2015年6月30日火曜日

箱根山が噴火、警戒レベルを引き上げ


「昨晩から本日にかけてごく小規模な噴火が発生したものとみられます」、空振も観測されています。噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」から「3(入山規制)」に引き上げられました:

昨日昼過ぎに「降下物」が確認された現象については、依然として噴火とは認めていないようです。世間の関心が薄れたころに、記録を「噴火」に修正するつもりでしょうか。

風評被害のことばかり気にして観光客や住民の安全を二の次にしていた地元町長や県知事は今ごろ何を考えているのやら。


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蔵王山で再び火山性地震増加


蔵王山(地図)で再び火山性地震が増加しています:

上記資料には「5月下旬以降、御釜周辺が震源と推定される火山性地震が少ない状態で経過していましたが、6月17日から増加しました」と書かれています。1日前の6月16日に「火口周辺警報(火口周辺危険)から噴火予報(平常)に引下げ」と発表したばかりでした。地元や政治家からの圧力に押された拙速な判断であったということでしょうか:

以下が警報解除に際して発表された火山活動解説資料ですが、火山性地震や微動は少ない状態が続いていたものの、地殻変動はいっこうに収まっていなかったことがわかります。傾斜変動が継続していたことは掲載されているグラフで明らかです。また、山体の膨張を示すGNSS基線長の変化も「東北地方太平洋沖地震による影響」とか季節変動という理由で無視するのは無理があったのではないでしょうか:

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箱根山噴火か (続報-2)


6月29日に発生した現象は噴火なのか、噴火ではないのか。気象庁は噴火ではないとしています。担当者は「ホントのことを言ったらオリコウになれない」という心境でしょうか。

一方、6月10日発売の『文藝春秋』7月号に掲載された京都大学・鎌田浩毅教授(火山学)執筆の記事では、すでに「今春のような群発地震を伴う水蒸気噴火 ・・・」、「現在の水蒸気噴火 ・・・」と書かれています。実にさりげなく当然のこととして:

さらに、鎌田教授は次のように述べています:
箱根山でもっとも心配されるのは、六万六千年前に起きた「巨大噴火」である。大規模な火砕流が六十キロメートル離れた横浜市まで到達した。高温で高速の火砕流が、神奈川県のほぼ全域を焼き尽くしたのだ。

(中略)

もちろん現在、こうした破局噴火が起きる兆候があるわけではないのだが、起きうる現象として、頭の片隅に留めておく必要はあるだろう。


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2015年6月29日月曜日

箱根山噴火か (続報)


新たな噴気孔を確認。でも、気象庁は噴火ではないと言っています:

気象庁の機動観測班が大涌谷の北約1.2kmで降下物を確認したのが12時45分。それから8時間半もの沈黙の末に「この現象は噴火ではないと考えています」。不可解です。

気象庁が公開しているどの資料を見ても、噴火の定義は「固形物または放出物が噴出場所から水平若しくは垂直距離概ね 100~300m の範囲を超すもの」、「それより小さな現象(阿蘇山の土砂噴出等)でも、記事として記載している場合もある」となっているのですが:

察するに、「風評被害」という錦の御旗を振る人たちが「噴火」という言葉は使うなという「要請」をしたのでしょうね。公明党出身の大臣やフジテレビ出身の県知事も加担しているのでしょうか。


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箱根山噴火か


箱根山(地図)では、6月29日7時32分から継続時間約5分の火山性微動を観測、その後、地震が急増。12時45分ごろ、大涌谷の北約1.2kmで「降下物」を確認:

噴煙なのか雲なのかわかりませんが (気象庁の火山カメラより)


夜間でも監視可能なライブカメラの映像は以下で:

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2015年6月27日土曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-46)


5月24日付「近畿圏中心領域大型地震 (続報-45)」の続報です。

八ヶ岳南麓天文台の串田氏が6月21日付で更新情報を出しています:

前回の更新では、6月13日前後に前兆が終息し、7月31日±1日に地震発生と予測されていましたが、今回の更新情報をまとめると以下のようです:
  • 前兆は完全終息には至っていない。2つの観測装置に非常に弱いながらも特異状態が継続している (前回の更新情報では、3つの観測装置に前兆が残存していました)。

