これまでに発見された太陽系外惑星の中では最も地球に似た惑星が、
グリーゼ 581(別名: てんびん座 HO 星、ウォルフ 562 など)と呼ばれる恒星の周りで発見されました:
この惑星はグリーゼ 581 という恒星の周囲で 6番目に発見されたので 「グリーゼ 581g」 と名付けられました(最初に発見された惑星から順番に b、c、d … という文字がつけられます)。
「地球に最も似た惑星」とはいっても、これまでに発見されている約 500個の太陽系外惑星(exoplanets, extrasolar planets)の中では地球に一番似ているという意味で、地球そっくりで人間が住めるというわけではありません。以下に、オリジナルの論文や報道記事から集めた情報をまとめてみます:
- グリーゼ 581 星系の第 4惑星
- 地球からの距離: 20光年
- 恒星(グリーゼ 581 星)からの距離: 0.14601 天文単位(太陽-地球間の距離 = 1)
- 公転周期: 36.562 日
- 直径: 地球の 1.2~1.4 倍 (地球のような岩石惑星と仮定)
- 質量: 地球の 3.1~4.3 倍
- 表面温度の平均: -31~-12度C
- 表面重力: 地球と同じかやや強い程度
グリーゼ 581 は
赤色矮星に分類される恒星で、表面温度が低く、直径は太陽の 3分の 1 ほどです。グリーゼ 581g はこの恒星のかなり近くを公転していますが、恒星の表面温度が低いため、その公転軌道はゴルディロックス・ゾーンと呼ばれる居住可能域(温度が中庸で液体の水が存在しうる範囲)の中心部に完全に入っていると考えられています。
惑星表面の温度は、恒星からの距離以外に、自転周期、地軸の傾き、大気の密度などに大きく影響されます。太陽系を考えた場合、ゴルディロックス・ゾーンに入っているのは金星、地球、火星の 3つです。しかし金星は大気が濃密すぎて非常に高温、逆に火星は大気が希薄すぎて低温で、表面に水が液体の状態で存在することは不可能です。
グリーゼ 581g は恒星に近いところを公転しているため、恒星の潮汐力によって自転にブレーキが掛かり、いつも同じ面を恒星にむけていると推定されています。恒星に向いた面は常に昼、反対側は永久に夜です。大気があれば昼の半球と夜の半球の間で大気の循環が起こり、トワイライト・ゾーン(昼と夜の境界領域)には水が液体の状態で存在可能で生命の進化に適した環境が形成されているかも知れません。
以上は、かなり楽観的な推測を重ねた場合の結論ですが、そうでなくても今回のグリーゼ 581g の発見には大きな意味があります ―― 直径 10万光年の銀河系宇宙に属する 2000億個の恒星の中で、赤色矮星はもっとも数が多いという事実。太陽系のすぐそば(たった 20光年!)にある赤色矮星系に地球に似た惑星が見つかったという事実。これらの事実から導き出される結論は、銀河系宇宙全体では膨大な数の地球類似惑星が存在している可能性が非常に高いということ ―― この点こそがグリーゼ 581g の発見の意義であろうと思います。
赤色矮星系の惑星の居住可能性については以下のウィキペディアに詳しい解説があります:
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