2023年10月31日火曜日

セント・ヘレンズ山で小規模地震頻発

 
1980年に山体崩壊をともなう大噴火を起こしたセント・ヘレンズ山(地図)で、マグマの流入に起因するとみられる小規模な地震が増加しています。
 
「 セント・ヘレンズ山の火口底から 4〜8km の深さで発生している小規模な地震は、マグマ輸送系に新たなマグマが流入していることと関連しているとみられている(上の方のグラフでピンク色の部分が過去に観測されたマグマの流入) 」 ↓

 

霧島山(新燃岳)で火山性地震増加

 
霧島山の新燃岳(地図)では、10月20日ごろから、火口直下を震源とする火山性地震が増加しています。噴気や地熱域に変化はなく、傾斜計にも変化は現れていないとのことです:
 
(クリックで拡大 Credit: 気象庁)
 

2023年10月29日日曜日

謎の反復震動 (続報-3)

 
Credit: 防災科学技術研究所
10月21日付「謎の反復震動 (続報-2)」の続報です。
 
東京大学地震研究所が分析結果を発表しています——「14回の地震のうち初回を除く13回と同じタイミングで、津波を発生させる何らかの現象が起きていた。とくに後半の 6回は、発生間隔と津波の周期がほぼ同じだったため、発生した津波が重なり合い、振幅が約 2倍に増幅した」:
 
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2023年10月27日金曜日

木星の「顔」

 
NASA の木星探査機・ジュノーが 9月7日に木星に接近した際に撮影した北極近傍(北緯 69°付近)の画像です。木星の明暗境界線(昼と夜の境目)に近く、低い角度で太陽光が当たっているため、雲の立体感が強調されています。撮影時の探査機から雲頂までの距離は約 7700km です:
 
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2023年10月26日木曜日

2つの小惑星が月と地球に接近・通過

 
2つの小惑星が月と地球の近くを通り過ぎていたことが、10月25日付の NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。どちらも地球近傍を通過後に発見されました。
 
2023 TZ65
(2023年10月25日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月10日 08:36
 (地球)10月10日 11:27
接近日時 誤差
(月)± 3 分
(地球)± 3 分
接近距離 (月)0.70 LD
(地球)0.47 LD
推定直径
3 ~ 7 m
対地球相対速度
21.6 km/s ≅ 7万8000 km/h
初観測から地球接近まで−1 日
次の地球接近
公転周期1369 日 ≅ 3.75 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
 
2023 UH9
(2023年10月25日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月18日 15:59
 (地球)10月19日 02:12
接近日時 誤差
(月)± 12 分
(地球)± 10 分
接近距離 (月)0.30 LD
(地球)0.27 LD
推定直径
2 ~ 4 m
対地球相対速度
9.4 km/s ≅ 3万4000 km/h
初観測から地球接近まで−2 日
次の地球接近2028年5月13日ごろ
公転周期548 日 ≅ 1.50 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2023年10月22日日曜日

志賀山が活火山の可能性

 
信濃毎日新聞』の記事です:
 
長野県北部にある志賀山地図)が、約400年前に水蒸気噴火、6000年前にマグマ噴火を起こしていた可能性が高いことがわかり、活火山として認定される方向となっています。志賀山は、これまでの研究で 7万~24万年前に噴火したとされていました。現在、活火山の定義は「概ね過去 1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」となっています。
 
志賀山から南に約 9km 離れたところには草津白根山(地図)がありますが、志賀高原から草津白根山までの地域で地震活動に連続性が確認され、地下構造にも共通性が見られ、火山活動が相互に関係している可能性が浮上しているとのことです。
 
以下は気象庁の資料からまとめた活火山の定義と活火山数の変遷です:
 
  定義 活火山数
1960年代 噴火の記録のある火山

1975年 噴火の記録のある火山
及び現在活発な噴気活動のある火山
77
1991年 過去およそ2000年以内に噴火した火山
及び現在活発な噴気活動のある火山
83
1996年 (3火山追加)
86
2003年 概ね過去1万年以内に噴火した火山
及び現在活発な噴気活動のある火山
108
2011年 (2火山追加)
110
2017年 (1火山追加)
111
 
111 の活火山のうち、気象庁が火山活動を 24時間体制で観測・監視している「常時観測火山」の数は 50 です。
 

2023年10月21日土曜日

小惑星 2023 UX2 が地球と月に接近・通過

 
10月18日午後に小惑星〝2023 UX2〟が地球と月の近くを通過していたことが、10月20日付の NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。
 
2023 UX2 (2023年10月20日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月18日 16:29
 (月)10月18日 19:53
接近日時 誤差
(地球)± < 1 分
(月)± < 1 分
接近距離 (地球)0.53 LD
(月)0.37 LD
推定直径
3 ~ 7 m
対地球相対速度
18.8 km/s ≅ 6万8000 km/h
初観測から地球接近まで1 日
次の地球接近2026年11月13日ごろ
公転周期1063 日 ≅ 2.91 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
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謎の反復震動 (続報-2)

 
Credit: 防災科学技術研究所
10月13日付「謎の反復震動 (続報)」の続報です。

10月9日の謎の震動や津波の原因について、以前から火山活動の可能性が指摘されていましたが(記事1記事2)、10月20日に海上保安庁が鳥島(地図)西方の海域で、軽石とみられる浮遊物を確認したとのことです:

今回の件と直接関係しているかはわかりませんが、地震の規模に比べて不相応に大きな津波を引き起こす「鳥島近海地震」のメカニズムについて、このような説明があります:
 
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2023年10月20日金曜日

ハチクが開花 — 福島県二本松市

 
福島県二本松市竹ノ内(地図)の民家で、10月上旬からハチクが花を付けています:
 
以下は、ハチクが花を付けた後、どうなるのかについての広島大学による研究成果です。「開花直後に枯死することが確認されました。一方、種子は全く確認できませんでした」「開花から 3年後、開花の有無に関係なく、調査対象のすべての棹が枯れました。種子のできない無駄な開花の後の稈の全滅は合理的でなく、不条理にさえ思えます」: 
 
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イワシ大量死 — 長崎県南島原市、熊本県天草市、韓国南部

 
10月17日朝、長崎県南島原市(地図)の漁港で、同18日朝、熊本県天草市(地図)の漁港で大量のイワシが死んでいるのが相次いで見つかりました。原因ははっきりしていませんが、大型魚に追われたイワシが漁港内に逃げ込み、水温や塩分濃度などの環境の変化についていけずに死んだ可能性や、海中の酸素濃度不足が指摘されています。地元の住民は「こんなことは初めて」と語っています:
 
韓国南部の昌原市 (地図)では、10月11日に同様の事例が発生しています:

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2023年10月19日木曜日

メキシコ湾流が減速

 
“Live Science” の記事です:
 
記事のまとめです ——
  • メキシコ湾流がほぼ確実に弱まっていることが、新たな研究で確認された。9月25日に学術誌 “Geophysical Research Letters” に掲載された研究。

  • フロリダ海峡(地図)を通る温水の流れは過去 40年間で 4% 減少し、世界の気候に重大な影響を与えている。

  • 「この研究結果は、気候に関連する海流の弱体化について我々が持つ最も強力かつ決定的な証拠だ」—— 論文の筆頭著者でウッズホール海洋研究所の物理海洋学者の Christopher Piecuch 氏。

  • メキシコ湾流は間違いなく減速していると結論づけられているが、それが気候変動によるものであるかどうかを現時点で判断するのは難しい。

  • メキシコ湾流はフロリダ付近から始まり、米国東海岸とカナダに沿って北上し、大西洋を横断してヨーロッパに至る。この海流によって運ばれる熱は、温帯条件を維持し、海水準を維持するために不可欠である。

  • カリブ海で始まり、フロリダ海峡を通って大西洋に流れ出すメキシコ湾流は、暖かい南の海水を北にもたらし、熱を大気中に放出した後、北大西洋で海底に沈む。 海底深くに沈んだ後、ゆっくりと南に流れ、そこで再び加熱される。このサイクルが繰り返される。

  • 地球の気候が温暖化するにつれて、溶けた氷床から大量の冷たい淡水が海に流出し、メキシコ湾流の速度が低下したり、完全な崩壊に向かって方向転換したりする可能性がある。しかし、システムの規模と複雑さのため、これを証明するのは困難。

  • 流れが遅くなっているという決定的な証拠を見つけるために、科学者たちは、海底ケーブル、衛星測高法、現地での観測という3つの別々の情報源から得た 40年にわたるデータを分析した。

  • 統計分析によると、海流が 4% 減速しているとう結論が、ランダムな変動によって偶然に生じる可能性はわずか 1%。

  • 一見すると、4% という変化は微々たるものに思えるかもしれないが、「心配なのは、それがスロースタートに過ぎないということだ」—— この研究には参加していないユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの海洋学者、Helen Czerski 氏。「新型コロナウイルスの初期のころのようなものです。人々は『ああ、感染者はたったの60人だ。気にすることはない』という感じでした」、「確かに感染者は 60人しかいないが、昨日は 30人、その前日は 15人だった。1週間先のことを考えれば、問題だ」

黒潮についてはこの種のデータはあるのでしょうか。黒潮大蛇行も気になります:
 

小惑星 2023 UY が月と地球に接近・通過

 
10月14日から 15日にかけて、小惑星〝2023 UY〟が 月と地球の近くを通過していたことが、NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。この小惑星が発見されたのは地球接近の 3日後でした。
 
2023 UY
(2023年10月18日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月14日 12:10
 (地球)10月15日 02:57
接近日時 誤差
(月)± 39 分
(地球)± 31 分
接近距離 (月)0.42 LD
(地球)0.40 LD
推定直径
3 ~ 6 m
対地球相対速度
8.1 km/s ≅ 2万9000 km/h
初観測から地球接近まで−3 日
次の地球接近2024年6月25日ごろ
公転周期348 日 ≅ 0.95 年
分類
アテン群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
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2023年10月18日水曜日

アフガニスタン西部で地震連発 (続報)

 
10月7日付「アフガニスタン西部で地震連発」の続報です。
 
アフガニスタン西部ヘラート州ではその後も地震が頻発しています。特異なのは M6.3 の地震がほぼ同じ場所で 4回も発生していることです。震源の深さは誤差が大きいのが常ですが、数字を見る限り、徐々に浅くなっているようです(発生時刻は日本時間):
  • 10月7日15時41分 M6.3 深さ 14.0km
  • 10月7日16時12分 M6.3 深さ 10.0km
  • 10月11日9時41分 M6.3 深さ 9.0km
  • 10月15日12時36分 M6.3 深さ 6.3km
 
 M6.3 の地震が 4回発生したアフガニスタンの地域の地震活動を更新して拡大した地図。直近のシーケンスを紫色で表示している。 4つのイベントの発震メカニズムは、すべて同様の浅い逆断層である。 このシーケンスの領域の範囲は半径約 20km である 
 
 
OCHA(国連人道問題調整事務所)の発表は、少なくとも 1480人が死亡、1950人が負傷、衛星画像による推定で 289の村が深刻な影響を受け多くが破壊されたとしていますが、報道によっては死者は 2000人前後とも伝えられています。
 
 
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大形で高速の小惑星が地球と月に接近

 
[10月20日 最新の情報にもとづいて接近時刻などを更新しました]
 
10月20日夕方、大形で高速の小惑星〝2023 TK15〟が地球と月の近くを通過します。
 
2023TK15 (2023年10月19日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月20日 16:16
 (月)10月20日 18:47
接近日時 誤差
(地球)± < 1 分
(月)± < 1 分
接近距離 (地球)0.988 LD
(月)0.323 LD
推定直径
18 ~ 40 m
対地球相対速度
22.0 km/s ≅ 7万9000 km/h
初観測から地球接近まで6 日
次の地球接近
公転周期583 日 ≅ 1.60 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2つの小惑星が月と地球に接近・通過

 
10月14日から16日にかけて、2つの小惑星が月と地球の近くを通り過ぎていたことが、NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。どちらも地球接近後に発見されました。
 
2023 TO17
(2023年10月17日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月14日 16:08
 (地球)10月14日 23:35
接近日時 誤差
(月)± 2 分
(地球)± 1 分
接近距離 (月)0.13 LD
(地球)0.14 LD
推定直径
3 ~ 7 m
対地球相対速度
15.2 km/s ≅ 5万5000 km/h
初観測から地球接近まで−1 日
次の地球接近2027年7月1日ごろ
公転周期532 日 ≅ 1.46 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
 
2023 UB
(2023年10月16日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月15日 21:02
 (地球)10月16日 04:08
接近日時 誤差
(月)± < 1 分
(地球)± < 1 分
接近距離 (月)0.37 LD
(地球)0.15 LD
推定直径
3 ~ 6 m
対地球相対速度
15.6 km/s ≅ 5万6000 km/h
初観測から地球接近まで−1 日
次の地球接近
公転周期478 日 ≅ 1.31 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
 
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2023年10月17日火曜日

地球には何枚のプレートがあるのか?

 
〝Live Science〟の記事です:
 
記事の要約です ——
  • 何枚のプレートが地球の表面を覆っているのだろうか? 答えは、見方によって 12枚から 100枚近くまで。

  • ほとんどの地質学者は、12~14枚の主要なプレートがあることに同意している —— (1)北米プレート、(2)アフリカ・プレート、(3)ユーラシア・プレート、(4)インド−オーストラリア・プレート、(5)南アメリカ・プレート、(6)南極プレート、(7)太平洋プレート、(8)フィリピン海プレート、(9)ココス・プレート、(10)ナスカ・プレート、(11)アラビア・プレート、(12)フアン・デ・フカ・プレート。

  • 地質学者によっては、(13)アナトリア・プレート(ユーラシア・プレートの一部)と(14)東アフリカ・プレート(アフリカ・プレートの一部)を独立した存在として数える。

  • マイクロ・プレートを加えると、さらにプレートの数が増える。最大 57枚のマイクロ・プレートが存在すると推定する学者もいる。マイクロ・プレートの数は、マイクロ・プレートをどのように定義するかによって、またプレート境界の変形がどこでどのように現れるのかについてさらに解明されるにつれて、変化し続けるであろう。
 

地盤が急速に隆起 — アイスランド

 
アイスランドでは、2021年、22年、23年に噴火があったレイキャネス半島のファグラダルスフィヤル(地図)で地盤の急速な隆起が観測されており、アイスランド気象局が注意を呼びかけています。マグマの貫入によってマグマ溜まりが形成されているとみられ、クリスマス前に噴火する可能性がある、とのことです。同地域では 8月初旬に噴火の終息が宣言されていました:
 

小惑星 2023 TU15 が月と地球に接近・通過

 
小惑星〝2023 TU15〟が 10月13日に月と地球の近くを通過していたことが、NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。この小惑星が発見されたのは地球接近の 3日後でした。
 
2023 TU15
(2023年10月16日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月13日 02:38
 (地球)10月13日 08:46
接近日時 誤差
(月)± 12 分
(地球)± 13 分
接近距離 (月)1.47 LD
(地球)0.76 LD
推定直径
4 ~ 9 m
対地球相対速度
12.0 km/s ≅ 4万3000 km/h
初観測から地球接近まで−3 日
次の地球接近2065年6月4日ごろ
公転周期818 日 ≅ 2.24 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
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2023年10月14日土曜日

プシケとサイキ

 
10月13日10時19分(日本時間13日23時19分)、NASA の小惑星探査機 Psyche が スペースX社のファルコン・ヘビー・ロケットによってケネディ・スペース・センターから打ち上げられました。同探査機は 2029年8月に小惑星 Psyche を周回する軌道に入る予定となっています。この小惑星は直径が 279km あり、鉄とニッケルに富む「金属小惑星」で、これまで探査機が訪れたイトカワやリュウグウ、ベヌウ(ベンヌ)などとは全く異なった外観をしているのでは、と予想されています:
 
今回のミッションでは、探査機の名前と探査対象の小惑星の名前が同一の〝Psyche〟であるため、日本語の報道ではどのように扱われるか、以前から興味を持っていました。天文学の分野では小惑星の名前〝Psyche〟はギリシア語読みで「プシケ」と呼び習わされていますが、探査機の方は英語の発音に従って「サイキ」と書き分けられるのでしょうか。

ネット上で閲覧できる Psyche の打ち上げを伝える記事で、報道各社の違いを調べてみました。朝日新聞は記事が見つかりませんでした。毎日新聞は共同通信の記事の小惑星名を「サイキ」から「プシケ」に変更し、さらに独自の内容を付け足しています。産経新聞は共同通信が配信した内容をそのまま掲載しています:
 
  小惑星名 探査機名
朝日新聞
毎日新聞 プシケ
読売新聞 プシケ サイキ
産経新聞 サイキ
時事通信 プシケ サイキ
共同通信 サイキ
ナショナル・ジオグラフィック プシケ サイキ
 
 
こうしてみると、小惑星名を「サイキ」としているのは共同通信系の報道だけのようです。校閲がきちんとなされているメディアでは、小惑星名を天文学の用語として「プシケ」を採用しているようです。
 
欧米の言葉をカタカナにするときに、分野によって異なる表記になることはプシケ/サイキ以外にもあります。〝cuticula(cuticle)〟は生物学の分野では「クチクラ」、美容の分野では「キューティクル」ですし、人名の〝Hepburn〟はローマ字に関しては「ヘボン」、映画俳優の名前としては「ヘプバーン(ヘップバーン)」となります。
 

2023年10月13日金曜日

謎の反復震動 (続報)

 
10月10日付「謎の反復震動」の続報です。
 
10月9日の4時台から6時台に「高感度版 100トレース連続波形画像 24時間プレビュー」(防災科学技術研究所)に現れた謎のくり返しパターンは、鳥島近海で起きていた地震活動によるものだったようです。パターンは 14回繰り返しており、以下の地震調査委員会の「評価」や報道記事とも合致します。

< 9日04時台から 06時台の間に、地震規模が小さく震源が決まらないものの、T相と考えられる波を伴う地震が少なくとも 14回発生した >、< 9日午前4~6時台に続いた小さな揺れは、地震波がいったん海中の音波に変わってから再び地震波に戻る「T波(T相)」に注目すると、少なくとも 14回起きていたことが判明 >:
 
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小惑星物質の分析始まる

 
NASA の小惑星探査機 OSIRIS-REx が小惑星ベヌウ(ベンヌ)から持ち帰ったカプセルの分解作業が進んでいます。約 250g とみられる小惑星の物質が収められた容器はまだ開封されていませんが、それに至る経路にもかなり多くの小惑星物質が見つかっています。これらの「ボーナス」を分析した結果 ——

OSIRIS-REx が地球に持ち帰った 45億年前の小惑星サンプルから、予想以上の炭素と豊富な水が発見された。この 2つの組み合わせは、地球上の生命の構成要素がこれらの岩石に閉じ込められている可能性があることを意味する
 
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小惑星 2023 TD7 が地球と月に接近

 
10月14日から 15日にかけて、小惑星〝2023 TD7〟が地球と月に接近します。

2023 TD7 (2023年10月12日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月14日 20:11
 (月)10月15日 07:24
接近日時 誤差
(地球)± 10 分
(月)± 12 分
接近距離 (地球)0.45 LD
(月)0.67 LD
推定直径
4 ~ 9 m
対地球相対速度
10.1 km/s ≅ 3万6000 km/h
初観測から地球接近まで3 日
次の地球接近2030年6月19日ごろ
公転周期322 日 ≅ 0.88 年
分類
アテン群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
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2023年10月12日木曜日

