いわゆる「地震雲」など、空で起こる現象から地震を予知できると考えている人はかなりいるようですが、人によって現象の解釈の仕方は千差万別です。文化や宗教的背景が異なれば、いっそう違いが大きくなります。下記のサイトは、私が偶然見つけたサイトですが、アメリカ・フロリダ州の夕空に現れた雲の形象などが、イランのバムで発生した大地震の予兆であったと主張しています。
ここでいう地震とは、イランの都市バム近郊で2003年12月26日午前5時26分(現地時間)に発生したマグニチュード6.6の地震です。震源が10kmと浅かったため、震源に近いバムでは、12段階ある改正メルカリ震度階級で震度9("破壊的")を記録、死者3万1000人を出しています。バムは、2004年にユネスコによって世界遺産「バムとその文化的景観」に指定されていますが、その中心となる古代の城塞遺跡もこの地震で大きな損傷を受けました。
このサイトは、「バイブル・ドクトリン・ニュース」と銘打ったキリスト教系のサイトですが、「現在の出来事に対する慈愛に満ちた神の視点」という副題や、バイブル・ドクトリンとして「イスラエルを呪うものは、神がアブラハムと交わした契約によって呪われる」、「イランの地震とカリフォルニアの(大規模)土砂崩れは、イスラエルに敵対する者に下された神の裁きの表象である」などという文言があり、相当にバイアスのかかった内容です。その点をあらかじめご承知おきください。
- Florida Sunset Predicts Iran Earthquake (フロリダの夕空はイランの地震の予兆だった)
この3枚の写真について、次のように解釈しています:
- 左の写真について: 太陽のすぐ下に暗い直線が見える。この写真を撮影する直前には、この直線は太陽を貫いていた。暗い直線は大地の表面を表している。太陽は、イランを表すスポットの上に正確に位置している。
- 中央と右の写真について: “アースクエイク・エンジェル”が明瞭に見える。エンジェル(天使)は地震を引き起こす(「マタイによる福音書」28章2節、「ヨハネの黙示録」8章5節、16章17節~19節)。
中央と右の写真について: おそらく、薄く黒い雲の形が、翼を広げた天使を横から見た姿に見えているのだと思います。聖書の文言にもとづいて、天使は地震を象徴していると考えているようです。「マタイによる福音書」と「ヨハネの黙示録」で、天使が地震を引き起こしたという記述のある章・節を掲げています。それらの記述を日本聖書協会の「聖書本文検索」から引用します:
マタイによる福音書 28章 2節 ―― すると、大きな地震が起こった。主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。写真以外に、地震の発生年月日、時刻、震源の経緯度などの数字を数秘術的に解釈しています。たとえば、地震発生日時「12月26日午前5時56分52秒」の「26」はバビロン、「56」は「落下」、「52」は「壁」を意味するので、イランの古い都バムの城塞遺跡が崩落することを暗示している、といった具合です。そして、イランの地震などの災害を、神とアブラハムが結んだ契約にもとづいて、イスラエルに敵対するものに下された天罰であると結論づけています。
ヨハネの黙示録 8章 5節 ―― それから、天使が香炉を取り、それに祭壇の火を満たして地上へ投げつけると、雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こった。
ヨハネの黙示録 16章 17節-19節 ―― 第七の天使が、その鉢の中身を空中に注ぐと、神殿の玉座から大声が聞こえ、「事は成就した」と言った。そして、稲妻、さまざまな音、雷が起こり、また、大きな地震が起きた。それは、人間が地上に現れて以来、いまだかつてなかったほどの大地震であった。あの大きな都が三つに引き裂かれ、諸国の民の方々の町が倒れた。神は大バビロンを思い出して、御自分の激しい怒りのぶどう酒の杯をこれにお与えになった。
地図は、バム地震のP波到達時間です。フロリダとイラン・バムの位置関係を示すために掲載しました。Theoretical P-Wave Travel Times: courtesy of the U.S. Geological Survey