2010年5月18日火曜日

セント・ヘレンズ山の大噴火から 30年

アメリカ合衆国北西部・ワシントン州にあるセント・ヘレンズ山地図)は、現地時間 1980年 5月 18日午前 8時 32分に山体崩壊をともなう大噴火をおこしました。30周年に当たる今日、『ボストン・グローブ』紙の “The Big Picture” が写真特集を組んでいます:

30年前ということで、モノクロの写真がかなりあります。写真についてのコメントを以下に書きます。写真の番号は各写真の左下に表示されています。
2番: 大噴火前日のセント・ヘレンズ山。地震が多発していましたが、この写真で見る限りではいたって静かです。

3番: 大噴火の前日、火口湖で水のサンプルを採取する USGS(米国地質調査所)の火山学者 Dave Johnston。

4番: 大噴火の前日夕方、セント・ヘレンズ山近くのキャンプで野帳に何かを記入する USGS(米国地質調査所)の火山学者 Dave Johnston(当時 30歳)。十数時間後に大噴火が迫っているとは誰も考えていませんでした。翌朝 8時 32分、Johnston は USGS の本部に無線で “Vancouver, Vancouver, this is it!” (バンクーバー、バンクーバー、噴火だ!)と送信した直後に死亡しました。彼がキャンプしていた場所は、現在 Johnston Ridge (Johnston の尾根、地図)と呼ばれています。

12番: 噴火翌日の Ephrata 空港上空。すさまじい量の火山灰が押し寄せています。

14番: 山体崩壊によって北側斜面にできた馬蹄型のクレーター。深さ 1500メートル、幅 4000メートル。

15番: 爆風か泥流によって引きちぎられた樹木。

16番: 爆風でなぎ倒された森林。

20番: 熱風で溶けたトラックのダッシュボード。

21番: 泥流に押し流された鉄橋。

24番: 爆風の到達範囲内にあった湖 Fawn Lake。湖面に見える白い点は湖水のサンプルを採取している科学者のボート。

25番: 爆風になぎ倒された木々。山の陰になって爆風を免れた部分の木々は倒れていません。

27番: 泥流の爪痕。立っている樹木の幹に、泥流の達した高さが白く残っています。右に移っている人物の背丈と比べてください。

33番: 山体崩壊後、山麓に形成された「五色沼」。水に含まれる化学成分の違いによって水色に差が出ています。日本の磐梯山も山体崩壊を起こしたことで有名ですが、その麓にも五色沼があります。

36番: セント・ヘレンズ山周辺は大噴火によって不毛の荒野となりました。この写真は 4年後に撮影されたものです。

37番: 今年 5月 7日に撮影されたセント・ヘレンズ山。

山体崩壊の様子を撮した動画が以下にあります: