすることに対しては、批判もあります。過去には、別のブックメーカーがハリケーンを賭の対象にして批判を浴びたことがあるとのことです:
雲仙が 3:1 のオッズを付与されていることについて次のように書かれています:
結果として壊滅的な災害となることがわかっていながら、世界で最も人口密度の高い国の一つで、火山がその山頂を吹き飛ばすほどの噴火をおこすことに 3:1 のオッズを付与することに対しては、後味の悪いものを感じる人もいるだろう。
同じブックメーカーが、UFO についての賭けもおこなっています:
アイルランドでは、元旦に首都ダブリンの上空に未確認の物体が現れ、見事な写真が撮影されたため、「2013年までに地球外生命体の存在が証明される」との賭けに対するオッズが 500:1 から 100:1 に変更されています。

ブードゥー教と地震

ハイチの宗教(と言うよりは民間信仰)はアフリカに由来するブードゥー教ですが、『ナショナルジオグラフィック』誌の日本語版がブードゥー教の専門家へのインタビュー記事を載せています。興味のある方はどうぞ:
ブードゥー教の信者たちは今回のハイチ地震をどのように受け止めているのかとの問に対して、専門家は「天変地異そのものに意思はないというのがアフリカの伝統的な考え方です。彼らにとって物事はすべて因果応報なのです」と答えています。

ブードゥー教といえば映画などでおなじみの「ゾンビー」を想起してしまいますが、詳しい解説が以下にあります:

2010年1月26日火曜日

ジョニー・デップは生きていた

大量に入ってくるハイチのニュースに食傷気味です。で、いつもとは毛色の変わったニュースをいくつか。

Oh happy days
▼ ジョニー・デップは生きていた: ジョニーが死んだという噂が、先週末あたりからネット上を駆けめぐっていましたが、最終的にデマであることが判明。良かった。ツイッターは、地震などの情報を迅速に伝えるのに絶大な力を発揮しますが、デマを広めるのも早い。

▼ アップルの新しいタブレットが 27日に発表されるとのこと。名前は “iSlate” か “iPad” か。大型の iPhone のようなマシンを想定する向きも。今や斜陽産業となってしまった書籍や雑誌の出版、新聞、音楽などの業界の救世主となるか?

Cops: Mom forces son to kill hamster for bad grade
▼ 日本では子どもを虐待死させた夫婦が逮捕されましたが、アメリカ・ジョージア州では、学校の成績が悪かったことの罰として、子ども(12歳)にハンマーをわたし、その子がかわいがっているペットのハムスターを殴り殺すよう強制した母親(38歳)を逮捕。動物虐待、児童虐待、および暴行容疑。子どもが学校の教師に話したことから発覚。母親の顔写真あり。子どもの心に消しがたいトラウマを残すと思います。

2010年1月25日月曜日

ハイチに対する冷ややかな視線

ハイチの地震については、毎日大量の報道がなされています。それらを見ていると、最貧国ハイチに対する同情と支援の輪が世界中に広がっていることが分かります。

しかし、この大災害について、異なる見方をする人たちもいます。その筆頭は、アメリカのテレビでキリスト教の伝道をおこなっているパット・ロバートソン(Pat Robertson)師です。この人物は、これまでにもたびたび過激な発言をして、顰蹙を買っています。今回は、「ハイチはフランスからの独立を勝ち取るために悪魔と契約した。それ以来、ハイチは呪われている。ハイチが繰り返し災難に逢うのはその報いだ」という主旨の発言をし、アメリカ政府からも非難されています。もう一人は、ラジオ・トークショーのホストであるラッシュ・リンボー(Rush Limbaugh)氏です。彼は、ハイチに対して寄付をする必要はない、という主旨の発言をしています。日本語での報道は少ないですが、英語圏のニュースではロバートソン師に次ぐ扱いです。

パット・ロバートソン師の発言を伝える記事:
ラッシュ・リンボー氏の発言を伝える記事:
一般の人たちの中にも、ハイチに対して冷ややかな視線を送る人たちがいます。以下は、『シアトル・タイムズ』紙に掲載された一般読者からの投書です:
以下に、上記投稿の一部を抄訳します:

Squandered decades of help (浪費された数十年間の援助)
私はハイチに対してほとんど同情していない。彼らは数十年にわたって続けられてきた海外からの支援を浪費してきた。その数十年の間に、教育、人口抑制、政治の改革、環境の修復、産業の育成、観光の振興によって、より良い社会基盤と強く安全な建物を作り上げる資金を調達し、彼らの国を強固にするべきだったのだ。

聖書に載っている「善きサマリア人」は道ばたに倒れている傷ついた人を助けたが、その人の面倒を一生見続けたわけではない。ハイチの今回の危機が終わったとき、ハイチ人たちはもとの安穏な状態にもどり、各国政府や慈善団体はイネイブラー(助けてあげるつもりでやったことがかえって相手のためにならないようなことをする人。身近な人が悪癖や犯罪などに染まっていくのを黙認ないしは放置している人)であり続けようとするのだろう。

Pat Robertson 師が「ハイチは呪われている」と語ったことは間違っていると私も思うが、Rush Limbaugh 氏が「(ハイチに対して)寄付をするな」とコメントしたことには同意したい気持ちだ。
Evidence of pact with the devil: The Dominican Republic (悪魔との契約の証拠: ドミニカ共和国)
災厄について Pat Robertson 師が霊的蓋然性を云々するのはかまわないが、霊的必然性を語るのはいかがなものか。キリスト教の説く天地創造のストーリーでは、このすばらしい世界は、人間の犯した原罪のゆえに衰退し壊れていくことになっている。それゆえ、神とか悪魔とかが、個々の困難の発生に介在する必要はもはやないのである。

そうは言うものの、ハイチとドミニカ共和国の格差は示唆に富んでいる。この二つの国は、ともにイスパニョーラ島という島の上にある。ハイチはフランスから独立し、ドミニカ共和国はそのハイチから 1844年に分離独立した。ハイチの宗教はブードゥー教であるのに対して、ドミニカ共和国のそれはカトリックである。ハイチでは伝統的に独裁政権の悪政が続いたのに対して、ドミニカ共和国は民主主義の共和国である。ドミニカ共和国の GDP は順調に成長して 781.9億ドルに達し、一人あたりの国民所得は 8200ドルである。一方、ハイチの GDP は 69.5億ドルで、一人あたりの国民所得は 1300ドルである。

伝統的なキリスト教の考えでは、人間の暮らしは自分たちの選択の結果であって、神がその選択を覆すことはないとされている。フランスからの独立と引き替えに悪魔と契約を結んだことによって、ハイチ人たちは悔い改めない限り、悪魔がありとあらゆる無理難題な要求をし続けることだろう。キリスト教徒の視点では、ドミニカ共和国の住民はこの罪を悔い改めたので、繁栄しているということになる。
地震後のハイチの惨状を伝える報道では、多数の死体が写った写真が掲載されました。今回のハイチの報道に限らず、アメリカの災害報道や戦争報道では、一般にアフリカ系、アラブ系、アジア系の死体の写真は掲載されるのに、アメリカの白人のそのような写真が掲載されることはまれです。この点に暗黙の人種差別を感じる向きもあるようです。以下の文の投稿者は、名前から判断して中国系のようです:

Bodies imply racism (遺体は暗黙の人種差別を示している)
(ハイチの地震報道で、多数の死体が写った写真が掲載されることについて)アメリカ人以外の損傷した死体の写真が掲載されることはあっても、アメリカ人のそれが決して載せられることがない点に、隠れた人種差別を見て取り、私はいつも困惑しています。囚人、少数民族、貧困層の遺体を医学実習の解剖に供し、また、引き取り手のない中国人の遺体を営利目的の人体展示会で陳列物として扱ってきた合衆国の暗い歴史を考えると、わが国のような進歩的な国家にも、依然として人種差別主義とエリート主義が残っていることは明らかです。

私が他者の災難を積極的に見たいと望んでいるわけではないことは言うまでもありませんが、もし貴紙(シアトル・タイムズ)がアメリカ人以外の遺体の写真を掲載するという選択をするのであれば、わが国の軍隊の戦死者や災害や災難の犠牲者の遺体も等しく掲載するべきです。そうでないのであれば、死体の写真は一切掲載すべきではありません。人によって、その死が尊厳を保って報道される場合と、単なるエンターテインメントとして伝えられる場合があり、ダブル・スタンダード(二重規準)があると言わざるをえません。
ハイチからのショッキングな報道写真については、本当に必要なのか否か、論争が起きています:

リュウグウノツカイ漂着 ― 佐賀県

今度は佐賀県唐津市です:
「天変地異の前触れ」だけでなく、「生きたまま見ると良いことが起きる」という伝説もあるようです。


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2010年1月21日木曜日

定置網にリュウグウノツカイ ― 富山県

19日、富山県の氷見、高岡両市境沖の定置網に体長 3.35m のリュウグウノツカイがかかったとのことです:
北陸地方でリュウグウノツカイの漂着や捕獲が続いています。荒天によって海が荒れたことが大きな要因と思われますが、一方で、福岡県西方沖地震の 1年以上前から長崎県・佐賀県・福岡県の海岸に深海魚が相次いで漂着したことが想起されます。


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海底の光ケーブルで津波検知

国際電話やインターネットのために海底に敷設されている光ファイバー・ケーブルを使って、津波の襲来を検知することが可能だとの研究成果が、近々発行される『Earth, Planets and Space』誌に掲載されるとのことです:
原理は次のようなものです ―― 海水に含まれる塩分は、プラスに帯電したナトリウム・イオンと、マイナスに帯電した塩素イオンに分離している。津波による大規模な海水の動きによって、これらの荷電粒子は地球磁場の中で運動することになり、電場を発生させる(フレミングの法則)。この電場によって海底ケーブルに生じる電圧を測定すれば、津波の予知が可能になる。

