2009年10月27日火曜日

土星環の消失 (その 2)

今年の土星では、約 15年ごとに起こる珍しい現象がありました。8月 11日には、太陽光線が環の真横から当たる現象、9月 4日には環の消失が起こりました。後者は、環の延長平面が地球と交差する、すなわち、地球から見ると環を真横から見ることになるため、非常に薄い(厚さ数 十メートル)環がまったく見えなくなる現象です。

前者の、太陽光線が環の真横から当たるタイミングは、土星の周囲を周回しているカッ シーニ探査機にとって絶好の機会でした。なぜなら、太陽の光が環の真横から当たるということは、ふだんは平面にしか見えない環の表面の凹凸が、陰影によっ てはっきりと見える可能性があるからです。

8番の画像では、環の縁の凹凸が、真横からの太陽光線によってできた長い影によって現れています。9番の画像では、環と環の間を周回する衛星の重力によって、環が乱されている様子が立体的に見えています。

ふだんは平板にしか見えない土星の環ですが、15番20番の画像では、真横からの太陽光線によって粒状性が現れています。15番の写真中央部に見えている小さな光点は、環から 200m 離れたところを環とともに周回する 推定直径約 400m の小衛星です。

(続く)