「スーパームーン」(SuperMoon)という言葉は、月の近地点通過と満月(あるいは新月)が時間的に接近して起きることを意味しています。最近は天文学に携わる人たちの間でも使われるようになったとのことですが、もともとは占星術の分野でもう少し狭い意味に使われていたのだそうです。
このスーパームーンが近々見られます。日本時間では 3月 20日の午前 3時 10分に満月となり、その 1時間後の 4時 9分に月が近地点を通過します。地球の中心から月まで測った距離の平均は 38万4400km ですが、3月 20日にはこれが 35万6580km にまで縮みます。この近日点通過時の月と地球の間の距離が 18年ぶりという近さのため、単なるスーパームーンではなく、「エクストリーム・スーパームーン」 と呼ばれています (「エクストリーム」は、「極端な」、「最高の」、「強烈な」、「行き過ぎの」、「異常な」などを意味する形容詞です):
上掲(1)は AccuWeather という気象予報会社のサイトに掲載された記事ですが、それによると、いわゆる「ニュー・エージ」系のトンデモ情報では、今回のエクストリーム・スーパームーンが強い地震や嵐、異常な気象パターンをもたらすと喧伝されているとのことです。そのような状況を紹介した上で、記事の筆者は次のように述べています(以下意訳):
1955年、1974年、1992年、2005年にもスーパームーンがあった。そして、それらの年には極端な気象があった。これは偶然だろうか。ある人は偶然だと言うだろうし、偶然ではないと言う人もいるだろう。私はここではどちらかの肩を持つことはせず、このような話を信じる場合もあれば信じない場合もあると言うにとどめておこう。しかし、一科学者として私には多くの疑問があり、答えを見つけようと思っている。
たとえば潮汐現象など、月が地球に影響を与えていることを示す科学法則があることは誰でも知っている。また、完全に証明されているとは言えないが、満月の時期の(人などの)異常な行動も、月が地球に与える影響のせいであるという説もある。スーパームーンが極端な気象を助長することはありうるのだろうか。
フェースブック上の AccuWeather のファン・ページのメンバーである Daniel Vogler は 「一番最近スーパームーンがあったのは 2005年の 1月 10日だったが、その直前に M9.0 のインドネシア地震が起きている。その時のエクストリーム・スーパームーンは新月だった。用心した方がいい。何か大きなことが 3月 20日前後に起きるかも知れない(私の推測では ±3日)」 と書いている。
何が起こるのだろうか。地震だろうか。火山噴火だろうか。成り行きを見守るしかないのだと思う。
( 訳注: インド洋大津波を起こしたスマトラ島沖地震は、日本時間 2004年 12月 26日 午前9時58分に発生、マグニチュード 9.3; 日本時間 2005年 1月 10日 19時に月が近日点を通過、同夜 21時 03分が新月 )
以下の記事は、株式市場への影響について書いています。月の位相(満ち欠け)や地球との距離が株式市場に影響することは通常はないが、現在のような不安定な経済情勢では何らかの影響があるかも知れない、とのことです:
トンデモ説を弄ぶ人たちや、フィアモンガー(fear monger)、ドゥームセイヤー(doomsayer)と呼ばれる類の人たちが唱えるような、月の位相や距離と地球上の大災害を短絡させる考えには私は懐疑的です。3月 20日前後には、何かが起きるかも知れないし、起きないかも知れない。いずれにせよ、今月の満月はふだんよりも大きく見えることだけは確かです。
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