  • 予測された時期に前兆が完全終息しなかったのは、別形態の前兆群が高知観測点、秋田観測点、および八ヶ岳に出現したことと関連。

  • 過去の事例でも、大型地震の長期継続前兆の終盤時期に「規模が小さい形態で、あたかも別地震の様な形態で同一地震を示す別形態前兆が出現した経緯」がある。

  • これ以上別形態前兆が出現しなければ、7月20日ごろに前兆が終息すると計算。

  • 現時点で、7月末が地震発生時期という予測を否定する前兆変化はない。

  • 地震発生が推定される領域は、これまで、琵琶湖を含む西側領域が可能性が高いとしていたが、現時点では琵琶湖を含む東側領域の方が考えやすい(上記PDF資料の2ページ目右下の地図参照)。

現時点での予測は以下のとおりです:

推定発生日時 7月31日±2日
(7月31日または8月1日の可能性が高い)
推定発生時刻 午前9時±2時間 または 午後6時±2時間
推定震央 琵琶湖を含む東側領域 (上記PDF資料の2ページ目右下の地図参照)
推定規模 M7.8±0.5 (陸域の浅い震源)


7月は満月が2回あるのですが、7月31日は2回目の満月の日です。


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2015年6月26日金曜日

オーロラの中に謎の飛行物体


6月22日(現地時間)の夜、北米の広い範囲でオーロラが目撃されましたが、そのオーロラの中をゆっくり移動する正体不明のぼんやりとした飛行物体が多くの人たちによって目撃・撮影されました。以下はその画像です:

物体の正体は、どうやら欧州宇宙機関(ESA)がフランス領ギアナの宇宙基地(地図)から打ち上げたベガ・ロケットの最終段と拡散した燃焼ガスだったようです。同ロケットは、地球観測衛星 Sentinel-2A を搭載していました:

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2015年6月17日水曜日

小惑星 2015 MA が地球接近


6月17日午前11時8分(日本時間)、小惑星〝2015 MA〟が地球に1.71LDまで近づきました(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は6月16日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は13~30mと推定されています。

最接近時の地球との相対速度は比較的速く、秒速16.2km(時速約5万8000km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2015 MA 13~30 6月17日 11:08 1.71


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小惑星イカルスが地球接近


6月17日00時39分(日本時間)、小惑星〝1566 Icarus〟(1949 MA)が地球に20.95LD(1LD=地球から月までの平均距離)まで近づきました。

この小惑星は1949年6月27日に発見されたもので、アポロ群に属し、これまでに何度も地球に接近しています。直径は1.0kmと推定されています。

最接近時の地球との相対速度は非常に速く、秒速30.2km(時速約10万9000km)と計算されています。

小惑星イカルスは水星よりも太陽に近づく軌道を公転しています。「イカルス」という名前は、ギリシャ神話で太陽に近づきすぎて墜落死したイカロスに由来しています。

小惑星 推定直径
km
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
1566 Icarus
(1949 MA)
1.0 6月17日 00:39 20.95


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2015年6月16日火曜日

浅間山が噴火


「浅間山では、本日(16日)、山頂火口でごく小規模な噴火が発生したもようです」、「09時30分頃、浅間山の北側約4キロメートルの鬼押出しで微量の降灰を確認しました」:

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2015年6月14日日曜日

イエローストーンを噴火させようとしたテロリスト


少し古いニュース(今年2月ごろ)ですが、日本ではほとんど報道されなかったと思いますので紹介します。

カナダの旅客列車を川に架かる鉄橋の上で脱線させようとした罪で起訴された2人の男。一人はチュニジア出身でケベック大学の博士課程に在籍する男(30歳)。もう一人はパレスチナ出身の男(35歳)。この2人の裁判で、FBIのおとり捜査官が、被告たち(特に前者)はイエローストーンを噴火させることを熱心に検討していたと証言しました ―― 被告は噴火がもたらす「死と破壊」について話していた; 前者は「自分の敵にとって最悪の国家的災害が起こったとしたらすばらしいことじゃないか」と語っていた; しかし最終的には実行不可能だとして計画をあきらめた; 「ダメだ、火山を噴火させるなんてできはしない。(マグマ溜まりは)すごく深い。そこまで到達する手段がない」。

詳しくは以下の記事をご覧ください:

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稲妻で頭痛が起こる?


「2013年の論文では、稲妻の起こる日には明らかに片頭痛の発作が多かったと報告されています」:

雷の発する電磁波が原因と考える前に、雷が起きるような気象条件、例えば温度、湿度、気圧などの変化も考慮する必要がありそうです。


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2015年6月13日土曜日

ネパール地震の不思議な震度分布


4月25日に発生したネパール地震(M7.8、欧米では「ゴルカ地震」)では、日本人にも犠牲者が出るなど大きな被害が出ました。以下の図は、USGS(米国地質調査所)のサイトに掲載されているネパール地震の震度分布地図から切りだしたものです:

ShakeMap April 25th 2015 Credit: USGS

この図では、わが国で使われている気象庁震度階級とは異なる改正メルカリ震度階級が使われていますが、赤みが強いほど大きな揺れ、あるいは強い揺れがあったことを示しています。

不思議なのは、赤みの強い領域がほぼ同じ大きさの複数の円として現れ、それが西北西から東南東に並んでいることです。USGSの資料にははっきりとした理由が書かれていませんが、地図のわきに書かれている以下の文がヒントかも知れません:
Shaking estimates in epicentral region are poorly constrained due to fewer intensity observations (as well as lack of strong motion data).

(震央領域の震度の推定は、震度の観測が少なかったり強震計が不足しているという制約があるため精度が低い。)

断層の破壊は、図中の青い星印で示された震源から東南東に向かって約1分間かけて進行したと推定されています。

オリジナルの震度分布地図など、詳しくは以下の資料を参照してください:

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桜島の隆起・山体膨張が止まらない、姶良カルデラも膨張 (続報)


5月30日付「桜島の隆起・山体膨張が止まらない、姶良カルデラも膨張」の続報です。

依然として桜島(地図)の隆起と山体膨張が止まりません。

桜島 有村観測坑道の伸縮変動(2014年12月1日~ 2015年6月11日)
気象庁「平成27年 No.24 週間火山概況 (平成27年6月5日~6月11日)」より

このまま隆起や膨張がつづけば、大規模な爆発的噴火をきっかけとした大地震(注)や山体崩壊、それによって海に流れ込んだ大量の土砂が引きおこす大津波が鹿児島湾沿岸を襲うことも現実味を帯びてきます:

注: 1914年の大正大噴火では、噴火開始から約8時間半後にM7.1の強い地震(桜島地震)が発生しています。


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2015年6月12日金曜日

冥王星の表面の模様


冥王星(および太陽系外縁天体)探査機「ニュー・ホライズンズ」は、6月12日午後6時(日本時間)の時点で、冥王星まで0.26天文単位(約3900万km)に迫っています。水星の公転軌道の半径が0.39天文単位ですから、ずいぶん近づいたものです。冥王星までの距離が縮まるにつれて表面の模様がしだいにはっきりと見えるようになってきました。以下はNASAが6月12日付で公開した冥王星の画像です:

LORRI はニュー・ホライズンズに搭載されている〝LOng Range Reconnaissance Imager〟(長距離偵察撮像装置)の略称です。

表面の明暗は地形の高低を反映しているのでしょうか。それとも表面の物質の違いが現れているのでしょうか。


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準惑星ケレスに謎の輝点 (続報-3)


準惑星ケレスの謎の輝点を撮影した解像度の高い画像が公開されました。小惑星帯探査機ドーン(Dawn = 暁、黎明)が高度4400km上空から撮影したものです。前回公開された画像はケレスまで1万3600kmのところから撮影したものでした:

直径約90kmのクレーターの中に謎の輝点群が見えています。太陽光を反射しているのではなく、自ら光を発しているようにさえ見えます。

ドーン・ミッションの研究責任者は、「これまで人類が太陽系の中で見てきたものの中に類例がない不可解な現象だ、私は氷が太陽光を反射しているというのが第1候補だと思っているが、ミッションのサイエンス・チームは他の可能性、例えば塩、を模索している」と語っています。

今後、ドーンは高度を1470kmまで下げ、さらに12月には375km(国際宇宙ステーションの高度とほぼ同じ)まで下げるということですので、より高解像度の画像によって謎が解明されることを期待しています。


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冥王星についての7つの誤解


冥王星(および太陽系外縁天体)探査機「ニュー・ホライズンズ」の冥王星最接近が約1ヶ月後に迫っています。当然ですが冥王星に対する関心が高まり、それに応じてメディアでは冥王星に関する記事が増えてきています。そのような記事の中から、SPACE.COMが掲載している〝7 Wild Myths About Pluto〟(冥王星についての7つの誤解)を紹介します:

上記の記事が取り上げている7つの誤解は以下のとおりです。平易な英文で書かれているので解説部分の翻訳はしません。「誤解-4」は地学好きの級友が得意げに教えてくれたことを思い出します:
【誤解-1】 冥王星の英語名〝Pluto〟はディズニー映画のキャラクター(ミッキーマウスのペットの犬)に因んで命名された
【誤解-2】 冥王星は小さい
【誤解-3】 冥王星の表面は(太陽から遠いので)いつも暗い
【誤解-4】 冥王星はかつては海王星の衛星だった
【誤解-5】 冥王星は氷で覆われている
【誤解-6】 冥王星には大気がない
【誤解-7】 冥王星の軌道は特殊である

「誤解-3」については、NASAが写真入りで説明しています。世界各地で〝Pluto Time〟(冥王星の真昼と同じくらいの明るさになる時刻)に撮影された写真を見ると、意外に明るいことがわかります:

「冥王星」という日本語名については、Wikipedia に面白い話が載っています:
日本語名の「冥王星」は、発見後すぐに日本人の野尻抱影が提案した名称である。彼はこの名称を「幽王星」というもう1つの候補とともに雑誌科学画報の1930年10月号に紹介した。この名称は京都天文台ではすぐに採用されたが、東京天文台(現在の国立天文台)では英語のままの「プルートー」が用いられた (中略) 東京天文台が「冥王星」を採用したのは太平洋戦争中に外来語(カタカナ語)を禁止した1943年のことであった。

英語の〝Planet〟の訳語として、東京大学系の学者は「惑星」、京都大学系の学者は「遊星」という言葉を使うことが多かった(必ずというわけではなかったらしい)そうですが、こちらは東京大学系の「惑星」が残り、京都大学系の「遊星」はほとんど使われなくなってしまいました。


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プレートテクトニクス 2.0 ― プレートは固くない (その4)


5月4日付「プレートテクトニクス 2.0 ― プレートは固くない (その3)」からの続きです。

「剛体であるはず」のプレートが「固くない」、「変形する」とはどういうことなのでしょうか。

実は、プレートテクトニクスではプレートが本当に剛体であるとは考えていないのです。便宜上、プレートは剛体と見なして差し支えない、あるいは、剛体として取り扱うと何かと都合がよい、ということに過ぎないのです。

もしプレートが真の意味で剛体であったら、海洋プレートが海溝に沈み込む時に下に向かって曲がることはないでしょう。また、地震波も観測されているようには伝わらないでしょう。なぜなら、地震波はプレートの微小な変形が伝播していくものですが、真の剛体は変形しないからです。プレートテクトニクスの研究者がそのような点に気づかずに「プレートは剛体だ」と主張しているはずはありません。

以下に、プレートが剛体であるという命題が便宜上のものであることを示す文言をいくつか引用します(下線はこのブログの筆者)。

たとえば、『プレート収束帯のテクトニクス学』(木村学、東京大学出版会、2002)には次のような文言があります:
剛体として取り扱い得る岩盤、すなわちプレート

プレートを球面上の動く剛体と仮定したときに、その相対運動を記述するのに、スイスの数学者オイラー(Euler)によって1776年に確立された球面幾何学を使うことができる。

さらに『世界のプレート運動』(瀬野徹三、地学雑誌、2005)には次のような記述があります:
プレートを剛体として扱うことはあくまでも近似であることを知っておく必要がある。現実のプレートは長い年月のうちにその境界で力を受け,あるいは自分自身の内部の応力によって変形する。海洋プレートの場合,その変形は比較的小さいが,大陸と大陸が衝突する衝突帯では,大陸プレートは大きく変形している。

プレート運動を記述する上でもっとも重要なのはオイラーの定理である。この定理は簡単に言うと「球面上での剛体の運動は回転である」ということである。

ネット上では、プレートが剛体でないことを示す事実を見つけてきては、嬉々としてプレートテクトニクスは間違っているとか破綻しているなどと主張する人を見かけます。そういう人は、プレートテクトニクスをよく勉強していないか、もっと基礎的な変形体力学などを理解していないことを自ら吐露しているようなものです。

(続く)

2015年6月11日木曜日

浅間山の噴火警戒レベル引き上げ


6月9日付「浅間山で火山性地震増加 (続報)」の続報です。

6月11日午後3時30分、浅間山(地図)の噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」に引き上げられました。「火口から概ね2キロメートルの範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください」:

火山ガスの放出量も急増しています:

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海面に変色域 ― 知床硫黄山、西之島


気象庁は国内の主要な火山について毎月『火山活動解説資料』を出していますが、6月8日に発表した2015年5月分には、普段は見られない知床硫黄山(地図)、天頂山(地図)、羅臼岳(地図)、雄阿寒岳(地図)の『火山活動解説資料』が含まれています。

知床硫黄山について解説資料が出されるのは2012年6月分以来、約3年ぶりです。特に火山活動が活発化しているというわけではありませんが、2012年6月分の解説資料では「カムイワッカ河口付近の海岸には、北西側中腹の爆裂火口から湧出した温泉水による変色域が確認されました」と記述されていたものが、今回発表された2015年5月分では川の数が一つ増えて、「カムイワッカ川や硫黄川の河口付近の海岸には、北西側中腹の爆裂火口から湧出した温泉水による変色域が確認されました」となっています:

火山活動が続いている小笠原諸島の西之島(地図)については、5月20日の観測で「西之島の南西方向約 10km の海上に東西約 4,000m、南北約 2,000mの帯状の薄い黄緑色の変色水が分布しているのが確認」されたのですが、5月26日の観測では確認できなかったとのこと。もう一つ新島が誕生するかと期待したのですが、専門家によると変色水域が見つかった海域は水深が深く、かりに海底火山が噴火を始めていたとしても海面に火山島が姿を現すことはないとのことでした:

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2015年6月10日水曜日

チョウザメの捕獲相次ぐ


北海道、富山県、秋田県などで今年初めからチョウザメの捕獲が相次いでいます。『北海道新聞』に掲載された北海道大学水産科学研究院の研究者は、「ロシア・アムール川流域に生息するダウリアチョウザメが大半を占めるが、環境省が国内絶滅種とするミカドチョウザメもいた。また、道内沿岸での捕獲が極めて珍しいアムールチョウザメと思われるものもある」と述べています。なぜ急にチョウザメの捕獲が増えたのか、原因はわかっていません。

以下は、私が収集した報道記事です:

▼ 4月23日 富山県・能登沖 「チョウザメが富山湾で発見されるのは大変珍しい」:

▼ 5月6日、7日 北海道・釧路市沖 2匹 「国内では絶滅した古代魚のチョウザメが相次いで捕獲され、漁業関係者を驚かせている」、「釧路で取れるのは極めて稀」:

▼ 5月11日 北海道・苫小牧市沖 2匹 「過去に苫小牧沖でチョウザメが水揚げされた記録はない」:

▼ 5月11日 北海道・紋別沖 「今年は水温が高いせいか、ダウリアチョウザメの捕獲実績が多く、25匹余り」:

▼ 5月14日の報道 北海道 「今年は1月に留萌管内苫前町で捕獲されたのを皮切りに続々と報告があり ・・・」、「例年、数匹の捕獲が報告されているが、今年に入ってからすでに約30匹の報告が入っている。原因は不明で、研究者も首をかしげている」、「2007~14年は、全道で年1~7匹捕獲の報告があった」:

▼ 5月23日 北海道・ウトロ沖 「道内でのチョウザメの捕獲は例年は年数匹だが、今年に入って各地で30匹以上が確認されている。道東では標津や釧路なども捕獲され、今年12匹目」:

▼ 5月24日 秋田県・男鹿市沖 「日本の沿岸ではあまり見られないが (中略) 本県沖では今年3月、八森沖で漁師の網に掛かり、水族館が研究資料として引き取った」:

▼ 5月27日 北海道・紋別市沖 「今年はチョウザメが異常に多く、早くも30数匹が捕獲されている」:

▼ 6月9日 富山県・魚津市沖 「魚津沖で今回を含めて2匹、富山市水橋沖で1匹、氷見沖で2匹の計5匹捕獲されている」、「(水族館館長は)異例の出現回数について、理由は分からないとしながらも『北方の海で何か変化があり、それが影響しているのかもしれない』」:

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地震・火山噴火「予知ムラ」


「気象庁は(特定の地域を挙げて地震が起きるとする)雑誌の記事などに、科学的な根拠がないと苦言を呈した」、「何よりふざけているのは“長年研究してきた自分たち以外の予知は信頼に値しない”という物言い」、「『予知ムラ』の家来に成り下がったクラブ記者が役所にいわれるまま検証もせず記事を垂れ流す弊害」、「『予知』を『予測』と言い換える姑息な方針転換」:

自然科学の研究に対してあまり監視・監督を強めたり研究予算を締め付けたりするのは好ましいことではありませんが、予知研究を放棄した「予知ムラ」が既得権益として予算を貪り、予知研究の新たな分野に予算がまわらない現状は改革していく必要があると思います。

「予知ムラ」の住民ではなく「予知できない」派のロバート・ゲラー教授(東京大学大学院)は、雑誌などで予知的中と紹介される早川正士氏(電気通信大学名誉教授、地震予知学会代表理事)について、次のようにツイートしています。「正統派」の地震学者の見方はこうならざるをえないのでしょう:
[6月5日] 早川氏は以前より「俺は地震予知」ができと叫んでいるが、国内海外の研究者を説得する証拠何も出していないのです。結局彼とその”信者”は開き直り、自分のミクロ学会を設置しました。彼の曖昧な”予言”を無視して問題ないです

[6月5日] 彼の”手口”は単純。大量に曖昧な”予知情報”を公表して、その後発生するどの地震でも(小さくても、遠くても、深くても)、「俺は当たった地震」とする。煽ることによって有料メールマガを販売する。何故か、民放(特にフジ)は大好きです。

[6月7日] 予知情報に震源・規模・時間だけでなく、許容範囲(何キロ以内・Mの±幅・いつまで)も公表すべきです。それ無しで、当たったかどうか・偶然より有意かどうかを事後に客観的に評価することはできません。胡散臭い予言者は許容範囲を公表しません。

蔵王山に噴火警報 (続報-4)


4月24日付「蔵王山に噴火警報 (続報-3)」の続報です。

仙台管区気象台が、蔵王山(地図)に出されている「火口周辺警報(火口周辺危険)」を解除する検討を始めたとのことです:

地元の観光業界などから早期解除を求める声が相次いでいるそうです。気になるのは、現在は事務方を中心に構成されている火山防災協議会のメンバーを村井知事ら首長クラスに格上げする方針が示されたという点です。噴火警戒レベルの設定や解除に、これまで以上に地元政界や経済界の意向が強く反映されることになるのではないかと懸念されます。

ことあるごとに地元は「風評被害」という錦の御旗を持ち出しますが、観光客の安全が二の次にされているように感じます。昨今の箱根山の火山活動では、地元の首長である神奈川県知事や箱根町長が、内閣官房長官、気象庁、報道機関などに対して、風評被害を防ぐために「箱根山」の名称を使わないようにという馬鹿げた要請したことは記憶に新しいところです。

最新の「平成27年 No.23 週間火山概況 (平成27年5月29日~6月4日)」には、蔵王山について「火山活動はやや活発な状態で推移しています」として、「大きな噴石に警戒してください」、「風下側では火山灰や小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください」と書かれています。

また、国土地理院は6月8日、「蔵王山周辺の基線で、2014年10月頃から小さな膨張性の地殻変動が見られます」と発表しています:

以下の表は、2013年1月22日に蔵王山で観測開始以来初めてとなる火山性微動が発生してからの推移をまとめたものです:

月日 事象
2013年
1月22日
火山性微動、観測開始(2010年9月1日)以来はじめて
1月27日 火山性微動
4月5日 低周波地震が一時的に連続して発生
4月5日
~11日
東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化
4月7日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 3分20秒)
4月9日 火山性微動(継続時間 4分20秒)
4月21日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 5分40秒)、低周波地震が一時的に連続して発生
6月4日 火山性微動(継続時間 2分20秒)
7月17日 火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月18日 坊平観測点と東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月31日 火山性微動(継続時間 5分40秒)
10月19日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 16分57秒)
10月23日 火山性微動(継続時間 1分30秒)、直後に計測基準未満の火山性微動も。その後、23日05時ごろから24日08時ごろにかけて火山性地震がやや多い状況
11月1日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 2分30秒)。火山性微動の発生後に微小な火山性地震。10月下旬以降、火山性地震がやや多い状況。
12月4日 火山性微動(継続時間 3分40秒)。微動発生前後に低周波地震が4回発生。火山性地震もやや増加。
12月8日 坊平観測点および蔵王観測点で傾斜変動、直後に火山性微動(継続時間 8分)。火山性地震はやや増加した状態で推移。
2014年
1月3日
火山性微動(継続時間 1分)。微動発生後に火山性地震が4回発生。
8月6日 火山性微動(継続時間 8分)。微動発生後、御釜直下付近の浅いところを推定震源とする火山性地震がやや多い状況。全て低周波地震。7日にかけて55回発生、8日になって減少傾向。火山性微動発生の前から傾斜計に南東(山頂の南側)上がりの変化、9日13時ごろに終息。
8月8日 火山性微動(継続時間 短い)
8月10日 火山性微動(継続時間 短い)
9月4日 火山性微動(継続時間 短い)
9月30日 火山性微動(継続時間 4分)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。微動発生後の30日19時ごろから10月1日17時ごろにかけても、南東上がりの傾斜変動。10月1日6時ごろから2日14時ごろにかけて火山性地震が9回発生し、一時的にやや多い状況。
10月5日 火山性微動(継続時間 短い)
10月8日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
10月9日 火山性微動(継続時間 短い)
10月10日 火山性微動が2回発生(いずれも継続時間短い)
10月19日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
11月18日 火山性微動(継続時間4分超、周期の長い成分を含む)
11月19日 火山性微動が3回発生(継続時間約7分30秒、1分30秒超、1分超)、1番目の微動は、これまでと比べて規模が大きく、南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動が先行、微動発生直後に南東下がりの変動。
12月19日 火山性微動(振幅大きい、継続時間約1分20秒)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。
12月29日 火山性微動(継続時間約1分40秒)、微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。
2015年
1月19日
火山性微動(継続時間約3分40秒)
2月11日 火山性微動(継続時間約2分20秒)
4月9日 火山性微動(継続時間約1分20秒)
4月19日 火山性微動(継続時間約1分30秒)
4月20日 火山性微動(継続時間 短い)
4月23日 火山性微動(継続時間 短い)
5月17日 火山性微動(継続時間 短い)


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2015年6月9日火曜日

首都圏ってそんなに危ないの?


大きい地震や噴火が相次ぎ、メディアでは不安を煽る記事が花盛りです。その中から首都圏(あるいは関東地方)に地震や大津波の危険が迫っていると警告する記事を集めてみました。

▼ 6月17日までに「房総沖と、相模湾から伊豆諸島にかけて内陸でM5・0、海底でM5・5前後、最大震度4程度」:

▼ 「東日本大震災後の現在の状況は、約1100年前に起きた貞観地震の前後に似ている」、「(貞観地震の)9年後に首都直下型、18年後には南海トラフ地震に相当する地震が起きた。また、貞観地震の前には、富士山が貞観大噴火(864-866年)を起こしている」:

▼ 「地震(5月25日午後2時半頃に関東地方で発生した最大震度5弱の地震)発生後も関東地方にある危険な兆候は消えていません。これはさらなる大地震の予兆かもしれない」、「上下動で見た異常変動マップでは、関東地方で大きな異常は見られません。しかし、水平方向の動きの異常は明らかに広がっています」、「千葉県房総半島南部や神奈川県三浦半島の異常が拡大している」:

▼ 「いま日本全国で起きていることは、9世紀に巨大地震が日本列島を襲った時とソックリ」、「3・11とほぼ同じエリアだった869年の貞観地震(M8超)が発生した9年後には、首都直下の相模・武蔵地震が発生したこともあり、首都直下型地震が恐れられているのです」:

▼ 「今回の地震で太平洋プレートとフィリピン海プレートの境目で、活動が活発化していることがはっきりしました。(中略) 東京湾を襲う巨大津波の発生リスクは強まったということです。また、太平洋プレートがフィリピン海プレートに影響を与えていることを考えると、近いうちに首都直下地震が起こってもおかしくありません」:

▼ 「シャチも地震が起こる前に海の底から伝わってくる磁力をセンサーで事前に感知し、東京湾に現れた可能性はある」:

▼ 「平安時代の貞観地震(八六九年)の前後に似ている」、「貞観地震の五年前に富士山と阿蘇山が噴火。九年後に関東で大地震が発生するなど、二十年余の間に全国で大地震や噴火が相次いだ」、「これからは、もっと大きい噴火が別の火山で起きることも覚悟した方がいい」:

浅間山で火山性地震増加 (続報)


6月7日付「浅間山で火山性地震増加」 の続報です。

6月7日、浅間山(地図)の火山性地震が87回を記録したとのことです。「1日当たり80回を超えたのは、前回の噴火活動期間だった2010年2月13日以来、ほぼ5年4か月ぶり」:

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小惑星 2015 LF が地球接近


6月9日午前8時49分、小惑星〝2015 LF〟が地球に 0.51LD(約19万7000km)まで接近しました。

この小惑星は6月7日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は13~29mと推定されています。

最接近時の地球との相対速度は比較的速く、秒速16.8km(時速約6万km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD
2015 LF 13~29 6月9日 08:49 0.51

*: 1LD=地球から月までの平均距離


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2015年6月8日月曜日

小惑星〝ニモイ〟


「スタートレック」シリーズで、常に沈着冷静で合理性を尊ぶ科学担当将校 Mr. Spock を演じたレナード・ニモイ氏(今年2月27日死去)の名前が、小惑星につけられました。 Fascinating!

小惑星〝4864 Nimoy (1988 RA5)〟は、火星と木星の間にある小惑星帯(メイン・ベルト)を3.88年かけて公転する直径10kmほどの天体です。JPL(ジェット推進研究所)の小天体データベースには次のように付記されています:
4864 Nimoy

Discovered 1988 Sept. 2 by H. Debehogne at the European Southern Observatory.

Leonard Nimoy (1931-2015) was an American actor, film director and poet. Best known for his portrayal of the half-Vulcan/half-human science officer Spock in the original "Star Trek" TV series and subsequent movies, Nimoy wrote two autobiographies: I Am Not Spock (1975) and I Am Spock (1995).

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2015年6月7日日曜日

浅間山で火山性地震増加


浅間山(地図)では4月下旬ごろから火口直下のごく浅いところを震源とする火山性地震が増加し、火山性微動も発生しています。現時点で噴火に直結するような変化はみられないものの、気象庁では「長期的な地震増加がみられるなどの活動の高まりがみられます」として、「山頂火口から概ね500m以内に影響する程度の噴出現象は突発的に発生する可能性がありますので、火山灰噴出や火山ガス等に警戒が必要」と注意を呼びかけています。浅間山の現在の噴火警戒レベルは「1 (活火山であることに留意)」です:

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三宅島の噴火警戒レベルを引き下げ


気象庁は三宅島(地図)について、「火山ガスの放出量は長期的に減少傾向にあり、2013年9月以降は1日あたり500トン以下で経過」、「火山性地震は少ない状態で経過」していることから、山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性は低くなったものと判断して、6月5日14時00分に噴火警戒レベルを「2(火口周辺規制)」から「1(活火山であることに留意)」に引き下げました:

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箱根山が最大30cm隆起


箱根山(地図)の地震は減少し大涌谷の噴気も弱まっていますが、大涌谷周辺の地殻変動はどうでしょうか。以下は国土地理院が6月6日付で更新した資料です。それによると、「2014年10月9日から2015年6月4日までの変動量は最大30cm程度」、その期間のうち最近2週間(5月21日から6月4日)では「最大10cm程度」、とのことです:

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2015年6月5日金曜日

冥王星の衛星が予測困難な動き (続報)


6月4日付「冥王星の衛星が予測困難な動き」の続報です。

冥王星の衛星ニックス(Nix)の動きを数値シミュレーションした動画をNASAが公開しています。冥王星系の中心からの視点でニックスの挙動を描いています。こんな衛星で暮らしていたら船酔いを起こしそうですが、それは25日間(ニックスが冥王星の周りを回る周期)の動きを動画上では2秒に縮めているせいでもあります:

"This tumbling behavior meets the formal definition of chaos; the orientation of Nix is fundamentally unpredictable"(この不規則な挙動はカオスの定義に当てはまり、ニックスの姿勢は原理的に予測不能である)とNASAはコメントしています。だったらなぜ数値シミュレーションができるのかと疑問になりますが、それはシミュレーションがあくまでも近似であり、ニックスの動きの厳密な解は求められないということです。

NASAは "occasionally the pole flips over"(ときどき極の反転も起きている) ともコメントしていますが、そもそもこのような動きをする天体に自転軸とか極とかを定義できるのでしょうか。


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