2010年10月20日水曜日

地震を予知していた女性 ― 米国・オクラホマ州

アメリカ合衆国中部のオクラホマ州で、現地時間 10月 13日(水)午前 9時過ぎ、 M4.3 の地震がありました。震央は同州の州都オクラホマ・シティの南南東 35km の地点で、震源の深さは 13km とされています(USGS 資料震央地図)。報道によると、数名の負傷者が出たとのことです。

日本に比べると地震がきわめて少なく、有感地震をまったく経験せずに一生を終わる人も多い土地柄ですので、人びとの受けたショックは相当なものだったようです。このめったにない地震を予知していた女性がいると、テレビ局系のニュースサイトが報じています:

以下に記事を抄訳します:
オクラホマ州エドモンド市(州都オクラホマ・シティの北約 20km、地図)に住むジェニファー・ビンガムさんは、地震の数週間前から、同市内の小川や川から発生する硫黄の悪臭(sulfur stench)に気づいていた。その臭いは地震発生の 2日前にもっともひどくなり、エドモンド市全体が下水道のように臭った、と彼女は語る。

「空気中に硫黄の臭いが漂っていて(smell sulfur in the air)、うちの近所の小川(複数)からものすごく強く臭って来たの。いままで、あんなに強く臭ったことはなかったわ」とビンガムさんは言う。

ビンガムさんはこれまでにも地震を経験している。彼女はカリフォルニア州からオクラホマ州に引っ越してきた。カリフォルニア州では、1989年 10月 17日にサンフランシスコ湾一帯を揺らした M6.9 の “Quake of '89” とよばれる地震(訳注:ロマ・プリータ地震)を経験している。

ビンガムさんによると、硫黄の臭いがする水(sulfur scented water)は大地震の最初の兆しで、地震発生前の数週間継続するとのことである。

「オクラホマ州に引っ越してきたのは、地震から逃れたかったから。カリフォルニア州に住んでいる両親を訪ねることすら嫌なんです。だって、カリフォルニア州でもうじき起こるといわれているビッグ・ワン(大地震)が怖くてしかたがないんです。ビッグ・ワンは発生時期を大幅に過ぎていて、いつ起きても不思議はないといわれているでしょ。」

ある地震学者(名前は記載されていません)は次のように語っている ―― 硫黄の臭い(sulfur smell)にもとづいて地震を予知することは可能である。世界中でそのような研究が行われている。硫黄の臭い以外にも、耳鳴り、吐き気、地震を予期したときのペットの静止状態などが地震の予兆と考えられている。

記事では「硫黄の臭い」(sulfur smell、sulfur stench など)という言葉が使われています。この「硫黄の臭い」は、「下水道のように臭った」や「近所の小川からものすごく強く臭って来た」という記述から、硫化水素ガスの臭いであると考えられます。

日本のようにほぼ毎日どこかで地震が発生する場所で 「地震が来る」 と何度も繰り返していれば、いつかはその「予知」が的中するのは当たり前で、そのような「予知」に価値はありません。一方、上記記事に見られるオクラホマ州のケースは、地震がまれな地域で、しかも同州の観測史上でもトップ 5(報道記事によってはトップ 2)に入るほどの規模の地震、つまり地震の中でも稀な地震を予測していたという点で、注目に値すると思います。


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