2010年10月23日土曜日

硫黄の臭い?

このブログの 10月 20日付記事 「地震を予知していた女性 ― 米国・オクラホマ州」 で紹介した女性は、「硫黄の臭い」をもとに地震を予知していたということでした。この「硫黄の臭い」は文脈から硫化水素ガスの臭いであろうということがわかるのですが、「硫黄の臭い」という表現には曖昧なところがあります。

日本の地震前兆関係の掲示板でも、ときおり「硫黄の臭いがしています」という類の報告が見受けられます。短い報告文の場合、文脈から推定できないので、どのような臭いがしたのか解釈に迷います。

なぜ「硫黄の臭い」では曖昧なのでしょうか。それは、硫黄は常温では固体で臭わないからです。もちろん、硫黄の塊に鼻を近づけたり、細かく砕いた粉末を吸い込んだりすれば何らかの臭気を感じるかも知れませんけれど、「硫黄の臭い」を報告している人が感じているのはそのような臭いではないはずです。

つまり「硫黄の臭い」という言葉では、どんな臭いがしたのか明確ではありません。

可能性が高いのは、上記の記事と同じ硫化水素ガスの臭いか、硫黄が燃えたときなどに発生する亜硫酸ガス(二酸化硫黄ガス)の臭い(刺激臭)でしょう。前者であれば「温泉の臭い」、「腐った卵のような臭い」、「下水のような臭い」、後者であれば「硫黄が燃えたような刺激のある臭い」というように具体的に表現すれば、第三者にもわかりやすいと思います。

「メタン(ガス)のような臭い」という表現も見かけることがあります。しかし、メタンガスにも臭いはありません。無色無臭の気体です。これも実際は硫化水素ガスの臭いを表現している場合が多いようです。


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