記事によると、「2009 DD45」が発見されたのは 2日前、発見時の光度は 19等級。サイズは直径 30m を超えないと推定。発見者はマックノート彗星(C/2006 P1)の発見者としても知られるオーストラリアのロバート・マックノート氏。接近時に地上から観測した場合、毎分 0.5度という「超高速」で移動、普通の天体望遠鏡では追跡困難。
最近、地球に接近する小天体の観測技術や観測網が充実したためか、地球接近あるいは地球大気圏突入直前に発見される小天体の報告が増えています。昨年10月には小惑星「2008 TC3」(直径数メートル)が、発見から数時間後にアフリカのスーダン上空で大気圏に突入しています。自然の天体が大気圏突入前に発見されたのは、これが最初とのことです。
今回、「2009 DD45」が地球に最接近する時の距離 63500km は、「ひまわり」などの静止衛星の約 2 倍で、月の軌道の内側に入ってくることになります。上記の記事によると、これまで最も地球に近づいた小惑星は「2004 FU162」で、2004年3月31日に 約 6400km まで接近。これは、今回の「2009 DD45」の接近距離の 10 分の 1 で、静止衛星の軌道よりも内側にまで入ってきたことになります。
しかし、もっと地球に近づいた天体もあります。「The Great Daylight Fireball of 1972(1972年の白昼の大火球)」と呼ばれる天体で、大気圏を突っ切って再び宇宙空間に帰って行きました。大きさは小型トラック程度と推定されていますから、スーダン上空に突入した「2008 TC3」に比肩するサイズで、立派な小惑星です:
- The Great Daylight Fireball of 1972 (静止画)
- Linda Baker's footage of the Great Daylight 1972 Fireball (動画)
天体衝突の脅威から地球を守る「IAA Planetary Defense Conference」(惑星防衛会議)が、今年 4月にスペインのグラナダで開かれます:
この会議は IAA(国際宇宙航空学会)や ESA(欧州宇宙機関)が中心となって開催される国際会議で、2年前にアメリカの首都ワシントンで開かれた「2007 Planetary Defense Conference」を拡大したものです。討議の内容は以下のとおりです:
- 地球に危害をもたらす可能性のある小惑星と彗星の検出および追跡
- それらの天体の特性
- 脅威となる天体をそらす方法
- 天体衝突による災害の特質
- 防災計画上考慮すべき政治的、法律的、政策的課題
写真は小惑星 243 Ida とその衛星 Image Credit: NASA