2009年1月9日金曜日

地質学者と気象学者

気象条件と地震発生の関係については否定的な意見が大勢ですが、次のような記事が、カリフォルニア州のニュースサイトに掲載されています:
この記事でいう「地質学者」は、私の1月4日付の記事「"earthquake intuitive" な女性」でも紹介した、お騒がせ「地質学者」ジム・バークランド氏のことです。

バークランド氏の1月の地震予想時期(ウィンドウ)は、1月8日から15日。上記記事によるとその主な理由は:
  1. この時期、ゴールデン・ゲートの潮位が8.9フィート(最高潮位 9.2フィートをわずかに下回る)
  2. 1月10日の満月は月が近地点を通過した16時間後で、1月4日に地球が近日点を通過して6日後
というものです。

これに対して、Southern California Weather Authority の気象学者ケビン・マーチン氏が、気象学の立場から肯定的な見解を表明しています。以下は上記ニュースサイトの記事からの抜粋です:
多くの人が地震予知は不可能だという意見に同意しているが、Southern California Weather Authority の気象学者ケビン・マーチン氏は違う見解を持っている。「気象パターンが我々の近隣にある断層に影響を与えている。事実、1994年のノースリッジ大地震のときには、高気圧の長大な尾根が、これから予想されているサンタ・アナ風(Santa Ana wind)の期間とまったく同じ位置に滞留していた。(滞留が)予想される期間は1月9日から14日の間である。これは、地質学者のジム・バークランド氏が発表している(地震発生が予想される)期間と重なっている。大きな地震がおこるとすれば、この期間内に発生するだろう。」

マーチン氏は地震の予知はおこなっていない。しかし、彼の研究によるところの地震の引き金となりうる気象条件が、地質学者ジム・バークランド氏の地震予想期間内におこると述べている。

「私は、ノースリッジ大地震級の地震が起こりそうだから避難しろと言っているわけではない。しかし、(気象)パターンはノースリッジ大地震のときとほとんど同じだと言わざるをえない。気象パターンが地震発生の指標であるならば、常に備えていなければならない。バークランド氏の地震予想期間が、(ノースリッジ大地震のときと同じ)気象パターンと同期していることを考慮して、私は地震が起きたときの備えをしている。『備えよ常に』という言葉を肝に銘じなければならない」とマーチン氏は語る。
Southern California Weather Authority」という名前や「www.socalweather.org」という URL は、いかにも公的な気象予報機関という印象ですが、実際は民間の組織です。ホームページの一番下に小さい字で「DISCLAIMER: The Southern California Weather Authority is a private weather forecast and information agency(中略)Claims are not made 100% and weather is never a sure thing ...」と言い訳がましいことが書いてあります。

そして、上のニュースサイトの記事をもう一度見てみると、冒頭に「SocalWeather.Org」とあり、記事そのものがこの民間組織から提供されたものであることがわかります。

なお、サンタ・アナ風については、以下を参照してください: