2016年9月30日金曜日

地震の発生頻度低下 ― 愛知県


以下は気象庁地震火山部が9月26日付で発表した資料です。冒頭に「愛知県の地殻内では、平成28年4月頃から地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています」と書かれています。これの意味するところは何なのでしょうか。嵐の前の静けさでしょうか:

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蔵王山で火山性微動・火山性地震 (続報-2)


蔵王山(地図)では9月22日と23日に火山性微動と火山性地震が発生したのですが(いずれも既報)、その際に気象庁が発表した解説資料(9月22日付9月23日付、PDF形式)では、どちらの場合も「傾斜計では今回の微動に対応する変動は見られませんでした」と書かれていました。

しかし、実際には地殻変動が起きていたようです。本日発表された「平成28年 No.40 週間火山概況 (9月23日~9月29日)」では、次のように記述されています:
坊平の傾斜計では、22日頃から緩やかな南東上がりの変化がみられています。

2013年から2015年にかけて、火山性地震や火山性微動が増加するなど火山活動の高まりがみられました。その後も火山性微動が時々発生していますので、今後の火山活動の推移に注意してください。

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小惑星 2016 SW3 が地球に接近・通過


9月26日午後1時51分(日本時間)、小惑星〝2016 SW3〟が地球に 1.00LD まで接近しました(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は最接近後の9月27日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は 約10m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向があります。

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は平均的で、秒速10.3km(時速約3万7000km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 SW310 9月26 13:51 1.00


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2016年9月29日木曜日

太平洋に大陸性地殻 ― 定説を覆す新説


小笠原諸島の地下には安山岩質の大陸性地殻があります。なぜ大陸から遠く離れた太平洋の中に安山岩質のマグマや大陸性の地殻があるのか、よくわかっていませんでした。定説では「地殻の薄い海洋底では玄武岩質マグマが噴出する」、「地殻の厚い大陸では安山岩質マグマが噴出する」とされています。しかしこれでは、太平洋の真ん中に安山岩質マグマや大陸性の地殻があることが説明できません。また、大陸でしか安山岩質マグマや大陸性地殻が形成されないのであれば、最初の大陸はどのようにして誕生したのかも謎のままです。

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者が調査の結果導き出した新説は、これまでの常識・定説とは異なるもので、「地殻の厚い地域(厚さ30km以上)の火山は玄武岩質マグマを噴出する」、「地殻の薄い地域(厚さ30km未満)の火山は安山岩質マグマを噴出する」、「大陸は海から誕生した」というものです:

なぜ地殻の厚さによって生成されるマグマのタイプが違うのでしょうか。「従来多くの岩石学的実験が行われてきましたが、圧力が低い場合に、含水マントルにおいて安山岩質マグマが生成する可能性が大きいことが示唆されてきました」、「地殻の薄い(すなわち圧力が低い)海洋島弧でのみ、マントルで安山岩質マグマが生じて大陸を形成していく」、「逆に地殻が30kmを越える厚い場所では、地殻の下がすでに高圧のため、含水マントルで安山岩質マグマを生じることは不可能となり、玄武岩質マグマのみが生成されます」。

JAMSTECの報道発表では触れられていませんが、日本列島や大陸の火山で安山岩質の溶岩が噴出するのはなぜでしょうか。これについては、『マグマの地球科学』(鎌田弘毅著、中公新書1978、2008)から引用します:
(マントル内で誕生した)玄武岩マグマはさらに上昇して地殻へと向かうのだが、これも地殻の最下部でたまってしまう。このあたりでは、玄武岩マグマの密度が地殻の密度とほぼ等しくつりあうため、マグマは上昇をやめるのである。

次に、停滞している玄武岩マグマの熱は、地殻の基底部を溶かしはじめる。ここで熱を与えられた地殻は、マントルがしたのと同じように部分融解を起こして今度はデイサイトのマグマを作り出す。デイサイトとは流紋岩と安山岩の中間の化学組成をもつ火山岩である。

(中略)

できあがったばかりのデイサイトマグマと玄武岩マグマが混じって、安山岩のマグマができることがある。これがのちに地上まで持ち上がり、安山岩マグマの噴火を引きおこす。これは、日本列島で頻繁に見られる現象であるが、こうして日本には、安山岩の火山が数多くできあがるのである。

鳥取県中部の地震と宏観異常


鳥取県中部を震源とする有感地震が、9月26日と28日に計5回発生しています。最大は28日午前10時31分ごろのM4.1、最大震度3です。この一連の地震の前に何か異常が起きていなかったか振り返ってみました。今回の地震と関係があるとは限りませんが:

リュウグウノツカイに関して、島根県のケースは震源からかなり距離があります。兵庫県新温泉町は鳥取県に隣接する町です。

以下は、このブログでは取り上げませんでしたが、『朝日新聞』の5月25日付記事です。「国土地理院などが各地に設けたGPSのうち西日本の約600カ所で、東日本大震災前の2005~09年に観測されたデータを使い、ひずみのたまりやすさを調べた。その結果ひずみがたまりやすかったのは、(1)山陰の島根県東部から鳥取県にかけて (以下略)」:

彗星探査機ロゼッタの最期


日本時間9月30日午後7時40分(±20分)、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機ロゼッタが 67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に衝突します。

ロゼッタは2014年8月に彗星に到達し、以来2年あまりにわたって彗星の観測を続けてきました。現在、ロゼッタは彗星と共に太陽から遠ざかりつつあります。太陽電池の発電量が低下して通信が途絶える前に、最後のミッションとして彗星に近づきながら観測と写真撮影を行います。資料では〝controlled descent〟(制御された降下)、〝collision manoeuvre〟(衝突作戦)、〝crash-landing〟(不時着)などと表現されています。着陸装置を持たないロゼッタにとっては胴体着陸か衝突という結果になります:

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2016年9月28日水曜日

房総半島沖三重会合点付近で地震連発 (続報)


房総半島沖の三重会合点付近では、まだ地震が続いています。9月23日のM6.5(USGSはM6.3からM6.2に修正)以降、USGSの観測ネットワークに検知された地震は16件。規模はM4.5~M5.2。USGSのデータでは9月25日と26日には発生がなく終息したかと思われたのですが、27日と28日(17:00まで)に各1件発生しています。

発生の範囲も広がっています。以下の図(9月28日17:00現在)を23日現在のと比べてください:

Credit: USGS (クリックで拡大)


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近畿圏中心領域大型地震 (続報-117)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が9月26日17:00付で更新情報を出しています。長期間、特異状態が継続していた八ヶ岳のCH20とCH21が正常基線を描き始めています:

更新情報のまとめです ――

▼ 現状
  • CH2(八ヶ岳)

    • 9月21日午後、糸状特異状態が短時間出現(9月21.7日初現と認識)
    • 9月24日13時ごろから糸状特異状態が長時間出現、26日夕刻現在も継続中

  • CH20(八ヶ岳)

    • 長期間、特異状態が継続していたが
    • 9月24日昼から正常基線を記録(静穏化)
    • 9月24日16時ごろから再び特異状態
    • 9月24日20時ごろから再び正常基線(静穏化)、26日夕刻現在も継続中

  • CH21(八ヶ岳)

    • 長期間、特異状態が継続していたが
    • 9月24日16時ごろから正常基線を記録(静穏化、24.7日終息と認識)
    • 9月25日4時ごろから特異状態が徐々に大きくなる(25.5日極大と認識)
    • 9月26日夕刻現在、徐々に正常基線に復帰しつつある(静穏化の兆候)

  • CH34(八ヶ岳)

    • 9月25日10時ごろから変動幅の大きな特異状態(26.0日極大と認識)
    • 9月26日11時ごろ、終息

▼ 考察
  • 9月2.5日極大に対する前兆終息が9月24.7日と認識できる。これに経験則 [極大~地震発生]:[終息~地震発生]=3.9:1 を適用すると → 10月2日発生の可能性

  • 初現を9月21.7日と仮定し、変動のいちばん大きな9月25.5日を極大とすると → 10月2日発生の可能性

  • 初現を9月21.7日と仮定し、CH34の特異変動の中心9月26.0日を極大とすると → 10月4日発生の可能性

  • いちど静穏化したCH21に再び特異状態が現れたのは、9月25.5日あるいは9月26.0日に極大が出現したため、と解釈

  • 上記解釈が正しい場合、残存している前兆(CH2、CH21、CH34)の終息は、9月30日~10月1日(10月2日発生の場合)、あるいは10月2日(10月4日発生の場合)

  • 上記前兆の終息が確認された場合には発生日を計算・確定できるが、現状では10月3日±1日とする。

推定時期 10月3日±1日
(今後の観測によって修正する可能性あり)
推定時刻 午前9時±1時間、または午後6時±3時間
(前震があった場合には推定時刻は無効)
推定震央領域 更新情報の地図参照
推定規模 M7.8 ± 0.5 陸域の浅い地震


串田氏の地震予測についてお知りになりたい方は、同氏の著書(『地震予報』、PHP新書 833)か以下の資料をご覧ください:


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2016年9月27日火曜日

小惑星 2016 SW1 が地球に接近


9月28日午前11時00分(日本時間)、小惑星〝2016 SW1〟が地球に 1.34LD まで接近します(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は9月25日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は5~11mと推定されています。

最接近時の地球との相対速度は、比較的遅く、秒速5.5km(時速約2万km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 SW15~11 9月28日 11:00 1.34


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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小惑星 2016 SA2 が地球に接近・通過


9月25日午後4時12分(日本時間)、小惑星〝2016 SA2〟が地球に 0.80LD まで接近しました(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は9月26日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は 約6~13m と推定されています。直径の小さい小惑星ほど発見が遅れ、地球接近(最悪の場合は衝突)の直前、あるいは接近・通過後になる傾向がありますが、この小惑星が発見されたのは地球に接近した後でした。

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は、比較的遅く、秒速5.5km(時速約2万km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 SA26~13 9月25 16:12 0.80


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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NASAがエウロパについて記者会見を設定 (続報)


9月22日付「NASAがエウロパについて記者会見を設定」の続報です。

木星の衛星エウロパの表面から水蒸気が高さ200kmまで噴出している、というのが記者会見で発表された発見の内容です:

記事冒頭の画像は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した水蒸気の画像に、探査機が撮影したエウロパの画像を合成したものです。エウロパを時計に見立てて7時の方向に水蒸気が噴出していることがわかります。

以下は上記記事の抜粋・テキトー訳です:
  • NASAのハッブル宇宙望遠鏡によって、木星の衛星エウロパの表面から水蒸気のプリュームが噴き出しているのが撮影された。

  • この観測によって、エウロパの表面を覆う何マイルもの厚さの氷にドリルで穴をうがたずに、エウロパの海洋のサンプルを採取する探査計画の可能性が高まった。

  • エウロパの海洋は、太陽系の中で生命を宿す可能性のある最も有望な場所の1つである。

  • プリュームは約200kmの高さまで噴き上げられていると考えられ、それに含まれる物質はエウロパの表面に雨のように降り注いでいると推定される。

  • エウロパの氷の下に広がる海洋は、地球の海洋の2倍の水を湛えているが、非常に冷たく固い未知の厚さの氷の層に護られている。プリュームはエウロパの表面に着陸したりドリルで穴を開けたりせずに、表面下の物質のサンプルを採集するというすばらしい機会を与えてくれる。

  • 観測チームは15ヶ月間で10回、エウロパが木星の前を通過するのを観測し、そのうちの3回でプリュームとみられる現象を捉えた。

  • これまでの観測からは、プリュームは非常に変化しやすく、散発的に噴出してしばらく継続した後に活動を止めるようである。

  • プリュームが確認されれば、太陽系内では、エウロパは水蒸気を噴出する第2の衛星となる。2005年に、NASAの土星探査機カッシーニは土星の衛星エンケラドスの表面から水蒸気と塵が噴出しているのを発見している。

  • 2018年に打ち上げられるNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使った赤外線による観測で、エウロパのプリュームを確認できるだろう。

  • NASAはエウロパ探査計画を策定中である。この計画ではプリュームの存在の確認と調査を行う観測機器を搭載した探査機が、エウロパに複数回の接近飛行を行う。

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2016年9月26日月曜日

小惑星 2016 SJ が地球に接近・通過


9月22日午前3時28分(日本時間)、小惑星〝2016 SJ〟が地球に 0.39LD まで接近しました(1LD=地球から月までの平均距離)。

この小惑星は9月22日に発見されたもので、アポロ群に属し、直径は 約7m と推定されています。

この小惑星が最接近した時の地球との相対速度は、秒速13.7km(時速約4万9000km)と計算されています。

小惑星 推定直径
(m)
接近日時
(日本時間)
接近距離
(LD)
2016 SJ7 9月22 03:28 0.39


このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。


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2016年9月24日土曜日

ボラが列をなして海へ移動 ― 韓国の地震前


9月12日夜、韓国で同国の観測史上最大規模の地震が発生しましたが、その10日前、震源に近い蔚山市内を流れる太和江(地図)で、ボラが列をなして海に向かって泳いでいたとのこと(写真)。「ボラが海へ泳いでいくのは一般的な現象だが、一列になっているのは初めて見た」(淡水資源センター研究員):

ボラの群れは珍しくもないし、列を作るのも川幅や流れによってはありかなと思いましたが、写真を見て驚きました。


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富山県東部で群発地震 (続報-2)


9月20日にほぼ1日間、地震の発生が中断しましたが、その後は元の発生頻度に戻っています。さらに9月21日からは、これまでの発生領域から北東に少し離れた場所でも地震が頻発しています:

余談: 富山地方気象台はなぜ解説資料のファイル名を頻繁に変えるのでしょうか。
  1. 今回の群発地震について9月16日付で最初の解説資料を出したとき、その資料は〝kaisetsu-1.pdf〟という名前でした。
  2. 9月20日付で解説資料第2号を出したときには、第2号の名前が〝kaisetsu-1.pdf〟で、前の資料(第1号)は〝kaisetsu-2.pdf〟に改名されていました。
  3. そして今回、9月23日付で解説資料第3号が出されましたが、その名前がまたもや〝kaisetsu-1.pdf〟で、第2号は〝kaisetsu-2.pdf〟、第1号は〝kaisetsu-3.pdf〟に改名されています。

こういうことをされると、解説情報が出されるたびに過去のブログ記事のリンク先を修正しなければなりません。富山地方気象台がなぜこのように煩雑で誤りが生じやすいことをするのか、理解に苦しみます。おまけに、同気象台のトップ・ページでは第3号のリリース日が第2号のリリース日(9月20日)のままになっています。


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おんぶ政務官と韓国大統領


被災地の視察で、日本の場合は政務官が批判・叱責され、韓国の場合は報じた新聞の方が炎上したようです:

蔵王山で火山性微動・火山性地震 (続報)


蔵王山(地図)では、昨日に引き続き今日(9月23日)も火山性微動が1回発生しました。継続時間は約2分23秒。火山性地震も1回発生しています。地殻変動は観測されていません:

今日(23日)、現地調査が行われましたが、「御釜及び御釜周辺に噴気及び地熱域はみられませんでした」、「丸山沢の地熱域や噴気の状況、振子沢の状況は、前回(2016年8月23日)と比較して特段の変化は認められませんでした」とのことです。


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2016年9月23日金曜日

房総半島沖三重会合点付近で地震連発


9月22日から、房総半島沖の三重会合点付近で比較的規模が大きく震源の浅い地震が次々に発生しています。今朝9時14分ごろにはM6.5(USGSはM6.3)が発生し首都圏などで有感となりました。9月17日にM4.6が発生したのが一連の地震の始まりだったようです。

Credit: USGS (クリックで拡大)


2016年9月22日木曜日

蔵王山で火山性微動・火山性地震


9月22日、蔵王山(地図)で火山性微動(継続時間約3分)と火山性地震が発生しました。微動の発生は8月22日以来。微動の前に火山性地震が6回発生しました。地殻変動は観測されていません:

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熱移送説と韓国の地震


角田史雄・埼玉大学名誉教授の唱える熱移送説によると、韓国で起きた地震は「九州の鹿児島県から長崎県を通って韓国の済州島に至る断層帯がある。これに沿って熱エネルギーが伝わり、朝鮮半島南部の地震を起こした」という解釈になるのだそうです:

地図で確認すると分かるのですが、鹿児島県→長崎県と長崎県→済州島では方向が90°近く違っています。そんなに曲がっている断層帯があるものでしょうか。さらに、済州島→今回の地震が起きた朝鮮半島南東部までは鋭角に曲がる必要があり、非常に遠回りなルートになります。とにかく、「熱エネルギーは現時点で済州島まで到達している。問題は、その後、韓国国内で熱エネルギーがどのように伝わっているかである」とのこと。納得できる説明ではありません。

記事の主旨は、日本の地震学界はプレート説に拘泥しすぎているということのようですが、だからといって、上記記事の執筆者が傾倒している熱移送説がその代替になると考えるのは早計でしょう。

