2017年2月28日火曜日

天宮1号が落ちてくる


天宮1号は、中国が2011年9月に打ち上げた同国最初の「宇宙ステーション」(軌道上実験モジュール、宇宙実験室)ですが、現在は制御不能の状態になっており、徐々に高度を下げています。以下のページでは、天宮1号の高度の低下をグラフで見ることができます:

天宮1号の高度は現時点で350kmを下回っています。国際宇宙ステーション(ISS)は定期的にロケットを噴射して高度を400km以上に保っています:

高度が下がるほど大気の抵抗が増すため、今後、天宮1号は高度の低下が加速し、今年後半に大気圏に突入するとみられています。時期や落下地点はその数時間前にならないとわからないとのことです。

天宮1号の全長は約10m、質量は約8.5トン。大気圏を通過する際の高熱で機体の大半は燃え尽きるはずですが、一部の部品は地表に到達する可能性があります。落下の可能性がある地域は北緯43度から南緯43度の広範囲に及んでいます。日本列島もこの範囲に入っています。

ちなみに、人工衛星の落下で被害を受けても補償は得られないのだそうです。


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2017年2月27日月曜日

2・26 日本の真裏で金環日食 (続報)


2月24日付「2・26 日本の真裏で金環日食」の続報です。

2月26日23時58分に新月となり、日本の裏側(対蹠点)にあたるアルゼンチン沖の南大西洋で金環日食がピークを迎えるのに相前後して、福島県沖で地震が連発しました。偶然だとは思いますが。

時刻 事象
23:54 福島県沖 M4.2 深さ約60km 最大震度3
23:58 新月、日本の対蹠点周辺で金環日食がピーク
00:03 福島県沖 M4.9 深さ約50km 最大震度4


福島県沖 M4.9 深さ約50km 最大震度4
気象庁「地震情報(各地の震度に関する情報)」より


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小惑星 2017 DV36 が地球に接近


2月27日正午直前、アポロ型小惑星〝2017 DV36〟が地球に接近します。

この小惑星は2月25日に発見されたもので、直径は7~16m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 DV367~16 2月27日 11:58 1.02
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速10.8km(時速約3万9000km)と予報されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年2月25日土曜日

パイナッポー・エキスプレス


米国西海岸の諸州が2月15日から、今年になって2度目のパイナップル・エクスプレスに襲われ豪雨となりました。パイナップル・エクスプレスは、ハワイ諸島周辺の海域で発生した暖かく湿った気塊が、ジェット気流に乗って「大気中の川」(atmospheric river)のように次々と北米の太平洋沿岸に押し寄せる現象です。NASAでは日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同でこの現象の観測をおこなっています:

「パイナップル・エクスプレス」はハワイの産物にちなんで命名されたもので、正式な用語ではなく、主にマスコミが使用しているとのことです。

日本では、少し前まで「台湾坊主」という用語が、台湾付近で発生して日本に被害をもたらす低気圧に対して使われていました。天気図上の等圧線の形が、坊主頭のように見えることからそう呼ばれるようになったものです。『広辞苑』では「冬季末に台湾付近で発達し、本州南岸沿いに北東進する温帯低気圧の俗称。太平洋岸の降雪の原因となる」と説明しています。「台湾坊主」という用語は、台湾に対する配慮などから現在では「東シナ海低気圧」に置き換えられています。


小惑星 2017 DR34 が地球に接近・通過


2月25日、アポロ型小惑星〝2017 DR34〟が地球に接近、通過しました。

この小惑星は2月22日に発見されたもので、直径は4~9m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 DR344~9 2月25日 13:52 0.58
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速11.4km(時速約4万1000km)と計算されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年2月24日金曜日

薩摩硫黄島の噴火警戒レベルを引き下げ


2月24日、薩摩硫黄島(地図)の噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」から「1(活火山であることに留意)」へ引下げられました。「平成29年1月1日から火山性地震が増加しましたが、1月下旬以降は徐々に減少し、2月5日以降は日回数が10回未満と少ない状態になっています」:

平成29年 No.8 週間火山概況 (2月17日~2月23日)」によれば、火山性微動や地殻変動も観測されていないとのことです。

気象庁が毎日夕方に更新するようになった「火山観測データ」を継続的にモニターしていると、火山活動の高まりや低下していく様子がよくわかります。薩摩硫黄島の火山性地震数は非常に素直に減少していました:

気象庁「薩摩硫黄島の火山観測データ」より


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予測実験の試行 ― 地震予知連絡会


「地震予知」は「地震予測」と名を変えて、地道に研究がおこなわれています。

「群発的地震活動を前震活動と仮定し、その統計的性質から本震発生を経験的に予測した場合、日本海溝の3領域、伊豆半島沖及び長野県北中部では、比較的効率よく予測できる」「熊本地震の直前の活動は今回得られた前震条件を満たした」:

上記の議事録中に出てくる〝CSEP〟は、地震発生予測とその結果を評価する世界的な研究計画で、2006年からT.H. Jordan教授(南カルフォニア地震センター : SCEC)をリーダーとして進行中とのことです。