計算上は、最大 500ミリボルトの電圧が生じ、十分に計測可能とのことです。

1992年に発生した M7.2 の Cape Mendocino(メンドシノ岬)地震では、海水の移動によって実際に大規模な電場が生じ、海底ケーブルで検出可能であったと報告されています。

現在の津波警報システムは、海上にブイを浮かべたり海底に圧力センサーを設置するなどの方法をとっており、莫大な設置費用と維持費がかかります。今回提案された方法では、すでに敷設されている海底ケーブルを使うので、経済的に豊かではない国々でも津波警報システムを導入することが可能になると見込まれています。

リダウト山が水蒸気噴出 ― アラスカ

アラスカのリダウト山(地図)は沈静化し 1月初めには警戒レベルが引き下げられていましたが、アラスカ時間の 20日(水)正午ごろ大きな水蒸気の塊を噴出しました:
アラスカ火山観測所によると、火山灰の噴出や地震活動はまったく観測されておらず、現時点では警戒レベルに変更はないとのことです。

なお、オリンピックが開催されるバンクーバーは、リダウト山から 2000km 以上離れています。


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イエローストーンの群発地震

イエローストーンで群発地震が起きていますが、同地域では年中行事のようによくあることで、とりたてて異常なことではありません。この記事の末尾に列挙した「過去の関連記事」にあるように、2008年末から 2009年始めにかけてもかなり活発な群発地震が起きていました。イエローストーン周辺では隆起を続けている地域があり、長期的に見れば何らかの火山活動が起きる可能性はありますが、今現在生きている人がスーパー・ボルケーノとしてのイエローストーン・カルデラの巨大噴火を目にすることはないでしょう。

以下の引用に見られるように、この群発地震を取り上げて大騒ぎをし不安を煽る向きもありますが、これは “Doom Sayer” とか “Fear Monger” といわれる類の人たちの典型的な所業です:
北米プレートの異変を示す行徳稲毛などのデータが昨年11月から異常な高揚を続けていて、北米大陸に巨大地震が迫っている可能性を何度も書いている。ハイチM7.3以降もまったく収まっていない。イエローストーン公園における群発地震が激化していて、地球上最大級の巨大噴火を起こす可能性があり、またカリフォルニア・サンアンドレアス断層の巨大活動に関連している可能性がある。やはり北米にスーパークラスの地震か噴火が迫っていると考えるしかない。

(http://www1.odn.ne.jp/cam22440/yoti01.htm 「2010年01月20日水曜日 7時半更新」の記事から引用)
上記のような憶測や妄想よりは、毎日間近でイエローストーンを観測している人たちの見解に目を通すべきでしょう。以下は 1月 19日付でイエローストーン火山観測所が出した最新のステートメントです:
以下に抄訳します:
現在の火山警戒レベル: ノーマル
現在の航空カラー・コード: グリーン

イエローストーン・カルデラ北西縁の群発地震は継続中

イエローストーン国立公園で山岳部標準時 2010年 1月 17日 午後 1時から始まり、現在も継続中の群発地震について、ユタ大学地震観測所(複数)が報告する。当該群発地震はワイオミング州オールド・フェイスフルの北西 10マイル(16km)、モンタナ州ウェスト・イエローストーンの南東 9マイル(約 14km)で起きている。山岳部標準時 2010年 1月 19日午後 3時までに発生した最大の地震は、同 19日午後 2時 31分に発生した M3.7 のイベントである。469回の地震が観測されており、規模は M0.5 から M3.7 の範囲である。このうち、M3 を上まわる地震は 5回、M2 から M3 の地震は 34回、M2 未満の地震は 430回観測されている。比較的規模の大きな地震については、イエローストーン国立公園内や隣接するモンタナ州やアイダホ州で有感地震として報告されている。今回のような性質の群発地震は、イエローストーン国立公園内では比較的よく起こる。

現時点でイエローストーン火山観測所は、今回の群発地震を異常だとは考えていない。これらの地震は、地質構造上の断層を起源とするものであると推定される。また、火山活動や熱水活動の兆候はないが、継続中の分析ではそれらの可能性も評価する予定である。


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2010年1月20日水曜日

小惑星が地球を掠める (続報)

13日付「小惑星が地球を掠める」の続報です。小惑星「2010 AL30」は、予報どおりに地球のそばを通過していきました。以下は『Universe Today』のサイトに掲載されている記事です。「2010 AL30」が地球を掠めていく際に撮影された写真や動画などがたくさん掲載されています:
この「2010 AL30」については、その公転周期が地球と同じ 1年に非常に近いことから、地球から打ち上げられたロケットなどの人工の物体である可能性が指摘されていました。しかし、NASA の研究者が過去に遡ってこの物体の位置を追跡した結果、その可能性がなく天然の小惑星であるとの結論が出されたことは、13日付の記事に書いたとおりです。しかし、一時的にせよ人間の打ち上げた物体か天然の小惑星かで議論があったことから、その物体ないし天体の由来がはっきりしないということで「正体不明」という言葉が使われて一人歩きし、『朝日新聞』までが以下のようセンセーショナルなタイトルの記事を掲載する始末でした:
この「正体不明」という言葉に触発されたのか、この物体が電波を発信しているというデマを流す者や、NASA がこの物体の正体を隠蔽しているなどなど、お決まりの陰謀説・隠蔽説を喧伝する者がでましたが、信憑性はまったくありません。

