キラウエア山の南斜面が太平洋に向かって大規模に崩落し、太平洋全域に壊滅的な被害をもたらす大津波が発生するのではないか、という憶測やうわさが広がっているようです。以下のツイート中の図は、米国地質調査所(USGS)がそのような憶測やうわさを打ち消すために公表した記事に使われている説明図です。破局的大津波や局地的津波の可能性云々は別にして、現在ハワイ島で起きている多数の亀裂からの噴火や、5月4日(日本時間では5日)に発生した M6.9 の地震について、地下で何が起きているのかを理解する上で参考になるので紹介します:
Facts on the stability of Kilauea's south flank, past and present.— USGS (@USGS) May 15, 2018
May 14, 2018. https://t.co/KMH1zcrGlj pic.twitter.com/V5r9LtRBzk
図は、東部地溝帯低部(lower East Rift Zone)から太平洋に至る地域の断面図です。図(画面)の手前側にキラウエア山の本体があり、そこから図(画面)の奥に向かってマグマが貫入しています。地下数kmのところで地震が多発しています(灰色の丸印)。貫入したマグマが地表に顔を出したところにレイラニ・エステーツ(住宅地)があります。
マグマの貫入によってキラウエア山の南斜面は南(太平洋)に向かう圧力を受けます。この力によって太平洋プレートとハワイ島の境界(デタッチメント断層)が滑ったのが5月4日の M6.9 の地震であると考えられています(滑った部分は紺色で示されています)。境界は地下 7~9km にあり、暫定的なモデルではこの境界が最大 2.5m 滑ったとされています。地表ではキラウエア山の南斜面が太平洋に向かって 0.5m 移動したことが GPS によって観測されています。 地震後も毎日数センチメートルの移動が観測されています(通常は1年あたり約8cm)。
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