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小惑星 2017 DG16 が地球と月に接近


2月24日朝、アポロ型小惑星〝2017 DG16〟が地球に接近しました。同小惑星は今夜、月に接近します。

この小惑星は2月21日に発見されたもので、直径は4~8m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 DG164~8

(地球) 2月24日 06:08
 (月) 2月24日 20:52
0.36
0.18
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速6.9km(時速約2万5000km)と予報されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2・26 日本の真裏で金環日食


2月26日深夜23時58分(日本時間)に新月となりますが、この時、日本の真裏(対蹠地、対蹠点)である南米アルゼンチン沖の南大西洋では金環日食が見られます。私たちは地球の裏側から太陽と月に引っ張られるわけです。この日に身長を測ったらいつもより低い結果が出るかも。何かが起きそうな気がします(笑)


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2017年2月23日木曜日

トラピスト-1 星系に7つの地球型惑星


今朝は午前3時前に起床して NASA-TV の記者会見報道をリアルタイムで視聴したのですが、これまでの NASA の「重大発表」に比べると失望感が少なかった感じです。太陽系外惑星のスペクトルの中に葉緑素からの反射に近いパターンが見つかった、というような地球外生命に直接結びつく発表を期待していたので、その点では少しがっかりでしたが。

発表内容は、地球から約40光年離れたトラピスト-1 という恒星の周りを、地球に近い大きさの地球型惑星(岩石惑星)が7つ公転しており()、そのうち少なくとも3つの惑星はハビタブル・ゾーン(生命居住可能領域=恒星からの距離が適度で、水が液体で存在しうる範囲)にあることがわかった()というものです:

以下は英文の発表内容ですが、研究の中心となった ESO(ヨーロッパ南天天文台)の発表が図や動画が豊富です:

日本語の一般向け報道記事にはあまり載っていない情報を少しまとめて見ました:

  • 恒星トラピスト-1(TRAPPIST-1)は赤色矮星(red dwarf)で、質量は太陽の8%、直径は太陽の10%で木星より少し大きい程度()。明るさは太陽の0.05%程度で非常に暗い。表面温度は約2300℃。

  • 暗く燃料の消費が少ないトラピスト-1 の寿命は10兆年で、惑星の上で生命が進化するには十分な時間がある(太陽の寿命は残り数十億年)。

  • トラピスト-1 はみずがめ座とうお座の間にあり、みずがめ座に属している(星図、いかにも水を連想させる位置にあります)。

  • 〝TRAPPIST〟は、同星を発見したプロジェクトと望遠鏡の名前〝TRAnsiting Planets and PlanetesImals Small Telescope〟に由来する。望遠鏡の口径は60cmで、南米チリの ESO La Silla Observatory に設置されている。

  • 7つの惑星はトランジット法によって発見された(観測によって得られた減光グラフ)。

  • 7つの惑星の公転軌道は、太陽系の水星の公転軌道よりも小さい()。1番内側の惑星(1b)の公転周期は36時間(1.5日)、最も外側の惑星(1h)でも公転周期は14~25日程度。

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2017年2月21日火曜日

ザトウクジラ漂着 ― 沖縄県嘉手納町


2月19日、沖縄県嘉手納町の兼久海浜公園(地図)の海岸に、ザトウクジラの死骸が漂着しているのが見つかりました。体長5.25mで子どもとみられています。「近年、ザトウクジラの数が増えている。(中略)それに伴って打ち上げられる個体数も増えていると考えられる」(沖縄美ら島財団総合研究センター):

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近畿圏中心領域大型地震 (続報-143)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が2月20日15:00付で更新情報を出しています ―― 2月21日± の可能性は否定:

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期 CH17(八ヶ岳)が2月25日± に終息した場合には 3月10日± の可能性。
CH17、K10(高知観測点)が3月1日以降も継続した場合は、実際の前兆終息を観測した上で続報予定。
推定時刻 午前9時±1時間 (または午後6時±3時間)
推定震央領域 岐阜県、福井県、石川県南部、滋賀県北部
更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
火山にある程度近い可能性あり
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の地震、震源の深さ30km以浅
 

▼ 現状
  • CH17(八ヶ岳) 長期にわたって糸状特異が継続していたが2月2日から約36時間にわたって静穏化。その後、再出現。2月11日20時ごろに再び静穏化するも、2月18日から再出現。

  • CH26(八ヶ岳)、CH32(八ヶ岳) 1月10日に火山帯近傍地震前兆(S型近似)が出現。CH32には1月16日を中心に櫛歯前兆も出現。(注: 櫛歯前兆とは、基線から数十秒ごとに突出する変動によってグラフが櫛の歯状になる変動。浅い地殻の地震や火山活動、群発地震の前兆として出現。)

  • K6(高知観測点) 1月16日を中心に連続BF(PBF)近似の前兆がまとまって出現。(注: PBF前兆とは連続周期的な基線のうねり変動。極大時に集中出現した場合は、PBFの出現継続時間の合計が地震規模に相当する。)