スロバキア東部で M5.0

 
10月9日20時23分(日本時間 10日03時23分)ごろ、スロバキア東部で地震が発生し、ウクライナやポーランドなどの近隣国でも揺れを感じたとのことです。ヨーロッパ地中海地震学センター(EMSC)は M5.0、震源の深さ 4km、米国地質調査所(USGS)は M5.0、深さ 8.3km としています(震央地図)。
 
大きな被害は出ていないもようです。スロバキアの地球科学研究機関は、今回の規模の地震が同国内で発生したのは 90年ぶりとしています。米国が HAARP(High Frequency Active Auroral Research Program)の施設を使ってこの地震を起こしたとの噂が流され、警察が注意を呼びかけているとのことです:
 
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青ヶ島で火山性地震 (続報)

 
5月3日付「青ヶ島で火山性地震」の続報です。

9月29日、八丈島の南約 60km にある青ヶ島(地図)で火山性地震がありました(日別地震回数表)。5月1日以来の発生です(グラフ)。
 
気象庁が今週発表した「青ヶ島の火山活動解説資料(令和5年9月)」(PDF形式)によると、今年の春ごろから島の唯一の GNSS 観測基線で急速な伸びが観測されています。気象庁は「原因不明の変化ですが、火山活動によるものではないと考えています」としています(図 3 参照)。

青ヶ島は気象庁の常時観測火山ですが、火山活動度ランクは〝C〟とされています。
 
 

2023年10月11日水曜日

2つの小惑星が地球と月に接近・通過

 
10月7日から 8日にかけて、小惑星〝2023 TK4〟と〝2023 TJ4〟が地球と月のそばを通過して行きました。
 
2022 TK4 (2023年10月10日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月7日 22:40
 (月)10月8日 00:24
接近日時 誤差
(地球)± 10 分
(月)± 9 分
接近距離 (地球)0.53 LD
(月)1.54 LD
推定直径
5 ~ 11 m
対地球相対速度
14.2 km/s ≅ 5万1000 km/h
初観測から地球接近まで−2 日
次の地球接近
公転周期1460 日 ≅ 4.00 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
2022 TJ4 (2023年10月10日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月8日 04:52
 (地球)10月8日 06:08
接近日時 誤差
(月)± 6 分
(地球)± 6 分
接近距離 (月)1.09 LD
(地球)0.77 LD
推定直径
4 ~ 8 m
対地球相対速度
12.5 km/s ≅ 4万5000 km/h
初観測から地球接近まで−2 日
次の地球接近2080年4月26日ごろ
公転周期508 日 ≅ 1.39 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
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小惑星 2023 TV3 が地球と月に接近 (補足)

 
10月10日付「小惑星 2023 TV3 が地球と月に接近」の補足です。
 
「 新たに発見された小惑星 2023 TV3 は、おそらくチェリャビンスク隕石(の元となった小惑星)と同じくらいの大きさがあり、10月12日に月までの距離の 1/4以下のところを通過する 」: 
 
ポスト(ツイート)中のリンクをクリックすると、GIF動画が拡大します。
 
 

2023年10月10日火曜日

謎の反復震動

 
防災科学技術研究所の「Hi-net 100トレース連続波形画像」で、10月9日04時台に始まり、05時台、06時台までくり返し現れた震動は何なのでしょうか。長野県あたりの観測点で弱い震動が始まり、それが収まると、少し間を置いて今度は西日本でやや強い震動が始まります。それが繰り返されているのですが、くり返しの間隔はだんだん短くなっています。この時間帯に有感地震は発生していません:

小惑星 2023 TV3 が地球と月に接近

 
[10月13日 最新の情報にもとづいて接近時刻などを更新しました]  
[10月12日 最新の情報にもとづいて接近時刻などを更新しました] 
[10月11日 最新の情報にもとづいて接近時刻などを更新しました]
 
10月12日から13日にかけて、小惑星〝2023 TV3〟が地球と月に接近します。

2023 TV3 (2023年10月12日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月12日 21:52
 (月)10月13日 05:32
接近日時 誤差
(地球)± < 1 分
(月)± 2 分
接近距離 (地球)0.22 LD
(月)0.33 LD
推定直径
8 ~ 18 m
対地球相対速度
14.2 km/s ≅ 5万1000 km/h
初観測から地球接近まで5 日
次の地球接近2162年10月11日ごろ
公転周期892 日 ≅ 2.44 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2023年10月9日月曜日

AI による地震予測、試験運用で有望な結果を示す

 
米国テキサス大学のプレス・リリースです:

以下は主要部分の翻訳です ——

人工知能(AI)の助けを借りて地震を予測するという新たな試みにより、この技術がいつか地震による生活や経済への影響を抑えるために利用できるのではないかという期待が高まっている。テキサス大学の研究者が開発した AI アルゴリズムは、中国での 7ヶ月間にわたる試験中に、地震の 70%を発生の 1週間前に正確に予測した。

この AI は、過去の地震データと組み合わされたリアルタイムの地震データから統計的な高まりを検出するように訓練されていた。 その結果、AI は、予測された場所から約 200マイル以内で、計算された強度とほぼ正確に一致する 14件の地震を予測することに成功した。 地震を見逃したのは 1回で、誤った警告を発したのは 8回だった。

同じアプローチが他の場所でも有効かどうかはまだわからないが、この取り組みは AI による地震予測研究における画期的な出来事である。

今回の試験運用は中国で開催された国際コンペティションの一環として行われ、テキサス大学が開発した AI は他の 600の設計の中で 1位を獲得した。テキサス大学のエントリーは、地震学者であり AI の主要開発者である Yangkang Chen が主導した。この試験の結果は、米国地震学会誌『Bulletin of the Seismological Society of America』に掲載されている。

研究者らによると、自分たちの手法は比較的単純な機械学習アプローチに従うことによって成功したという。この AI には、研究チームの地震物理学の知識に基づいた一連の統計的特徴が与えられ、その後、5年間の地震記録のデータベースに基づいて学習するように指示が与えられた。
 
研究者らは、カリフォルニア州、イタリア、日本、ギリシャ、トルコ、テキサスなど、地震観測ネットワークがしっかりしている場所では、AI は成功率を向上させ、数十マイル以内に予測を絞り込むことができると確信している。
 
 

小惑星 2023 TM3 が地球と月に接近

 
[10月10日 最新の情報にもとづいて接近時刻などを更新しました]
 
10月10日夜、小惑星〝2023 TM3〟が地球と月に接近します。

2023 TM3 (2023年10月9日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)10月10日 21:58
 (月)10月10日 22:37
接近日時 誤差
(地球)± 2 分
(月)± 2 分
接近距離 (地球)0.43 LD
(月)1.09 LD
推定直径
11 ~ 25 m
対地球相対速度
11.5 km/s ≅ 4万1000 km/h
初観測から地球接近まで2 日
次の地球接近2025年10月4日ごろ
公転周期237 日 ≅ 0.65 年
分類
アテン群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2023年10月8日日曜日

小惑星 2023 TR1 が月と地球に接近・通過

 
小惑星〝2023 TR1〟が 10月7日に月と地球の近くを通過していたことが、NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。接近時の地球との相対速度は秒速 20km(時速7万2000km)で、かなり高速でした。
 
2023 TR1
(2023年10月7日付予報)
接近日時(日本時間)
(月)10月7日 14:01
 (地球)10月7日 14:25
接近日時 誤差
(月)± < 1 分
(地球)± < 1 分
接近距離 (月)1.25 LD
(地球)0.28 LD
推定直径
3 ~ 6 m
対地球相対速度
20.0 km/s ≅ 7万2000 km/h
初観測から地球接近まで1 日
次の地球接近2026年10月11日ごろ
公転周期531 日 ≅ 1.45 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離)
 
このブログでは、原則として地球から 1LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。