2010年3月31日水曜日

ミマスの奇妙な温度分布

土星の衛星ミマスの表面温度を、土星探査機カッシーニが観測したデータが公表されました。予想外の結果に驚きが広がっています:

上のページには 4つの画像が収められています。
  • 左上: 理論的に予想されていた温度分布。太陽光線が真上から当たる部分ほど高温になるので、このような同心円状の分布になると予想されていました。
  • 右上: 実際に観測された温度分布。
  • 左下: 可視光線で撮影されたミマスの表面。中央部右寄りに見えているのはミマス最大のハーシェル・クレーター。
  • 右下: 右上の温度分布と左下の表面画像を合成したもの。

右下の画像は、まるでテレビ・ゲームのパックマンがハーシェル・クレーターに食いつこうとしているように見えます。おまけにパックマンには目もあるようです。

この奇妙な温度分布を説明する仮説としては、表面物質の熱慣性や熱伝導率の違いによるものだとの説が提案されています。パックマンの部分は熱慣性が大きく熱を失いにくい物質で覆われているのに対して、ハーシェル・クレーターを含む領域は熱伝導率が高い物質で覆われており、太陽から得た熱が地下の物質に奪われやすいのだろう、という説明です。

この仮説で温度の違いが生じる理由は説明がつくとしても、なぜ表面物質がパックマンのような分布になっているのかは疑問のままです。また、パックマンの口の部分がほぼ直線状で、温度勾配も非常に急であることも不思議です。今回撮影された半球の裏側では温度分布がどうなっているのか、まだわかっていませんが、ハーシェル・クレーターが低温部分の中心に位置しているように見えるのも気になるところです。


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