  • K10(高知観測点) 2月20日午後時点で特異状態が継続中。

▼ 考察
  • 現在は第23ステージと認識。

  • K10(高知観測点)に出現中の特異前兆が2月16日± に終息した場合には2月21日± に地震発生の可能性があったが、K10の特異は継続 → 2月21日± の可能性は否定。

  • CH17(八ヶ岳)の糸状特異が2月18日から再出現。これが直前特異であるとすれば2月26日± の可能性も考えられた。この場合、K10(高知観測点)の特異が2月19日± に終息すると計算される。しかし、K10は継続出現中。さらに、CH17の糸状特異も継続していることから、2月19.0日中心の直前特異とは考え難い → 2月26日± の可能性も否定。

  • 第23ステージは、これまでのステージと違って極大の出現が少ない。極大と認識できるのは1月15日とCH20(八ヶ岳)の1月30日。これらの極大に対応する初現は、第22ステージの前兆が顕著であるために識別がきわめて困難。しいて初現と見なせるのは、CH17(八ヶ岳)糸状特異の継続出現開始日やCH20(八ヶ岳)特異の継続出現開始日。これらを初現と仮定して経験則を当てはめると3月10日± と4月10日± が算出される。

  • 火山帯近傍地震前兆の可能性がある K6(高知観測点)のPBF前兆(注: 連続周期的な基線のうねり変動)とCH32(八ヶ岳)の櫛歯前兆(注: 基線から数十秒ごとに突出する変動によってグラフが櫛の歯状になる変動。浅い地殻の地震や火山活動、群発地震の前兆として出現)は1月16日が極大と認識。No.1778前兆の別形態前兆である可能性あり。これらの前兆の初現・極大からも3月10日± の可能性が算出される。

  • 以上から次に可能性のある地震発生推定日は3月10日±。この場合、CH17(八ヶ岳)は2月25日±、CH20(八ヶ岳)とK10(高知観測点)は2月28日± に終息すると計算される。

  • 3月1日以降もCH17(八ヶ岳)やK10(高知観測点)などに前兆が継続出現した場合は、4月10日± の可能性が出てくる。

  • 2017年になってから発生した 1月5日福島県沖(M5.3)、1月13日千葉県北東部(M4.9)、2月19日千葉県東方沖(M5.4)の前兆検出、地震発生を推定。良好な結果であった。

串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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2017年2月19日日曜日

小惑星 2017 BD が地球に接近


2月21日、アポロ型小惑星〝2017 DB〟が地球に接近します。

この小惑星は2月16日に発見されたもので、直径は10~23m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 DB10~23 2月21日 01:34 1.82
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速8.1km(時速約2万9000km)と予報されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年2月18日土曜日

活断層の解説書 ― 文部科学省と気象庁


文部科学省の「特別の機関」である地震調査研究推進本部と、国土交通省の外局である気象庁が共同で「活断層の地震に備える -陸域の浅い地震-」という解説書を作成しました。全国版(PDF形式)と地方版が用意されていますが、地方版は今のところ関東地方版(PDF形式)だけです:

多面体の小惑星 2017 BQ6


2月7日(日本時間)に地球に6.6LD(1LD=地球から月までの平均距離)まで接近した小惑星〝2017 BQ6〟のレーダー画像をNASAが公開しています。他の地球近傍小惑星と違って非常に角張った形状をしています。画像の解像度は1画素あたり3.75m。この小惑星のサイズは200mほどで、約3時間周期で自転しています。「鋭い角、平らな領域、凹面、おそらく岩だと思われる輝点が見てとれる」:

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伽藍岳から噴気あがる ― 大分県由布市 (続報-2)


2月15日、伽藍岳(地図)で噴気が稜線上 100mまで上がっているのが観測されました。前回噴気が観測されたのは1月6日で、2010年の観測開始以来初めてのことでした:

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湾内にイルカ2頭迷い込む ― 和歌山県田辺市


2月14日から、和歌山県田辺市新庄町の内の浦湾(地図)内にイルカ2頭が迷い込んでいるのが目撃されています。体長約1.5mで子どもとみられています。「内の浦湾の入り口付近も含めると1年に1回ぐらい、イルカやクジラが迷い込んでいるのが目撃される」:

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2017年2月17日金曜日

サケガシラ(?)漂着 ― 新潟県糸魚川市


2月15日、新潟県糸魚川市の青海川(地図)河口近くの海岸に、サケガシラとみられる魚が打ち上げられているのが見つかりました。体長1.78mで、すでに死んでおり、頭部などが失われた状態でした。「サケガシラでほぼ間違いない」、「県内での報告はしばしばあるが、珍しい」(上越市立水族博物館):

新潟県では深海魚や珍しい魚の捕獲や漂着が続いています:

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小惑星 2012 TC4 が地球衝突コースに (続報)


12年10月8日付「2つの小惑星が地球接近」と15年4月21日付「小惑星 2012 TC4 が地球衝突コースに」の続報です。

今年10月12日(日本時間)、アポロ型小惑星〝2012 TC4〟が地球に異常接近する可能性があります。今年後半に入るとマスコミも騒ぎはじめると思われます。現時点では観測データが限られているため、接近日時、接近距離ともに予報に幅がありますが、地球に衝突する可能性も完全にゼロではないとされています。

この小惑星は2012年10月に発見されたもので、直径は12~27m と推定されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2012 TC412~27

10月12日 12:29
(±05:34)
 0.034 (mimimum)
 0.037 (nominal)
 1.13   (maximum)
(1LD=地球から月までの平均距離) 

接近距離の0.034LD、0.037LD、1.13LDは、それぞれ約1万3200km、1万4400km、43万3300kmに相当します。これらの距離は地球の中心から測ったものですから、地上からの距離は地球の半径約6400kmを差し引く必要があります。ちなみに、気象衛星「ひまわり」などの静止衛星の軌道は地上から約3万6000kmのところにあります。

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速9.9km(時速約3万6000km)と計算されています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2017年2月16日木曜日

タバコ族議員と政治献金の実態


日本禁煙学会のサイトから。タバコ業界から「自民党議員への献金額」の一覧表や、自由民主党たばこ議員連盟の役員表などが掲載されています:

「他党への献金は私たちが調べた限りでは、ほとんど無い」と書かれていますが、今朝の『朝日新聞』によれば、民進党でも赤松広隆氏(旧社会党書記長、衆議院副議長など)や野田佳彦・元首相は受動喫煙対策に後ろ向きの発言をしています。

人工知能で地震予知 (続報)


16年8月25日付「人工知能で地震予知」の続報です。

科学誌『サイエンティフィック・アメリカン』の記事によると、ロスアラモス国立研究所のポール・ジョンソン博士らの研究で進展があったようです。まだ実験室段階ですが、「テクトニック・プレートが動くにつれて、軋んだり擦れたりする音が連続的に発生するが、(人工知能の機械学習)コンピューター・アルゴリズムが(地震の前兆となる)信頼度の高いシグナルを(膨大な)音響データの中から見つけ出した」とのことです:

記事によると、実際の自然界のデータに適用する試験がすでに始まっているとのことですが、この方法が成功すれば地震を数ヶ月前から数年前に予知することが可能になるとジョンソン博士は考えているそうです。


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えびの高原硫黄山で新たな噴気


2月13日、霧島連山えびの高原の硫黄山(地図)で、これまでとは別の場所から噴気が上がっているのが見つかりました:

硫黄山周辺の噴火警戒レベルは先月13日に「レベル1(活火山であることに留意)」に引き下げられています。

えびの市のホームページでは、現時点で上記の情報は掲載されていません。先月、噴火警戒レベルが引き下げられた際には即日、「重要なお知らせ」としてページのトップに表示されたのですが、今回は沈黙しています。安心情報と危険情報の取り扱い方が逆転しているのではないでしょうか。地元の観光業界への配慮があるのかも知れません。


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2017年2月15日水曜日

深海性のフグ捕獲 ― 和歌山県すさみ町


2月12日、和歌山県すさみ町見老津(地図)の遊漁船が、水深約80メートルの海域で深海性のウチワフグを釣り上げました。全長45cm。「40年船に乗っているが初めて見た。他の漁師も見たことがないと話している」(遊漁船の船長):

フグ目ウチワフグ科の現生種はこのウチワフグ1種だけ。遺伝子的にはハコフグ科と非常に近縁で、フグ科やカワハギ科とは比較的遠い関係にあるそうです。


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リュウグウノツカイ漂着 ― 新潟県柏崎市


2月14日、新潟県柏崎市宮川(地図)の海岸にリュウグウノツカイが打ち上げられているのが見つかりました。体長2.75mで、すでに死んでいました。新潟県内では19例、柏崎市では6例目:

フィリピンでは2月10日にM6.5の被害地震がありましたが、その2日前に震央近くでリュウグウノツカイが見つかっています:

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3地域に緊急地震予測 ― 早川名誉教授


早川正士・電気通信大名誉教授(『予知するアンテナ』)の地震予測です ―― 「近日中にも東京、千葉を含む各地で地震が起きる恐れ」:

記事から抜粋すると ――
  • 2月16日まで 東北地方の陸上・海底でM5.5前後、青森、岩手で最大震度4程度

  • 2月18日まで 東北地方南部~千葉北部にかけて、陸上ならM5.0、海底ならM5.5前後、宮城、福島、茨城、千葉で最大震度4程度、東京、神奈川で最大震度2の恐れ

  • 2月18日まで 九州全体で陸上・海底でM5.0前後、最大震度4程度

早川氏の予測については以下もお読み下さい:

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2017年2月14日火曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-142)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が2月13日16:30付で更新情報を出しています:

以下は今回の更新情報のまとめです ――

推定時期 K10(高知観測点)に出現中の前兆が2月16日± に終息した場合には2月21日±2日
K10が2月17日以降も継続した場合にはその後の観測に基づいて再推定。
推定時刻 午前9時±1時間 (または午後6時±3時間)
推定震央領域 岐阜県、福井県、石川県南部、滋賀県北部
更新情報の地図参照 (点線: 大枠推定領域、太線: 可能性が考えやすい領域)
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の地震、震源の深さ30km以浅
 

▼ 現状
  • CH17(八ヶ岳) 長期にわたって糸状特異が継続していたが2月2日から約36時間にわたって静穏化。その後、再出現。2月11日20時ごろに再び静穏化。すでに43時間以上経過するが静穏状態が継続。

  • CH26(八ヶ岳)、CH32(八ヶ岳) 1月10日に火山帯近傍地震前兆(S型近似)が出現。CH32には1月16日を中心に櫛歯前兆も出現。(注: 櫛歯前兆とは、基線から数十秒ごとに突出する変動によってグラフが櫛の歯状になる変動。浅い地殻の地震や火山活動、群発地震の前兆として出現。)

  • K6(高知観測点) 1月16日を中心に連続BF(PBF)近似の前兆がまとまって出現。(注: PBF前兆とは連続周期的な基線のうねり変動。極大時に集中出現した場合は、PBFの出現継続時間の合計が地震規模に相当する。)

  • K10(高知観測点) 特異状態が継続中。

▼ 考察
  • No.1778前兆は2008年7月から8年7ヵ月以上にわたって継続。観測歴上最長の継続期間。

  • 現在は第23ステージと認識。

  • CH17(八ヶ岳)の静穏化が現状のまま続いた場合は、1月15日の極大に対応する静穏化の可能性(注: 前回の更新情報では1月14.3日が極大とされていた)。

  • CH17(八ヶ岳)の静穏化が現状のまま続く場合、経験則より2月21日± が算出できる。この場合、K10(高知観測点)の前兆が2月16日± に静穏化するはず。

  • K6(高知観測点)のPBF継続時間は M6.8±0.5 相当。

  • CH26(八ヶ岳)、CH32(八ヶ岳)、K6(高知観測点)に出現した前兆は火山帯近傍地震前兆の可能性がある。No.1778前兆の別形態前兆の可能性もある。

串田氏の地震予測手法については、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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2017年2月13日月曜日

孤独なイルカ、川を遡る ― イタリア


イタリア中部トスカーナ州の州都フィレンツェや、斜塔で有名なピサ(地図)を通って地中海に注ぐアルノ川を、1頭のハンドウイルカが遡上しています。

イルカが最初に目撃されたのは昨年の大晦日。その後、目撃される頻度が上がるとともに、場所が徐々に上流に移ってきました。現在は、河口から約9km離れたピサ市街の中心部に近いところに出没しています。

トスカーナ州の環境保護当局によると、同州ではこのようにイルカが川を遡ったという記録はなく、非常にまれなできごと。また、イルカの健康状態に問題はなく、ピサ市民に対してはイルカから100m以上の距離を保つこと、エサを与えないことなどを指導しているとのこと:

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伽藍岳から噴気あがる ― 大分県由布市 (続報)


1月10日付「伽藍岳から噴気あがる ― 大分県由布市」の続報です。

1月6日に伽藍岳(地図)から噴気が上がった件について、気象庁が2月8日に発表した「鶴見岳・伽藍岳の火山活動解説資料(平成29年1月)」(PDF形式、写真あり)には次のように記載されています:
大分県監視カメラによる観測では、6日に伽藍岳で噴気が稜線上 100mまで上がりました。伽藍岳の南西側では以前から現地調査で噴気地帯が確認されていますが、この場所の噴気を観測したと推定されます。監視カメラで伽藍岳の噴気を観測したのは、2010 年に遠望観測を開始して以来初めてです。

このため、6日に赤外熱映像装置による現地調査を実施しましたが、伽藍岳の噴気地帯では噴気の状態や熱異常域の分布に特段の変化は認められませんでした。

その後、監視カメラでは伽藍岳で稜線を越える噴気は認められていません。

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2017年2月12日日曜日

M6.5 地震の2日前、リュウグウノツカイ捕獲 ― フィリピン


2月8日、フィリピン・ミンダナオ島北東部 Agusan del Norte(地図)の沖で、体長約3mの深海魚リュウグウノツカイが漁師によって捕獲されました。 その2日後の2月10日午後10時過ぎ(現地時間)、同じくミンダナオ島北東部の港湾都市スリガオ近海でM6.5(深さ15km、現地報道ではM6.7、震央地図)が発生し、少なくとも5人の死者(落下物によるもの4人、心臓麻痺1人)がでています:

捕獲場所の地図と震央地図を比較すると非常に接近していることがわかります。

上記の記事では、リュウグウノツカイに関する日本の伝承や、日本人の研究者 Kiyoshi Wadatsumi(弘原海清)氏や Hiroshi Tajihi 氏の説が紹介されています。


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最大級のクジラ集団座礁、そして地震連発 ― ニュージーランド


2月10日朝にニュージーランド南島北端部の海岸(地図)で見つかったゴンドウクジラの集団座礁事件。当初は約400頭で、同国で記録が残る19世紀以降では3番目に多いとされていましたが、後続の群れが次々に砂浜に乗り上げ、最新の報道では650頭余に達しています。

南島では12日朝からM5.2を筆頭に、M3.2、M4.2などの地震が発生しています。専門家は、昨年11月14日に発生したカイコウラ地震(M7.8)の余震であって、クジラの集団座礁とは関係がないとしています:

集団座礁が発生した Farewell Spit(さよなら岬、地図)はイルカやクジラの集団座礁が多発する場所として有名です。イルカやクジラの通り道となっている北島と南島の間の海峡に面し、湾を取り囲むように細長い砂嘴が伸びていて、湾内は遠浅になっています。このような天然の定置網ともいえる地形がイルカやクジラの集団座礁を誘発している可能性があります。

以下の記事には、1970~2017年の間に座礁が発生した地点を時系列で示す動画(赤い点が大きいほど規模が大きい)と、1840~2017年の間に50頭以上の集団座礁が発生した地点を示す地図が掲載されています:

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2017年2月10日金曜日

感震ブレーカーは有効か危険か


一定の震度以上の揺れがあるとブレーカーを遮断する感震ブレーカーは、震災時に電気器具から発生する火災を防ぐのに有効とされていますが ・・・

その一方で、同じ神奈川県内のローカルニュースですが、感震ブレーカーは危険だという指摘もあります:

停電すると自動的に点灯する非常灯と併用する必要がありそうです。


珍魚の漂着相次ぐ ― 新潟県


この冬、新潟県ではクサビフグ、アカナマダ、ヤリマンボウ、メイタイシガキフグ、ホシフグなど珍魚の漂着が相次いでいます。原因はわかっていません。「今冬の対馬海流は大きく蛇行しているわけではない」(第9管区海上保安本部)、「かなりの当たり年」(新潟市水族館マリンピア日本海)、「たまたま報告が多かった可能性もある」(新潟県水産海洋研究所):

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バイカル湖から立ち昇る火の柱


凍結したバイカル湖(地図)の表面に孔を開けて点火すると、氷に閉じ込められていた天然ガスが大きな音とともに噴き出し、火の柱が出現します。世界でもっとも深い湖であるバイカル湖は石油や天然ガス、瀝青などが豊富に分布しているそうです:

記事によると「バイカル」は、ブリヤート族の言葉で「立ち昇る火」を意味する「bai gal」に由来するとのこと(Wikipediaでは、モンゴル語で「自然の湖」を意味する「バイガル ノール」が語源であるとしています)。

地殻の構造線に沿って形成された湖は天然ガスに恵まれていることが多く、日本の諏訪湖でも天然ガスが湧き出しています:

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正体不明のスペース・カプセルが着陸 ― 米国アリゾナ州


2月6日、米国アリゾナ州カーサ・グランデ(地図)近くの国道脇の砂漠で、宇宙から降下してきたとみられるかなり大きなスペース・カプセルのようなものが見つかり騒ぎになりました。カプセルの側面には小さな星条旗が描かれていますが、NASAの科学者はこの大きさのカプセルで行方不明になっているものはないと言明しています:

カプセルの正体は、なんとコンクリート・ミキサー車のミキサー部分。国道脇に30~35年前から放置されて錆びだらけになっていたものを「アーティスト」が素早く塗装し、ダミーのパラシュートを取り付けたものだそうです。パラシュートに引きずられてカプセルが移動したような痕跡も作られていて、なかなか手が込んでいます。


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漏斗雲 ― ブラジル


ブラジルのリオデジャネイロで2月7日に撮影された漏斗雲(Funnel Cloud)です。撮影は日没の約1時間半前。地上のものを吸い上げようとしているかのようです。漏斗雲は大気の渦をともなっているため、この雲を見かけたときはとにかく逃げるのが正しい対応なのだそうです。撮影者は逃げずに踏みとどまって雲の変化を撮影し続けたわけですが、この時は幸いにも大きな竜巻や嵐に発展することはなかったそうです:

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2017年2月9日木曜日

縁海はどのようにしてできたのか ― 南シナ海中央部を掘削


海洋研究開発機構(JAMSTEC)の発表によると、南シナ海や日本海などの縁海(背弧海盆)がどのようにして形成されたのかを探る研究航海が2月7日から始まっています。南シナ海の真ん中で海底を掘削することになっており、昨年12月に起きた中国軍によるアメリカ海軍の海洋調査用無人潜水機強奪事件のような妨害がまたあるのではと思ったのですが、研究チームに中国の研究者も加わっているので大丈夫そうです:

上掲の発表文や記事によると、縁海(背弧海盆)の形成メカニズムについては(1)地球深部からの高温マントルの上昇、(2)大陸地殻の薄化、という2つのモデルがあるようです。

背弧海盆について『プレート収束帯のテクトニクス学』(木村学著、東京大学出版会、2002)には次のような記述があります:
この背弧海盆は海洋性の地殻をもち、かつ多くのものが海嶺の両側で見られるのと同じように地磁気の縞模様をもつので、島弧が大陸から離れて開いた海であることは疑いがない。

(中略)

1970ー80年代を通じて、プレートテクトニクスに基づいてなぜ背弧海盆が開くのかを説明するさまざまなモデルが提案された。しかし、背弧海盆が西太平洋と南太平洋地域に偏在していること、時間的に定常的に形成されているのではなく、集中的に形成される時代があるらしいことなどを含めて、すべてを説明する適切なモデルはいまだない。背弧海盆形成の問題は個体地球の表層のプレートテクトニクスだけを見ていては解決しそうにない。

『プレート収束帯のテクトニクス学』では、提案されているさまざまなモデルは大きく積極的拡大モデルと消極的拡大モデルに二分されるとしています。前者は上記(1)、後者は(2)に相当するものと考えられます。

(2)の「大陸地殻の薄化」はわかりにくいと思いますが、大陸の縁に沈み込むプレート(スラブ)が海側へ徐々に後退していく(海溝が大陸から遠ざかる)ことなどによって大陸の地殻が引き延ばされ薄くなることを指しています。


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青函トンネル内で隆起や圧縮


青函トンネルの先進導坑内部で路盤の隆起(5.2cm)やトンネル幅の縮小(4.7cm)が起きています。現場は津軽海峡中央部より北海道側。先進導坑は排水や換気に使われており、新幹線を含む列車が走行する本坑部分には影響は出ていないとのことです:

2017年2月6日月曜日

プレートが滑るわけ


京都大学、東北大学、海洋研究開発機構が共同で科学誌〝Nature Communications〟に発表した研究成果です。「地球でプレートテクトニクスが起こっている理由が、プレート直下のアセノスフェアが部分的に融けているからであるということが、本研究によってほぼ確実になりました」とのこと。それにしても「プレートテクトニクスの根幹に関わる論争決着に大きな前進」という副題はインパクトがあります:

これまでの経緯は ――
  1. プレートテクトニクス理論成立初期は、アセノスフェアが部分的に溶けていることが原因であるとするアセノスフェア部分溶融説が有力視されていた。

  2. その後、微量な水が存在するだけで、溶けなくてもマントルかんらん岩は柔らかくなるといった非溶融説が複数提唱され有力視される。

  3. さらにその後、二酸化炭素を含むマントルかんらん岩の高温高圧溶融実験や地球物理学的解析によって、アセノスフェアに二酸化炭素を大量に含むマグマが存在している可能性が提唱された。しかし物的証拠はなかった。

今回の研究では ――
  1. 日本海溝近傍のプチスポット火山のマグマに着目。プチスポットのマグマには、他の火山のマグマに比べてはるかに大量の二酸化炭素が含まれていることが明らかになっていた。

  2. 二酸化炭素に富むプチスポットマグマが実際にはどこで生成されたのかを決定するために、複数相飽和実験と呼ばれる高温高圧溶融実験を実施。

  3. その結果、プチスポットマグマがプレート下部ではなく、プレート直下のアセノスフェアに由来することの証拠をつかんだ →

    1. アセノスフェアは二酸化炭素の存在によって部分的に溶けており、
    2. そのマグマがプレートの屈曲に伴ってプレート下部に貫入し、周囲のマントルかんらん岩と化学的に安定に共存する状態(最終平衡)に達し、
    3. その後噴火したものがプチスポットであることがわかった。

  4. アセノスフェアが部分的に溶けているという仮説は、仮説ではなく確かな現象であることが実証された。

プチスポット火山についてはこのブログでも紹介したことがあります:

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失われた大陸〝モーリシア〟


約2億年前に始まったゴンドワナ超大陸の分裂。それによって生じたさまざまな大きさの大陸性地殻の断片が、薄く引き延ばされてインド洋の海底に散在しているとのことです。研究者たちはそれらを総称して〝モーリシア〟と呼んでいます。南アフリカとドイツの研究チームが Nature Communications 誌に発表した研究成果です(モーリシアの地図):

以下は上掲記事の元になった南アフリカ共和国・ビトバーテルスラント大学の報道発表("Lost continent" found under Mauritius)の主要部分をテキトー訳したものです:
  • インド洋のモーリシャス島の地下に〝失われた大陸〟が存在することが確認された。この〝失われた大陸〟は約2億年前に始まった超大陸ゴンドワナの分裂から取り残されたものである。

  • その地殻の断片は、その後のモーリシャス島の噴火によって噴き出した新しい溶岩に覆われているが、アフリカ、インド、オーストラリア、南極大陸が分かれてインド洋が形成された際にマダガスカル島から分離した過去の大陸の小さな破片であると考えられる。

  • 火山噴火によって噴出した岩石中に含まれるジルコンという鉱物を調べると、この鉱物がモーリシャス島よりもはるかに古い時代の残存物であることがわかった。

  • 地球は2つの部品によって形成されている ― 古い大陸と若い海洋である。大陸では40億年前よりも古い岩石が見つかるが、海洋ではそのような古い岩石は見つからない。なぜなら海洋は新しい岩石が作られる場所だからである。

  • モーリシャスは海洋の中の島で、900万年前より古い岩石は存在しない。しかし、島の岩石を調べると、30億年よりも古いジルコンが見つかる。

  • ジルコンは主として大陸で形成された花崗岩の中に見つかる鉱物である。ジルコンには微量のウラニウム、トリウム、鉛が含まれている。それらは地質学的過程に非常によく耐える。そのため、過去の地質学的過程の記録を温存しており、また、年代をきわめて正確に測定できる。

  • このように古い時代のジルコンが見つかるという事実は、モーリシャス島の地下に、島よりももっと古い時代の地殻物質が存在していることを証明している。そしてその地殻物質は大陸でしか形成されないものである。

  • 数十億年前のジルコンがモーリシャス島で発見されたのは今回が初めてではない。2013年におこなわれた研究では、海岸の砂の中に微量のジルコンが発見された。しかし、発見されたジルコンは風によって運ばれてきたり、車両のタイヤや科学者の靴に付着して運ばれてきた可能性があるという批判を浴びた。

  • 今回発見された太古のジルコンが600万年前の粗面岩の中に含まれていたものであるという事実は、以前の研究を補強し、風や波で運ばれたとか軽石に含まれて漂着したという指摘への反証となる。

  • ゴンドワナ大陸の分裂によって取り残された「未発見の大陸」のさまざまな大きさの断片(「モーリシア」と総称)がインド洋の海底に散在している、と今回の発表をおこなった研究者は示唆している。

  • 今回の新しい研究成果によれば、ゴンドワナ超大陸は単純に分かれたのではなく、複雑に分裂し、さまざまな大きさの大陸地殻の断片が拡大するインド洋に取り残され漂ったことになる。

2017年2月2日木曜日

カトラ山に噴火の可能性 ― アイスランド


アイスランド南部のカトラ山地図)で、地震の頻度が上がり噴火の可能性が取りざたされています。1月26日には M4.3 の地震が、ミルダルスヨークトル氷河に覆われている同山のカルデラ中央部で発生しました。防災当局は旅行会社などに対して緊急時の対応策を準備するように指示しています:

カトラ山では、地震が頻発して噴火の可能性が高まったことがこれまでに何度もありますが、そのたびに沈静化して事なきを得ています。今回はどうでしょうか。


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太陽柱と「集束雲」


2月1日朝、三重県志摩市にある横山展望台(地図)から東の方角を写した写真です。画面右に太陽柱(サンピラー)、左の地平線(水平線)上に富士山が写っています。遠近法の効果なのでしょうが、雲が富士山に向かって集束しているように見えます:

2月1日、太陽柱は静岡でも見られました:

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2017年2月1日水曜日

「地震の前兆」って本当にあるの?


実際に大地震に遭った人たちはほとんどが「大地震の前兆など何も感じなかった。前触れもなく突然、大地震が起こった」と言っている、取りざたされている前兆は「どれも科学的な根拠は乏しい」とのことです:

小名浜港内にイルカの群れ ― 福島県いわき市


福島県いわき市の小名浜港内(地図)にカマイルカとみられるイルカの群れが出没しています。1月31日にも6~7頭の群れが現れたとのこと。「カマイルカはいわき沖を含む日本各地の沖合に生息するが、港湾内に入ってくるのは珍しい」(アクアマリンふくしまの獣医師):

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小惑星 2017 BS32 が地球と月に接近


2月3日、アテン型小惑星〝2017 BS32〟が地球と月に接近します。

この小惑星は1月30日に発見されたもので、直径は11~26m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2017 BS3211~26

(地球) 2月3日 05:22
 (月) 2月3日 09:45
0.42
0.75
(1LD=地球から月までの平均距離) 

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は秒速11.6km(時速約4万2000km)と計算されています。

なお、この小惑星の接近時刻には現時点で±6分の誤差が見込まれています。

このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2月に接近するキロメートル級小惑星


推定直径が1km以上の小惑星で、2017年2月中に地球に接近すると予報されているものは4つあります。かなり遠いところを通過するので、地球に影響をおよぼすことはありません:

小惑星 推定直径
(km)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
413002 (1999 VG22)0.46~1.02月3日 17:3262.84
443103 (2013 WT67)0.67~1.52月18日 03:2744.17
(2001 QE34)0.56~1.22月22日 23:5665.99
10636 (1998 QK56)0.77~1.72月24日 22:3252.99
(1LD=地球から月までの平均距離) 

なお、2月11日17時22分に 45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova 彗星が地球に 32.37LD まで接近します。同彗星は木星族に分類され、直径は 1.6km と推定されています。


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