記事にはプレート説について以下の様な記述がありますが事実なのでしょうか:
上田誠也・東京大学名誉教授は)プレート説研究の第一人者とされる。日本国内にプレート説を広めた最大の功労者の1人であるとも言われている。だが、1990年に定年退官した後、「マントルはプレートを引っ張れるほどの粘着力はない」としてプレート説に関して否定的になっているという。

なんとも驚くべき話だが、 師匠である上田氏がプレート説から“転向”したにもかかわらず、現在の地震学者たちは相変わらずプレート説に固執したままである。

今のところ確認できるような資料は見当たりません。


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NASAがエウロパについて記者会見を設定


米国東部夏時間9月26日午後2時(日本時間27日午前3時)から、NASAが「(木星の衛星)エウロパの地下に海洋が存在することに関係するとみられる活動の驚くべき証拠」について記者会見をするとのことです。ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された画像から何らかの証拠が見つかったようです:

木星の衛星エウロパには、氷で覆われた表面の下に厚さ15~20kmに達する液体の海があり、なんらかの生命が存在している可能性があると考えられています。

記者会見に出席する専門家のリストには生命現象に関する人物は含まれていません。


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2016年9月21日水曜日

急カーブして消滅した台風16号


きのうは私の住んでいる関東地方に台風16号が近づいてくるというので、室内に置いている気圧計を時々チェックしていました。いつもなら台風が接近してくるにつれて徐々に気圧が下がるのですが、きのうは逆に少しずつ気圧が上昇しました。おかしいなと思っていましたが、台風は静岡県の手前で急に南に進路を変え、午後9時ごろには東海道沖で温帯低気圧に変わっていたのでした。

出典:気象庁ホームページ
(http://www.jma.go.jp/jp/typh/1616.html)

予報ではまっすぐ東進して関東地方を通過することになっていたのですが、なんとも不自然な急カーブです。あたかも、東海地震の想定震源域に入るのを嫌ったか、あるいは沖合の震源に吸い寄せられたかのようです。


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8時33分だよ! 地震発生 ― 朝鮮半島


7月5日午後8時33分3秒(蔚山市沖、過去7番目の規模)、9月12日午後8時32分54秒(観測史上最大規模の地震)、19日午後8時33分58秒(最大規模の余震)。「地震の研究者たちにとっても、奇妙に感じられる」、「3回の地震が同じ時間帯に発生したのは単なる偶然にすぎない」:

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超高速進化 ― みるみる進化するバクテリア


ハーバード・メディカル・スクールが行った実験の映像です。

約60cm×120cmの長方形の寒天培地が、等しい幅の9つの帯に分けられています。左右両端の帯は通常の寒天培地。その内側の帯の培地は、バクテリアが生存できる限界よりわずかに高い濃度の抗生物質を含んでいます。さらに内側の培地にはその10倍、100倍、そして中央の培地には1000倍の濃度の抗生物質。

抗生物質が含まれていない左右両端の培地で増殖したバクテリア(大腸菌、E.Coli)は、隣の抗生物質を含んだ培地にはなかなか侵入できずにいます。しかし、しばらくすると培地の境界付近の一点で抗生物質に対する耐性を獲得した突然変異体が出現し、抗生物質を含む培地に広がりはじめます。他の場所でも同様の耐性を獲得したバクテリアが次々に出現し、侵入。抗生物質を含んだ培地はすぐにバクテリアで埋め尽くされます。

同じようにして、10倍や100倍の抗生物質を含む帯もバクテリアは突破し、最終的に中央の1000倍の帯もバクテリアに「征服」されます。それまでに要した時間は約11日:

抗生物質に対して感受性を持つ(抗生物質が治療に有効な)バクテリアが、突然変異の累積によって、極度に高濃度の抗生物質に対する耐性を短期間で進化させるという恐ろしい事実を実感させる動画です。


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富山県東部で群発地震 (続報)


まだ収まっていません。9月19日には一連の活動で最大規模となるM2.0の地震が発生しています。下記資料に載っている断面図を見ると、普通の構造的な地震ではなく、下からマグマか熱水のようなものが上昇しようとしているようにも見えます:

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2016年9月20日火曜日

適中率93% ― 音と痛みで自然災害を予知する女性 (その3)


9月14日付「適中率93% ― 音と痛みで自然災害を予知する女性 (その2)」の続きです。

以下は〝DISCOVERING HER ‘POWERS’〟(自分の能力に気づく)という節の抜粋・テキトー訳です:
  • キング氏によると、自然災害を予知する能力を獲得したのは1976年5月のことだという。「今わたしが『音』と呼んでいるものが、その時初めて聞こえたのです。いくつかの霧笛の音が重なり合っているようでした」

  • キング氏によると、彼女が「音」と自然災害の関係に初めて気づいたのは1979年6月のことだった。「音が変化したので私はポートランドのテレビ局に電話をかけ、何か変わったことが起きたのではないかと尋ねたのです」、「『音』が変化するたびに私はテレビ局に電話をかけました。その後、12時間から72時間の間にマグニチュード5~6程度の中規模地震が起こるのでした」、「カリフォルニア州ではクジラ(複数)が海岸に乗り上げると、72時間後に中規模地震が連続して発生しました」

  • 同じ年の後ほど、彼女には身体症状が起き始めた。「心臓や耳に痛みが起こるようになり、専門医に診てもらいましたが、どこにも悪いところは見つかりませんでした。3日後、痛みが消え、イタリアのウンブリア州で地震(複数)が起きたことを聞いたのです」、「その地震はマグニチュード8.0に近いかそれ以上の規模で、大きな被害や多数の死傷者が出たと思います」()「その時、地震についてのラジオ番組で、地震の前に耳や心臓の痛みを訴えて多くの人々が治療を求めていた、という話を聞いたのです。それが私の身体症状と自然災害を結びつけるきっかけでした」

  • キング氏によれば、彼女の身体と自然災害が結びついていることには、単純な説明があるという。「早い段階で私と話し合った科学者たちは、私(の身体)が地球の磁場の変化に反応していて、磁場の変化は地震や火山噴火の前に発生すると考えていました」

  • 「どこに住んでいようと、複数の人が身体の同じ部分に同じことを同時に感じたら、それは非常に説得力のある証拠となります」、「私たちの身体は基本的に同じに作られているのですから、私たちの誰もがほとんど同じように反応するはずです」

  • 「医師や科学者たちは1980年に『シャーロット・キング効果』という言葉を作っています」

: 文脈から1979年のことと考えられますが、1979年にイタリアで大きな地震は起きていません。ウンブリア州に大きな被害を及ぼした地震としては以下が有名ですが、18年も後のことで、マグニチュードも6.1です:

(続く)


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2016年9月19日月曜日

各地でカゲロウ大量発生 ― 岐阜県揖斐川町、新潟県長岡市など


▼ 岐阜県揖斐川町(地図) ― 「今週ごろから羽虫のカゲロウが大量発生し、死骸が路面を覆っている」、「十五日夜の井ノ口橋では、カゲロウが雪のように舞う下で、死骸がわだちのようになっていた。橋を管理する町によると、ここ数年では見られなかった現象という」:

▼ 新潟県長岡市(地図) ― オオシロカゲロウが大量発生。「14日ごろから発生。長生橋や大手大橋、蔵王橋など信濃川に架かる橋の東側に多く、車道が白くなるほど埋め尽くされているところもある」、「ここ3年ほどなかった事態。橋の照明を消すわけにもいかず困っている」:

▼ 京都府綾部市(地図) ― こちらは先手を打って「特にカゲロウが集まりやすい由良川に架かる綾部市街地付近の府管理橋梁について、 当面の間、橋梁照明を消灯することとします」:

▼ 以下の地域は既報です:

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サクラ咲き、サケ迷い込む ― 北海道豊頃町、帯広市


北海道豊頃町(地図)では季節外れのサクラが咲き、帯広市(地図)内では住宅地の小川に複数のサケが迷い込んでいます。台風の影響とみられています。「今月に入って咲き始め、次々と薄いピンク色の花が開花し続けている」、「同地区にサケが遡上するのは珍しく、2011年の河川増水時に1匹が迷い込んだ程度。近くの川でも確認でき、少なくとも20匹はいるとみられる」:

釧路市内でも広範囲のサクラが開花しています:

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2016年9月18日日曜日

リュウグウノツカイ漂着 ― 兵庫県新温泉町


9月16日、兵庫県新温泉町諸寄(地図)の海水浴場で、リュウグウノツカイが漂っているのが見つかりました。体長約1.5m。「沖で定置網に掛かることはあっても、陸地の近くで見ることはめったにない」(諸寄観光協会):

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2016年9月16日金曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-116)


八ヶ岳南麓天文台の串田氏が9月15日17:40付と9月16日17:30付で更新情報を出しています:

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富山県東部で群発地震


富山地方気象台が9月16日付で以下の解説資料を出しています。「平成28年8月終わり頃から、富山県東部(黒部湖(地図)の北側付近)でまとまった地震活動が発生」、「9月12日頃から更に活発となり、地震の規模もマグニチュード2程度で、震源近くでは人が感じる程度の揺れとなっている可能性」、「南西約10kmに弥陀ヶ原(地図)がありますが、現在、弥陀ケ原の火山活動には特段の変化は見られず」:

八ヶ岳南麓天文台の串田氏が推測している「近畿圏中心領域大型地震」の推定領域(石川県、福井県、岐阜県など)からは外れています。串田氏は最近の更新情報で、「火山帯近傍」や「群発的地震活動」の可能性に言及しています。


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超低空ロール雲


8月末に米国シカゴ(地図)で撮影されたロール雲です:

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2016年9月15日木曜日

小惑星 Hiroshima と Carp


〝2247 Hiroshima〟と〝44711 Carp〟という小惑星があるのをご存じでしょうか。どちらも火星と木星の間の小惑星帯を公転している天体で、地球に接近することはありません。前者は直径4.4km、後者はそれよりも小さいと考えられています。

広島東洋カープがリーグ優勝を決めた9月10日の〝44711 Carp〟の位置
Credit: JPL, NASA (クリックで拡大)

NASAの小天体データベースには〝44711 Carp〟について以下のように記載されています:
44711 Carp
Discovered 1999 Oct. 3 by A. Nakamura at Kuma Kogen.

The Hiroshima Toyo Carp, founded in 1949, is a professional baseball team. Operated with capital from citizens of Hiroshima for the first 20 years, they are known as a unique "municipal team". The Carp has won the Central League six times and the Japan Series championships three times.

今シーズンが終了したら、リーグ優勝の回数などの記述を修正してもらう必要がありそうですね。


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各所でサクラ咲く ― 北海道釧路市


8月中旬以降、北海道釧路市(地図)のあちこちでサクラが開花しています。エゾヤマザクラやチシマザクラが多いようです。なかには枝いっぱいに花を付けた木もあるとのこと。北海道に相次いで接近・上陸した台風が原因とみられています。「春以外にも1、2本が花を付けることはあるが、これだけ広範囲の木が一斉に開花するのは珍しい」(道立総合研究機構林業試験場):

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2016年9月14日水曜日

ザトウクジラ漂着 ― 茨城県日立市


9月13日、茨城県日立市十王町伊師(地図)の海岸にザトウクジラが打ち上げられました。体長約8mですでに死んでいました。「尾ひれには網が巻き付いていました」:

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適中率93% ― 音と痛みで自然災害を予知する女性 (その2)


9月8日付「適中率93% ― 音と痛みで自然災害を予知する女性 (その1)」の続きです。

以下は〝HOW SHE DOES IT〟(どうやって予知しているのか)という節の抜粋・テキトー訳です:
  • キング氏によると、彼女の体は神経知覚の地震列島のようになるという。地震の鍼治療のようなもので、自分の意思に反してそのようになるという。[注: 経絡や経穴(ツボ)をイメージしていると思われます()]

  • 彼女は自分の体の各部分を地球の表面に対応づけている。「耳の痛みは、通常、イタリア、シチリア、ギリシャ、クレタ島です」と彼女は言う。「前にも言いましたが、背中の上の方は日本です」

  • オーストラリアに自然災害が起こりそうな時、彼女はポップコーンが無性に食べたくなり、肋骨に強烈な痛みを感じるという。「オーストラリアやオセアニアに対応する症状は、ほとんどの場合、左側の肋骨の痛みです。左脇の下から始まって、左側のウェストラインのちょっと手前まで移っていきます」「胸を包み込むように広がることもあり、とても痛いです」

  • 「よく似ている症状もあります。カリフォルニア州南部に対応する症状はイタリアと、ニュージーランドに対応する症状はオーストラリア、パプア・ニューギニア、ケルマデック諸島と非常によく似ています」

  • 私が経験したことのない地域や山で地震や噴火が起きるときは、場所を特定するのが困難です。しかし、そのような場合でも、ほとんどすべてのケースに対して大まかな位置は指摘することができます。

  • キング氏は、地震やその他の自然災害について、通常は、12時間から72時間前に感知できるという。「現象の発生時刻が迫るにつれて痛みが強くなります。地震発生前の12時間は(痛みを感じない)静穏期となることが多いです。ちょうど嵐の前の静けさのように」と彼女は言う。

  • キング氏によれば、自然災害とリンクしている痛みを感じながら暮らすのはたやすいことではない。「症状がひどくて病院の救急処置室に担ぎ込まれたことが何度もあります」と彼女は語る。

  • 彼女は自分の症状について再三、医師のアドバイスを求めてきたが、いつも渡されるのは健康状態に問題なしという診断書です、と言う。「CAT(コンピューター断層撮影)のスキャンや心電図の検査を何度も受け、痛みを抑えるための鎮痛剤の投与が必要になったことも何回かありましたが、最終的な結論は私の身体に悪いところはないというものでした」と彼女は言う。「精神状態が健全であるかを確かめるテストも受けましたが、問題なしという結果でした」

  • 苦痛に悩まされているにもかかわらず、キング氏は自然災害を予知するという能力を重荷だとは考えていない。「すごく痛いのですが(自分の能力は)神からの贈り物だと信じています」と彼女は言う。

  • 「(自然災害予知の)能力が身についた30歳のころに比べると、私は若くはないし壮健でもないので、肉体的にはだんだんつらくなっています」「でも、たったひとりの人であっても、その人が地震により良く備えることの助けになるのであれば、予知を続ける価値があると思っています」

(続く)


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桜島 大噴火の恐れ


「ブリストル大学を中心とする研究チームは、日本の姶良カルデラと桜島(地図)の地下に蓄積されつつあるマグマが、鹿児島市とその60万人の住民に対する脅威が拡大していることを示している恐れがあることを見いだした」と英国ブリストル大学の9月13日付プレス・リリースの冒頭には書かれています。1914年の大正大噴火に匹敵する規模の噴火が発生する可能性があるとしています。ただし、英国の大衆紙が書いているように〝soon〟(すぐに)というわけではないようです:

大正大噴火では、流れ出した溶岩流によって桜島が大隅半島と陸続きになりました。また、M7.1の桜島地震も発生しています。


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2016年9月13日火曜日

1681年6月 朝鮮半島東海岸 M7.5


9月12日、朝鮮半島南東部で大きな地震が相次いで発生したことはすでに報道等でご存じと思います。19時44分ごろにM5.1、20時32分ごろにM5.8(日本の気象庁 M5.7、USGS M5.4)。後者は1978年に朝鮮半島で地震観測が始まって以降では最大規模とされています:

余震もすでに200回を超えていますが、終息の方向だということです。

防災科学技術研究所
AQUAシステム
メカニズム解カタログ
より
防災科学技術研究所やUSGSの発震機構解を見ると、北北東-南南西あるいは西北西-東南東を走向とする横ずれ断層が原因となっているようです。震央付近の地形図をみると、北北東から南南西方向に数本の谷が走っています。この点を勘案すると北北東-南南西の断層面が右横ずれを起こした可能性が高いのではないでしょうか。

今回のM5.8は観測史上最大規模とされていますが、朝鮮半島の歴史上では1681年6月26日に東部の海岸で発生した推定M7.5(震央地図、M7.0、M7.3とする推定もあります)が最大級とされています(1643年7月24日に蔚山を震央として発生した地震が推定M7.7で最大とする説もあります):

上記の論文には次のような記述があります:
古代ほど記録が少なく、近代に近づくほど記録の数が増えるという歴史学一般の事情を考慮してもなおかつ、韓半島では16世紀、17世紀に被害地震数が飛び抜けて多いことが注目される。

日本でも、1703年元禄地震、1707年宝永地震の2個の海溝型巨大地震が相次いで起きており、また、中国では、史上最大級の内陸地震である郯城地震(山東省)が清朝中国の康煕帝七年六月十七日(1668年7月25日)に起きている。

このように日韓中三国とも大きな地震が十七世紀に集中して発生していることになる。このような事実は、偶然に生じたものであるとは考えにくく、これら4個の地震は東アジアで相互に関連して起きたと考えるべきであろう。

本研究で取り上げる1681年江原道地震もまた、この時期に起きているのである。


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