2011年2月9日水曜日

新たな火山噴火の兆候 ― アイスランド


昨年噴火したエイヤフィヤトラヨークトル氷河の次はカトラ山が危ないというのが大方の推測でしたが、これまでのところカトラ山周辺に大きな変化は起きていません。

そのような中、別の火山に噴火の兆候が出てきていると一部の火山学者が指摘しています:

噴火の可能性が指摘されているのはアイスランド最大の氷河・バトナヨークトル(Vatnajökull)の下にある火山です。この氷河の下には Bárdarbunga(地図)と Grímsvötn(地図)という 2つの大きな火山がありますが、このうち、氷河の北西部にある Bárdarbunga 周辺で地震が増えており、マグマが上昇してきている恐れがあるとのことです。

以下はバトナヨークトル氷河の衛星写真と地図です。衛星写真の中でもっとも大きな白い領域がバトナヨークトルで、その左下でアイスランドの最南部にあるのがカトラ山のあるミルダルスヨークトル氷河、その左に飛び出している棒状の白い領域が昨年噴火があったエイヤフィヤトラヨークトル氷河です:

噴火の可能性を指摘しているのはアイスランド大学の地球物理学教授 Pall Einarsson 博士。博士は Bárdarbunga 周辺の観測網を充実させるよううったえています。また、アイスランド気象局に勤務する地質学者 Sigurlaugar Hjaltadóttir 博士も同様の見解で、来年には噴火が起きるだろうと予測しています。しかし、他の多くの専門家は噴火の可能性は低いとみているようです。その理由としては、地震が頻発している場所ではアイスランドで近代的な地震観測が始まって以降、非常に多くの地震が観測されており、現在の群発傾向がとりたてて特別なものと考える積極的な材料がない、ということがあるようです。

Bárdarbunga はアイスランドで第 2位の規模をもつ火山です。同山が最後に噴火したのは 1910年ですが、最大の噴火は 1477年に起きたもので、大量の軽石と火山灰を噴出。流出した溶岩流は、過去 1万年間に地球上で発生した溶岩流としては最大のものであったとのことです。


過去の関連記事