2009年4月22日水曜日

ラドン・ガスは天気の前兆

イタリアで 4月6日に起きたラクイラ地震は、ラドン・ガスの放出によって予知されていたとの報道に対して、専門家の反応は冷ややかです。以下は、かつてラドン・ガスによる地震予知を調査したことがある研究者の見解を伝えるアメリカのニュースサイトの記事です:
以下は記事の抜粋・意訳です:
地震の前兆としてのラドン・ガスを認める地震学者はわずかしかいない。

ラドン・ガスによってイタリアの地震を予知していたとされる研究者は、人びとを不安に陥れるデマを流したとして警察に通報された。

カリフォルニア工科大学の Tom Heaton 博士は、1970年代にラドン理論を徹底的に調査したが、次のように語っている。「私たちが見いだしたのは、ラドンやそれに類するものが、地震の前兆であるというよりは、天気を予報しているらしいということだった。地下からラドンが放出される度合いは、大気圧に影響される。地震予知の方法を見いだそうとするときには、たくさんの要因が影響しあってしまう。どのようにして地震が発生するのかを私たちが理解しようとすればするほど、地震が予知可能であるとは考えられなくなってくる。」

Tom Heaton 博士は、単一の指標であろうと、複数の指標の組み合わせであろうと、信頼の置ける地震前兆としてうまくいったことはないと強調している。
地震予知関係のアマチュアのホームページや掲示板を見ていると、ラドン・ガスによる予知に対して冷淡に見える専門家に対して、批判的な声が多いように思います。しかし、批判するのであれば、アマチュアといえども、ラドン・ガスと地震の関係について過去にどのような研究がおこなわれ、どのような結論が得られたのかを、ある程度知った上でおこなうべきだと私は思います。今は、ネット上の検索で、過去の論文も容易に見つけることができるようになっているのですから。