なお、ESA(欧州宇宙機関)のミッション・アナリストが、この物体は金星探査機「ビーナス・エクスプレス」を打ち上げたロケットの最終段である可能性があると指摘していましたが、最終的には天然の小惑星である可能性が高いとしています:

リュウグウノツカイの漂着続く ― 石川県羽咋市

19日、石川県羽咋市から宝達志水町にかけての千里浜海岸で、 2匹のリュウグウノツカイが見つかっています。先月からの漂着は、判明しているだけでも 6匹にのぼるとのことです:
記事は、「リュウグウノツカイの漂着は、地震の前触れという言い伝えもあるが、根拠はない」と結んでいます。


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2010年1月19日火曜日

ダイオウイカ漂着 ― 韓国南東部

15日、韓国南東部・日本海に面する浦項(地図)の沖合で胴囲 1.8m、体長 7.7m のダイオウイカが見つかったとのことです:
ダイオウイカは深海に生息し、世界最大級の無脊椎動物として知られています。


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テンガイハタを生体捕獲 ― 神奈川県

18日朝、体長 1.5m の深海魚・テンガイハタが小田原市沖の定置網にかかり、生きたまま捕獲されました:
記事によると、「生体捕獲は全国的に見てもまれで、相模湾からの報告例は初めて」とのことです。


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2010年1月15日金曜日

トゥリアルバ火山が噴火 ― コスタリカ (続報)

このブログの 1月 8日付記事「トゥリアルバ火山が噴火 ― コスタリカ」の続報です。その後、山頂部に 2つの火口が形成され、活発な活動が続いています。下記記事に掲載されている写真でも、2つの火口に対応すると思われる 2筋の噴煙が見えます。専門家によれば、すぐに爆発的な噴火をおこしたり、溶岩を流出させたりする可能性は低いとのことですが、麓の 2つの街の住民がすでに避難しています:
コスタリカは、大地震のあったハイチと同じくカリブ海に面する国ですが、距離は 1000km 以上離れています。

ハイチの惨状

ハイチの通信事情が悪いため、当初は映像情報が限られていましたが、徐々に増えてきています。

『ボストン・グローブ』紙の「ザ・ビッグ・ピクチャー」が 33枚の写真を掲載しています。散乱する死体など、凄惨な場面の写真は黒塗りになっていますが、画面をクリックすると表示されます。黒塗りになっていない写真の中にも、瓦礫からはみ出した手足などの描写がありますので、苦手な方は注意してください:
こちらはボストンの放送局が掲載している写真集です。写真の左下にある矢印をクリックすると、次の写真が表示されます。全 17枚中 4番目の写真は、瓦礫に下半身が埋まってしまった女性(母親?)を 2人の子ども(一人は血だらけ)が助けようとしているところです。救助されたのかどうか、気になります:
オーストラリアのニュースサイトが掲載している写真集です。全 46枚。最初の 2枚はいち早く現地入りした中国の救助隊の姿です(日本は今回も出遅れ。sigh)。3枚目はもぬけの殻になった刑務所です。壁に付いている多数の血痕は何なのでしょうか:
地震で親とはぐれてしまった少女(というよりは女児)。さぞかし心細いことでしょう。この後、幸いにも母親と再会できたそうです:

2010年1月13日水曜日

ハイチで M7.0 (続報)

ハイチで M7.0」の続報です。USGS(米国地質調査所)が、今回のハイチの地震について、解説を載せています:
以下に抄訳します:
2010年 1月 12日(現地時間)のハイチ地震は、カリブ・プレートと北米プレートを隔てる境界域で発生した。このプレート境界は左横ずれの動きと圧縮に支配されており、年間約 20mm の速さでカリブ・プレートが北米プレートに対して東方向に動いている。

ハイチは、大アンチル諸島内でプエルト・リコとキューバの間にあるイスパニョーラ島の西部を占めている(東側はドミニカ共和国)。今回の地震の震源付近では、カリブ・プレートと北米プレートの間の動きは、東西方向に伸びる 2つの横ずれ断層系 ―― ハイチ北部の Septentrional 断層系と、南部の Enriquillo-Plaintain Garden 断層系によって分担されている。

今回の地震の震源の位置と発震メカニズムは、Enriquillo-Plaintain Garden 断層系で発生した左横ずれ断層の運動と整合的である。この断層系は、1年に約 7mm の速さでずれており、カリブ・プレートと北米プレートの間の動きのおおよそ半分を担っている。

Enriquillo-Plaintain Garden 断層系は、最近数十年間は大きな地震を起こしていない。1860年、1770年、1761年、1751年、1684年、1673年、1618年に発生した歴史上の大地震はこの断層系でおきた可能性が高いが、実地調査で確認されているわけではない。
カリブ・プレートは、白亜紀に太平洋にあったファラロン・プレート上の海台が、北米大陸と南米大陸の間にめり込んで形成されたという説が有力視されています。カリブ・プレートの東縁は小アンチル海溝となっており、大西洋の海洋プレートがカリブ・プレートの下に沈み込んでいます。

カリブ・プレートと似たプレートは、南米大陸と南極大陸の間にもあり、スコシア・プレートと呼ばれています。そして、その東縁は南スコシア海溝となっており、ここでも大西洋側の海洋プレートが沈み込んでいます。

大西洋には上記の小アンチル海溝と南スコシア海溝という 2つの沈み込み帯しかありません。大西洋に津波が少ないのは、この沈み込み帯の少なさが大きな理由となっています。

下記の地図で、北米-南米間のカリブ・プレートと、南米-南極間のスコシア・プレートを比較、類似性を確認してみてください:

小惑星が地球を掠める

日本時間の今夜 9時 46分頃、小惑星「2010 AL30」が、地球から約 12万キロメートル(地球と月の距離の 3分の 1弱)のところを通過します:
この小惑星の直径は 10~15メートルと推定されています。この小惑星の公転周期が地球とほぼ等しく 1年であったため、当初は、ロケットなど人工的な物体ではないかと考えられました。しかし、NASA が過去に遡って軌道を解析した結果、その可能性がないことが判明しています。

この小惑星は最接近のわずか 3日前(1月 10日)に発見されたものです。小さな天体ほど検出が困難で、発見されたときにはすでに地球にかなり接近しています。今回のように、地球のそばを無害に通過していくのであれば良いのですが、発見から数日後には地球に衝突するというシナリオも十分にありえます。2008年 10月には「2008 TC3」と名付けられた小惑星が、発見から数時間後にアフリカのスーダン上空で大気圏に突入しています。このときは、小惑星のサイズが直径数メートルと小さく、大気圏内で燃え尽きたので事なきをえました。もう少し大きめの天体が人口密度の高い地域に迫ったとしたら、大気圏内で燃え尽きる可能性があったとしても、大変な騒ぎになると考えられます。


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ハイチで M7.0

日本時間 13日午前 6時 53分頃、カリブ海の島国ハイチ内陸部で M7.0 の地震が発生しました:
下記、発震機構解をみると、横ずれ断層の成分が強いようです。北米プレートとカリブ・プレートの境界が水平にずれたと考えられます:

2010年1月11日月曜日

イノシシ 3件

5日、愛媛県松山市
9日、千葉県印旛村
11日、石川県金沢市

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海棲哺乳類の出現 5件

8日から 10日にかけて、相次いでいます。

イルカ ― 8日、和歌山県串本町
スナメリ ― 8日、三重県四日市市
ゴマフアザラシ ― 8日、石川県穴水町
マッコウクジラ ― 9日、神奈川県三浦市
ワモンアザラシ ― 10日、千葉県いすみ市

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桜島の火口上空に火山雷

桜島の火口上空で発生した火山雷の写真を『朝日新聞』が掲載しています:
撮影者は、「こんなに長時間にわたって火山雷を見たのは初めて」と話しています。

以前紹介したチリ・チャイテン山の火山雷(写真写真)に比べると、スケールは小さいようですが、それでも「母なる自然の怒り」のようなものを感じます。

リュウグウノツカイ出現 2件 ― 長崎県、福井県

1月 9日、長崎県平戸市沖で体長約 3.8m のリュウグウノツカイが生きたまま捕獲されました:
翌 10日には、福井県美浜町の海岸に体長約 4m のリュウグウノツカイが打ち上げられました:
福井県の記事で、「昨日の地震でびっくりして出てきたのか」とありますが、これは 9日11時12分頃に発生した地震のことを指しています。震源は福井県嶺南、深さは約 10km、規模は M3.8 で、敦賀市で最大震度 2を記録しています。地震がきっかけで現れたとすれば、地震の前兆ではなく、「後兆」ということになります(笑)。


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2010年1月10日日曜日

カリフォルニア州沖で M6.5

とりあえず……
発震機構解から、横ずれ断層が動いたと考えられます:

ベテルギウスに超新星爆発の兆候

6日に公開された オリオン座の 1等星・ベテルギウスの表面の画像です。一昔前までは、太陽以外の恒星はどんな大望遠鏡を使っても点光源としてしか観測できないと言われていましたが、今ではおぼろげながらとは言え表面の様子を見ることができるようになっています。観測技術の長足の進歩には驚かされます:
記事によれば、「爆発は数万年後かもしれないが、明日でもおかしくない」、「爆発すれば、満月ほどの明るさになり、昼でも見えるようになる」とのことです。

