2009年12月24日木曜日

太陽と月とサンアンドレアス断層

イギリスの学術雑誌『ネイチャー』の 12月 24日号に掲載される論文の紹介記事が、主立ったニュースサイトに掲載されています。カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが執筆したもので、論文の内容は ―― サンアンドレアス断層の地下 25km 付近で発生しているマグニチュード 1クラスの微小地震が、太陽や月による潮汐に非常に敏感に反応していることから、これらの微小地震は地下に閉じこめられた高圧の水が岩石間に存在することによって発生していることが判明した ―― というものです。以下は、紹介記事の例です:
地下 25km 付近の圧力は 600メガ・パスカル。それに対して、太陽や月による潮汐が引きおこす応力は 100パスカル(1000分の 1気圧)程度で、600メガ・パスカルの 600万分の 1。それでも、微小な地震を引きおこしうるのは、超高圧の水が存在しているからだ、という結論です。

この種の研究成果が発表されると、トンデモ説を事とする人たちが研究内容をよく理解することなしに、勝手な拡大解釈をおこないますので注意が必要です。太陽や月による潮汐が大きな地震のきっかけになるか否かについては、今回の研究チームのメンバーは直接の関係があるとは考えておらず、次のように述べています:
Though tides raised in the Earth by the sun and moon are not known to trigger earthquakes directly, they can trigger swarms of deep tremors, ……

(太陽と月によって引きおこされる潮汐が直接地震のきっかけになることは知られていないが、地下深いところで発生する多数の震動のきっかけにはなりうる、 ……)
さらに、次のようにも述べています:
These tremors represent slip along the fault 25 kilometers (15 miles) underground, and this slip should push the fault zone above in a similar pattern, …… But it seems like it must be very subtle, because we actually don't see a tidal signal in regular earthquakes.

(これらの(微小な)震動は、地下 25km で断層に沿った滑りが発生していることを示しており、この滑りは上部の断層帯を同様のパターンで押している、…… しかし、それは非常に微弱だと考えられる。なぜなら、通常の地震には潮汐の影響が実際のところ見られないからである。)