2009年8月5日水曜日

木星の黒斑、金星の白斑

木星と金星の表面に、通常は見られない斑点が同じ日に発見され、話題になっています。どちらも発見されたのは 7月 19日。木星の南極近くに黒斑を発見したのはオーストラリアのアマチュア天文家、金星の南半球に白斑を発見したのはアメリカのアマチュア天文家です。

木星の黒斑は何らかの天体が衝突した痕跡ということで専門家の意見は一致しています。以前、シューメーカー・レビー第 9彗星が、木星の潮汐力によってバラバラに引き裂かれながら木星の大気圏に突入したことがありますが、そのときも同じような黒い斑点が大気上層に残されました(このときは、7月 16日から 7月 22日にかけて分裂した彗星核が相次いで木星の大気に突入しましたが、今回の黒斑の発見日 7月 19日と重なっています)。今回の黒斑については、衝突の瞬間が観測されていないので何が衝突したのかははっきりしていません。黒斑の分光分析の結果、水の分子が大量に検出されれば彗星、そうでなければ小惑星か隕石が衝突した(分厚い木星の大気圏に突入した)ということになると思います:
一方、金星の白斑については専門家も首をひねっています。この白斑は、紫外線の波長で明るく輝いており、現在も拡大しつつあるとのことです:
この白斑の成因については、以下のような可能性が考えられています:
  1. 隕石や小惑星の衝突 ― 斑点は紫外線領域で明るく輝いているので、岩石を主体とした天体が衝突した可能性は低い。そのような天体が大気圏に突入した場合、岩石質の粉塵によって紫外線は吸収されてしまう。水や氷に富む天体の場合はその限りではない。
  2. 火山噴火 ― 可能性は低い。金星の厚く濃密な大気層によって火山の噴煙は容易に遮られてしまう。
  3. 太陽からの荷電粒子と金星大気の相互作用
  4. 大気の流れによって明るい物質粒子が一定の領域に集められた