ベテルギウスは、オリオン座の四角形を構成する 4星の内、向かって左上の星です。地球からの同星までの距離は、上記記事では 600光年となっていますが、2010年版『天文年鑑』(誠文堂新光社)によると 450光年です。これだけの「至近距離」で超新星爆発が起きれば、岐阜県にあるスーパーカミオカンデでかなり顕著なニュートリノ・バーストを捕捉できるのではないでしょうか。小柴昌俊東大名誉教授がノーベル物理学賞を受賞するきっかけになった大マゼラン星雲内の超新星爆発は、地球から 16万光年以上離れた場所で発生したものです。


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アッサム地方の「地震雲」(補足)

昨日の記事『アッサム地方の「地震雲」』の補足です。インドの静止気象衛星 KALPANA-1 の撮影した写真を見つけました。問題の雲が現れたのは、インド時間「12月 29日午後 3時 50分ごろ」で、これは協定世界時(UTC)で同日 午前 10時 20分ごろになります。インド気象局のサイトには、UTC で 9:30 と 11:00 の画像がアーカイブされています。雲が目撃されたグワーハーティー(Guwahati)市の位置を地図で確認したうえでご覧ください:
赤外線(モノクロ) 9:30 11:00
赤外線(カラー) 9:30 11:00
可視光線 9:30 11:00
水蒸気チャネル 9:30 11:00
どうでしょうか。赤外線(カラー)の 9:30 の画像では、グワーハーティー市の辺りに雲塊があり、北北東-南南西に伸びる構造がぼんやりと見えていますが、「線状の雲」とは言い難いと思います。また、赤外線(モノクロ)の 11:00 の画像では、雲がグワーハーティー市の辺りに収束している、あるいは逆にそこから発散しているように見える部分がありますが、微妙です。各画像の解像度は 1830m とされていますので、これらの衛星写真では解像度不足で判別できないということでしょう。

2010年1月9日土曜日

アッサム地方の「地震雲」

インド・アッサム地方で年末におきた地震の前に、「地震雲」が専門家によって撮影されていたと、『アッサム・トリビューン』紙が伝えています:
記事では、四川大地震やイランの地震の前に「地震雲」とみられる現象があったことや、それに対して USGS(米国地質調査所)の専門家は否定的であることを紹介した後、次のようにアッサムの事例を書いています:
当地アッサムでは、「地震雲」とみられる線状の雲(複数)がグワーハーティー市(Guwahati 地図)の上空に現れた。12月 30日に発生したマグニチュード 5.5 の地震の 1日前のことだった。

I. R. Bhattacharjee 博士がそれらの雲を携帯電話のカメラで撮影したのは、12月 29日午後 3時 50分ごろのことで、撮影場所はクリスチャン・バスティン地区(Christian Basti 地図)であった。Bhattacharjee 博士は、空で奇妙なことがおきていると妹から知らされて、撮影した。
上記記事には写真が掲載されておらず、また他紙はまったく報道していないので、現時点ではこれ以上のことはわかりません。


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2010年1月8日金曜日

メガクエイク

NHK スペシャル『MEGAQUAKE 巨大地震』が 4回シリーズで放映されます。1回目は、1月10日(日) 午後9:00~9:58 です。以下は番組のホームページです:

トゥリアルバ火山が噴火 ― コスタリカ

中米・コスタリカの首都サンホセ(San Jose)の東方約 40キロにあるトゥリアルバ(Turrialba)火山(地図)が 19世紀半ば以来の沈黙を破って 1月 5日に噴火しました:
トゥリアルバ山は 1864年から 22年間にわたって活発な火山活動を続け、1866年に大噴火を起こしていますが、その後は活動していませんでした (報道記事によっては大噴火の時期を 1856年としていますが、スミソニアンのデータベースでは 1866年になっています)。

トゥリアルバ山周辺は人口密度が低く、避難の対象となっている住民は数十人規模とのことです。

2010年1月7日木曜日

日本版 HAARP ?

今朝の朝日新聞に「南極プロジェクト お正月も観測隊」という記事が掲載されました。51次南極観測隊に同行取材した報道記者が書いたものです。この中に、以下のような件(くだり)があります:
51次隊は、昭和基地に南極で初めて地表近くから高度 500キロまでの大気を精密に観測できる大型大気レーダー「PANSY」の建設を始める。高さ約 3メートルのアンテナを約 1千本建て、大気の流れる方向や速度を精密に観測する計画だ。世界各地にあるレーダーと連携、気候変動システムの解明につなげる。上空のオゾンやオーロラ、太陽活動の状況も探る。
以下は PANSY (南極昭和基地大型大気レーダー計画)のホームページです:
京都大学が滋賀県とインドネシアに同様の施設をすでに保有していて、それらやノルウェーの施設との連携も計画されています。インドネシアの施設の写真をみると、多数のアンテナが並んでいて、どことなく HAARP の写真に似ています。でも実際のところは、使う周波数や出力が違っているようです。

ちなみに、HAARP は北緯 62度、PANSY は南緯 69度で、PANSY の方が極点に近い場所に建設されます。

タコの大量死 ― ポルトガル

1月 2日から 3日にかけて、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア(地図)の海岸に、総計 1200ポンド余(約 550kg)のタコが打ち上げられました:
あらゆる年齢やサイズのタコが含まれており、この海域のタコが全滅したと科学者は推定しています。他の海棲生物にはまったく変化が見られないことから、環境汚染の可能性はなく、病気を引きおこす寄生生物やバクテリアが原因ではないか、と推定されています。

しかし、海中の生物が、病気が原因で短期間に一斉に死ぬというのも考えにくいように思うのですが、どうでしょうか。

リダウト山が沈静化 ― アラスカ

アラスカのリダウト山(地図)の警戒レベルが引き下げられ、“グリーン”となりました:
昨年末から活発化が伝えられ、住民の避難や航空機への注意喚起などがおこなわれた 3つの火山 ―― マヨン山ガレラス山、リダウト山 ―― は、いずれもあっけないほど短期間で沈静化しました。


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潮汐による地震で巨大地震を予知

防災科学技術研究所の研究者 Sachiko Tanaka (田中佐知子?)氏の研究 ―― 巨大地震の発生が迫ると、同じ断層帯で潮汐をきっかけとする地震が徐々に増加する ―― が紹介されています:
記事を要約すると次のようです:
スマトラ島沖の断層帯(記事では「ユーラシア・プレートがオーストラリア・プレートの下に潜り込む場所」と書かれていますが逆だと思います)で発生した 1126件の地震を分析。

2004年末の巨大地震(インド洋大津波を引きおこした地震)が発生する前の数年間、潮汐によって引きおこされる規模の小さな地震が徐々に増加した。2004年の震源より南で発生した 2005年の M8.6 と 2007年の M8.5 でも同じパターンが見られた。

「震源域のひずみが、巨大地震が発生する臨界状態に近づいたとき限って、潮汐トリガーが現れるようになることを、解析結果は示している」と Tanaka 氏は “Geophysical Research Letters” に掲載される予定の研究報告に書いている。

別の言い方をすると、断層帯にひずみが蓄積され、いつ弾けてもおかしくない状態になったとき、潮汐力が小規模な地震を次々に発生させ始めるということである。

シアトルにあるワシントン大学の John Vidale 氏は、「実に勇気づけられる研究だ」、「彼女の見いだしたパターンはかなり明瞭だ」と語っている。

しかし、同氏は次のようにも指摘している。Tanaka 氏の発見は、ここ数年の間になされた他の研究者たちのものと同様に、多くの点で議論の余地がある。たとえば、これらの発見はスマトラや日本、台湾などの沖合にある沈み込み帯の断層にしか適用できず、他の多くの危険な断層 ― たとえばサンアンドレアス断層 ― は取り残され、以前として藪の中にある状態である。

潮汐トリガーによる地震は、将来、人びとを災害から避難させ数千の命を救うための強力なツールとなる可能性を秘めている。しかし、過去の地震をふり返って分析することと、地震を予知することは別物である。
潮汐が原因と見られる地震の増加を監視していれば、その付近で発生する巨大地震を予知できる可能性があるということです。

以前も書いたことですが、この種の研究成果が発表されると、トンデモ説を弄ぶ人たちが研究内容をよく理解することなしに、勝手な拡大解釈をおこないますので注意が必要です。今回の研究では、上記紹介記事に現れた記述に限っても以下のような条件が付けられています:
… tidal triggering may appear only when the stress in the focal region is close to a critical condition to release a large rupture …

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2010年1月6日水曜日

「関西サイエンス・フォーラム」の地震予知

『毎日新聞』の 1月 6日付の記事です。「関西サイエンス・フォーラム」という団体が、宏観異常による地震予知に取り組む、という内容です:
この「関西サイエンス・フォーラム」は、関西の財界がバックにあるそれなりの団体のようですが、何年も前から同じことを言っている割には、まったく進捗がないように思います。以下は、6年近く前の 2004年 3月 19日に『神戸新聞』に掲載された記事です:
6年近くの時差がありながら、上記の『毎日新聞』の記事とほとんど変わりがありません。「提言」から「本腰」まで 6年弱。何というスピード感の欠如。企業の経営者は、部下のプロジェクトがこのような進捗だったら、とうの昔にプロジェクトは解散。責任者は閑職に追いやってしまうのでしょうが、自分がやるときには実に気が長いようです。

ガレラス山が噴火 ― コロンビア

南米・コロンビアの南西部、エクアドルとの国境に近いアンデス山中にあるガレラス山が 1月 2日に噴火し、周辺住民約 8000人に対して避難命令が出されました:
2日の噴火の後、ガレラス山の活動は、いささか不自然なくらい急速に沈静化しました:
ガレラス山は、昨年来、非常に活発な活動を続けていました。同火山の位置は以下の地図で確認できます:

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2010年1月4日月曜日

溶岩流出 ― コンゴとレユニオン島

新年早々、世界各地で火山噴火が起きています。

アフリカ中央部コンゴ民主共和国のニャムラギラ山が 2日から噴火を始め、大量の溶岩が流出しているとのことです。ニャムラギラ山は大地溝帯にある火山です。映像を見ると、壮大な割れ目噴火がおきていることが分かります:
ニャムラギラ山の位置は、以下の地図で確認できます:
インド洋、マダガスカル島の東にあるフランス領レユニオン島のフルネーズ火山でも、1日午後、溶岩の流出が始まっています:
フルネーズ山の位置は、以下の地図で確認できます:

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ソロモン諸島で地震連続

ソロモン諸島で、現地時間 1月 3日から 4日にかけて、3回地震が発生しています:
  1. Magnitude 4.9 - SOLOMON ISLANDS
  2. Magnitude 6.5 - SOLOMON ISLANDS
  3. Magnitude 7.2 - SOLOMON ISLANDS
3つの地震のうち、M6.5 と M7.2 の地震の震央はほぼ一致していますが、深さは前者が 10km に対して、後者は 30.5km と異なっています。発震機構は、どちらも逆断層型の成分が強いようです。

M6.5 と M7.2 の地震の震源付近には、インド-オーストラリア・プレート、ソロモン・プレート、南ビスマルク・プレートの境界が交わる RTT(海嶺-海溝-海溝)三重会合点があります。この三重会合点では、海嶺が海溝に沈み込んでおり、海溝の中で火山活動がおきています。このような場所は地球上で唯一とのことです。

M4.9 の地震は、海溝軸を挟んで上記 2つの地震とは反対側でおきています。震源の深さは 132.6 km ですから、稍深発地震ということになります。

M7.2 の地震では弱い津波が観測されています:

2010年1月3日日曜日

年始の天体の位置関係

「惑星直列」など、天体の重力が地球上の地震の原因になると考えている人たちにとって、2010年の年始は緊張の連続のはずです:
1月 1日: 満月 ― 「満月トリガー」と称する危険日(?)です。
1月 2日: 午前 5時 33分、月が地球に最も近づきました。
1月 3日: 午前 9時、地球が近日点を通過。地球が太陽に最も近づきました。
1月 4日: 
1月 5日: 午前 1時、水星が内合。午後 5時、金星と水星が天球上で接近。つまり、地球―水星―太陽―金星がほぼ直線状に並びます。
地球との距離が近い月、金星、太陽の方が、はるか遠方にある木星などの巨大惑星より大きな重力的影響を地球に及ぼします。遠方の惑星が直線上に並んだときに、地震などの大災害が起きるぞと大騒ぎする人たちも、わりと頻繁に起きる身近な天体の配列には無頓着なようです。

インドで列車衝突続発 ― 濃霧と停電が原因

1月 2日、インド北部、ヒマラヤ山脈の南麓にあたるウッタルプラデシュ州で、短時間に列車事故が少なくとも 3件発生しています。原因は、同日にインド北部を覆った濃霧と停電と見られています:
常にというわけではありませんが、濃霧や停電は地震の前兆と関係している可能性があります。しかし、気象条件や社会的要因などを勘案して慎重に判断する必要があります。ところが、そのような検討をスキップして何でも前兆と考える人たちがいますから、日本でこのような事態が生じたら、まず間違いなく地震の前兆だと騒ぎ立てることでしょう。

年末から年始にかけて、インドでは北東部の州で、またバングラデシュやヒマラヤ山中のブータンで有感地震が発生しています。

インドでは長年、鉄道の安全性が問題となっています。2007年から 2008年にかけての年度では 194件、2008年から 2009年の年度では 117件の鉄道事故(この内、80件は人的ミスによるもの)が発生しています。

なお、上から 2番目の記事では事故の件数が「2件」となっていますが、これはこの記事のリリースが早かったためです。

2010年1月2日土曜日

マヨン山の警戒レベル引き下げ

Phivolcs(フィリピン火山学・地震学研究所)は、1月 2日付の“Mayon Volcano Bulletin 20”で、マヨン山の警戒レベルを「4」から「3」に引き下げると発表しました:
Phivolcs は、警戒レベルが「3」に引き下げられたのは、爆発的噴火の可能性が遠のいたからであって、マヨン山の活動自体がおさまったわけではないと注意を促しています。

州政府は、山麓住民が避難所から自宅に戻ることを許可しています:

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2010年1月1日金曜日

新年おめでとうございます

普通の方々には: 「新年おめでとうございます」。陰謀説ファンの方々には: “HAARPy New Year ! ”。本年もよろしくお願いいたします。

このブログの 12月 12日付の記事「新年へのカウントダウン」で紹介した数字は、やはり新年(日本時間ではありません)になると同時に「0」になりました。その瞬間、画面には花火の動画が華々しく出現しました:
この記事を書いている時点でも、その花火を見ることができます。英語版の Google のトップページで、検索文字列を入力せずに、“I'm Feeling Lucky”ボタンを押してみてください。