2009年8月7日金曜日

カリフォルニア湾の地震とペットの異常

現地時間 8月 3日(月)午後 6時ごろ(日本時間 8月 4日(火)午前 3時ごろ)に、メキシコ北西部のカリフォルニア湾(*)で M5.8、M6.9、M5.0、M6.2の地震が相次いで発生しました。規模は大きかったものの、震度はあまり大きくなく、また、震央周辺が人口密度の低い地域であったこともあって、大きな被害は出ていないようです。しかし、揺れは遠方まで伝わったようで、米国のカリフォルニア州やアリゾナ州でも揺れたことが報道されています。

4つの地震とも、太平洋プレートと北米プレートの境界が水平にずれて起きたものです。このことは、USGS(米国地質調査所)の発表している発震機構解にもよく現れています。その一例が以下にあります。円グラフがちょうど 25% ずつに 4分割されたような震源球が描かれていますが、これが横ずれ断層の特徴です:
地震が発生した場所は、東太平洋海膨(東太平洋海嶺)の北端部がカリフォルニア湾に入り込み、トランスフォーム断層化したところです。この断層をさらに北にたどると、カリフォルニア湾の最奥部で陸上に上がり、有名なサンアンドレアス断層につながります。

以下の記事では、アリゾナ州フェニックス在住の女性が、上記一連の地震の数日前から始まったペットの異常を紹介しています:
以下は、記事からの抜粋です:
「私の飼っている犬は土曜日からふだんとは様子がまったく違っていた。家族はみんな、どこか悪いところがあるのではないかと心配して、獣医に診てもらおうとしていた。ところが(地震が起こったあとの)今日はまったく普通の状態にもどっている。」

「私の飼っている犬たちは土曜日から喧嘩ばかりしていた。こんなことはめったにないのだが。月曜日の午後には最大の喧嘩騒ぎが起こり、犬たちを別々に隔離しなければならなかった。」

このような現象の記録にはさまざまなバリエーションがある。しかし、動物には、何か悪いことが起きようとしていることを感じとる能力があることを、ほとんどの研究者が認めている。2003年 9月には、犬が激しく吠えたりかみついたりするなどの異常な行動が、地震の予測に使えるという日本の医師の研究が新聞紙面を飾った。

大昔の記録でも、このような動物たちの異常なふるまいを確認できる。紀元前 373年には、ネズミ、ヘビ、イタチがギリシャの Helice という都市から逃げだし、その数日後にその都市は大地震によって壊滅した、という記録が残っている。激しい反応を示す魚、巣を放棄するミツバチ、卵を産まなくなるニワトリなども動物たちの奇妙なふるまいとして記録されている。

私たちも、自分の飼っているペットが、そのようなふだんとは異なる行動をとるのを見ることがある。たとえば、理由もなく吠えたり悲しげにクンクンと鳴いたり、緊張感を示したり、物に囲まれた狭い場所に引きこもったり、等々。

生物学者のルパート・シェルドレイクは、著書「Dogs that Know When Their Owners Are Coming Home」(犬は飼い主が家に帰ってくる時を知っている)と「The Sense of Being Stared At」(何かに見つめられているという感覚)の中で、1994年のカリフォルニア州で発生したノースリッジ地震や 1999年のギリシャとトルコで発生した地震など、大地震の前の動物の反応について彼自身の研究成果を書き記している。彼によると、「夜中に犬がわけもなく吠えたり、かごの中の鳥が落ち着きをなくしたり、不安げなネコがどこかに隠れてしまったり、といったふだんとは違った行動がすべてのケースで地震の前に見られた」とのことである。
ルパート・シェルドレイクという天才?・奇才? については、以下をお読みください:
以下は日本人の著者がシェルドレイクの仮説について解説した本です。現在は文庫版になっているようですが、私はハードカバーが出版されたときにすぐ買い求めました:
(*)掲示板やブログには、カリフォルニア湾が米国の一部であるかのように書いているものがあります。しかし、これは誤解です。カリフォルニア州は米国の一部ですが、カリフォルニア湾やカリフォルニア半島はすべてメキシコの領海・領土です。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency