以下は、米国地質調査所(USGS)がハワイ島での亀裂からの溶岩流出を説明するために使った図です。左側のマグマだまりから右に向かって伸びているマグマの支脈が薄い板状に描かれていることに気づかれたでしょうか:
New illustration shows how one volcano can have two eruption locations miles apart. Follow the magma trail in this story on the HVO webpage, https://t.co/fXSpF9YxwX pic.twitter.com/N7VYZVM3TS— USGS Volcanoes🌋 (@USGSVolcanoes) May 25, 2018
マグマが地下を通って移動する場合、トンネルかチューブのような断面が円形や楕円形の通路を通っているとイメージしがちですが、マグマの貫入は地下の圧力の高いところで亀裂を押し広げながら進むことになるため、実際は上の図のように板状になることがほとんどです(注)。
キラウエア山のような現役の火山で地下のマグマの形状を直接見ることは不可能ですが、すでに活動をやめてしまった大昔の火山ではそれが可能です。浸食によって周囲の柔らかい岩石が取り除かれ、マグマだまりやそこから分岐したマグマの支脈が地表に露出するからです。
以下は、アメリカのニューメキシコ州にある火山の痕跡の写真です。特に上から3枚目の写真をご覧ください。画面右上にある岩山がかつてのマグマだまりで、そこから左下に向かっているのが貫入したマグマの名残です。垂直の板か壁のような形状をしています:
- Patterns. (写真6葉あり、クリックで拡大)
そばで見るとまさに壁です。高さ約10mとのこと:
- 'Wing' Dike of Hardened Lava in New Mexico (写真あり、クリックで拡大)
富士山の山体内部にも板状のマグマの通り道がたくさんできていると考えられています。以下のページの写真には、宝永火口に露出した複数の板状マグマの痕跡が写っています:
- 伊豆東部火山群の時代(8)火山列の意味 (図、写真あり)
(注) 地表では溶岩チューブあるいは溶岩洞などと呼ばれるトンネル状の構造ができますが、これはマグマの貫入とは別の現象です。以下を参照してください: