2009年8月26日水曜日

イスラエルが人工地震実験

イスラエルが 8月 26日に、地下で大規模な爆発を起こすことによって人工地震を発生させる実験をおこなうとの報道がなされています:
記事を書いた記者自身がよくわかっていないせいか、実験の目的が今ひとつはっきりしません。上記 2つの記事をまとめると以下のようになります:
ネゲブ砂漠南部にある軍事基地の地下で 80トンの火薬を爆発させ、人工地震を起こす。

爆発によって発生した地震波や大気中を伝播する音波を観測し、観測方法の改善を目指す。観測には、キプロス、ギリシャ、フランス、ドイツも参加。

イスラエルは、2004年に 35トン、2005年に 20トンの火薬を使った同様の実験を行っている。

実験の主体はイスラエル地球物理学研究所(GII)。米国のハワイ大学が共同研究プロジェクトとして参加。実施費用は米国国防省が負担。

イスラエルの Infrastructure ministry(社会基盤省?)は、爆発はマグニチュード 3 の地震に相当するが、この規模の地震は 1週間に 1回は起こっており、実験場所に近い住民以外は何も感じないだろうと発表している。

実験のデータは、音波や地震の研究者に提供される。
実験の目的について、上記の記事(1)には次のように書かれています:
The experiment intends to improve scientists’ understanding of sound waves in the atmosphere. Scientists will then be able to fine-tune Israel’s seismological equipment to give advance warning of earthquakes.
記事(2)には次のように書かれています:
It aims at studying the sonic waves in the air (以下略)
どちらの記事も、地下爆発実験の目的が、大気中を伝播する音波についての理解を深めるためとしており、(1)ではそれにもとづいて、地震に先行して警報を出す地震観測機器を微調整するためだ、と書いています。音波を観測することによって日本の緊急地震速報のようなものを実現しようとしているのでしょうか。

なお、イスラエル当局は 80トンの火薬の爆発は、マグニチュード 3 の地震に相当すると発表しているようですが、これは(意図的な?)過小評価かも知れません。下記の資料によれば、TNT火薬 15トンの爆発がマグニチュード 4、同 475トンの爆発がマグニチュード 5 に相当するとのことですから、80トンの火薬はマグニチュード 4.x の地震規模に相当することになります。
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency