2021年8月30日月曜日

横滑りしたロケット

 
ロケットの打ち上げ失敗を撮影した動画はいろいろありますが、こんな失敗のパターンは初めて見ました(簡略版 GIF動画)。
 
8月28日(日本時間では 29日朝)のことです。米国カリフォルニア州に本拠を置く民間企業・アストラ社が、3回目の軌道試験飛行に挑むべく同社の 2段式ロケットをアラスカ州沖のコディアック島(地図)から打ち上げました。点火直後にロケットは大きく傾き、そのまま倒れて爆発・大炎上するかと思われましたが、ロケットは横滑りしながら姿勢を立て直し何事もなかったかのようにぐんぐん上昇していきました。ロケットの飛行は打ち上げから 2.5分後に高度約 33km に達したところで打ち切られました:
 

延暦十八年の漂着者

 
日本書紀、続日本紀に次ぐ第3の勅撰史書・日本後紀から、延暦十八年(西暦 799年)七月の出来事を紹介します。平安京遷都から 5年が経過した桓武天皇の治世です:
是月、有一人乘小船、漂着參河國。以布覆背、有犢鼻、不着袴。左肩著紺布、形似袈裟。年可廿、身長五尺五分、耳長三寸餘。言語不通、不知何國人。大唐人等見之、僉曰、崑崙人。後頗習中國語、自謂天竺人。常彈一弦琴、歌聲哀楚。閲其資物、有如草實者。謂之綿種。依其願令住川原寺。即賣隨身物、立屋西郭外路邊、令窮人休息焉。後遷住近江國國分寺。
 
この月、一人が乗った小舟が三河国に漂着した。布で背中を覆い、褌を身に着けていたが袴ははいていなかった。左肩から紺色の布をかけていて、その形は袈裟に似ていた。年齢は 20歳ほどで、身長は 5尺5分、耳の長さは 3寸余りあった。言葉が通じず、どこの国の人かわからなかった。大唐の人たちはこの人を見てみな崑崙人だと言った。後になって、日本語を習得し、自らを天竺人だと言った。いつも一弦の琴を弾き、その歌声は哀調を帯びていた。その持ち物には草の実のようなものがあった。これは綿の種だと言った。本人の希望によって川原寺に住まわせた。すると、携えてきた物を売って、(寺の)西郭の道端に小屋を建て、困窮した人を休息させるようになった。その後、近江国の国分寺に移し住まわせた。
 
犢鼻」は膝付近を指す言葉ですが、それでは意味が通らないので、「犢鼻褌」と解釈しています。「五尺五分」は、平安時代以降に一般的になったとされる小尺(1尺=約 296mm)で計算すると約 150cm。「三寸」は約 9cm。「中國」は天皇の居住する土地、すなわち畿内の別称として使われていたので、「中國語」は日本語と解釈しました。
 
耳の長さが 3寸(約 9cm)余りあったというのは、どの部分を測ったのかはわかりませんが、相当に大きな耳の持ち主であったようです。初めて見る異国の人を描写するとき、普通は服装に加えて、顔つき、髪型、肌や目の色などを書くと思うのですが、この漂着者の場合は耳の長さが突出して目立ったということなのでしょう。私は、イースター島のモアイ像を建造したとされる長耳族と関連があるのではないか、と思っています。諸説ありますが、ポリネシア系の人たちがイースター島などに植民したのは奈良時代から平安時代ごろだそうです()。

綿の種や一弦琴の他にも、売って小屋を建てるに足るほどの物品を持っていたことから、漁師が嵐などで漂流したのだとは考えにくいと思います。植民を目的として船出した船団の中の一艘が流れ着いた可能性があるのではないでしょうか。

この漂着者はその後どうなったのでしょうか。同族とも離ればなれになってただ一人、まったく見ず知らずの土地に流れ着いたこの青年の望郷の念は察するに余りあります。日本の女性と結ばれて子孫を残したのでしょうか。
 
なお、この漂着者が持ち込んだ綿の種子がもとになって日本で綿花の栽培が始まったとするのは疑問です。六国史には、この漂着以前から、官人などに褒美として綿を下賜したという記録が多数あります。
 
 
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2021年8月29日日曜日

小惑星 2021 QD1 が地球と月に接近・通過

 
8月28日に小惑星〝2021 QD1〟が地球と月のそばを通過していったことが、NASA/JPLのデータベースの 8月28日付更新で明らかになりました。
 
2021 QD1 (2021年8月28日付予報)
接近日時(日本時間)
(地球)8月28日 05:54
 (月)8月28日 17:30
接近日時 誤差
(地球)±1 分未満
(月)±1 分未満
接近距離 (地球)0.80 LD
(月)0.82 LD
推定直径
5 ~ 11 m
対地球相対速度
5.7 km/s ≅ 2万1000 km/h
発見から地球接近まで0 日
次の地球接近
公転周期649 日 ≅ 1.78 年
分類
アポロ群
 (1LD=地球から月までの平均距離) 
 
このブログでは、原則として地球から 2LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 
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2021年8月27日金曜日

福徳岡ノ場で海底噴火 (続報-4)

 
8月16日「福徳岡ノ場で海底噴火 (続報-3)」の続報です。
 
本州南方の福徳岡ノ場(地図)で 8月13日に始まった噴火で誕生した新島ですが、26日の観測で東側の部分がほぼ海没してしまったことがわかりました:

海上保安庁のウェブサイトに掲載されている写真で新島の変化を見てみましょう:

西之島は大量の溶岩が流出して固まったことによって海蝕されにくいのに対して、福徳岡ノ場の新島は軽石が集積してできているために波によって削られやすいようです。
 
 
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2021年8月26日木曜日

キラウエア山で群発地震、急激な傾斜変動 — ハワイ

 
8月23日からキアラウエア山(地図)の山頂カルデラ南側で地震が多発し、それに伴って急激な傾斜変動が観測されています。ほとんどの地震はマグニチュード 1~2 で、地表から約 1~2km の深さで発生しています。山頂カルデラ南側の地下にマグマが貫入している可能性があるとのことです。米国地質調査所(USGS)ハワイ火山観測所(HVO)は、キアラウエア山の警戒レベルと航空カラー・コードを「イエロー/勧告」から「オレンジ/注意」に引き上げました:
 
傾斜計のグラフの右端に注目してください。
 
 

2021年8月23日月曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-244)

 
八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 8月22日15:00 付けで更新情報を出しています。
 
「前号の認識正しい可能性 推定通り CH07 に極大出現観測 9/9±1 発生の可能性示す変動 但し K1、CH07、CH29 変動終息まで確定保留」:
 
推定時期▼継続中の前兆変動の終息が確認できるまで不確定 ▼K1 観測装置(高知観測点 )、CH07 観測装置(八ヶ岳)、CH29 観測装置(八ヶ岳)の特異変動が終息するのを待って計算予定 ▼ただし 9月9日±1日(9月10日±2日)の可能性あり
推定時刻 ▼ CH34観測装置の BT 変動にもとづいた場合(従来どおり) → 午後6時30分±2時間 または 午前7時00分±3時間
▼ 複数観測装置の BT 変動にもとづいた場合 → 午後6時00分±2時間 または 午前9時00分±2時間
推定震央領域 ▼長野県北部、群馬県、栃木県西部、福島県西部、新潟県南部など ▼浅間山、白根山などの火山近傍 ▼「続報 No.309」所載の図 4 太線内(斜線領域は参考)
推定規模 M8.0 ± 0.3
近傍火山活動活発化の可能性もあるが不明
推定地震種 震源が浅い陸域地殻内地震
 
 
 

2021年8月22日日曜日

承和六年の未確認空中現象

 
日本書紀、続日本紀、日本後紀に次ぐ第4の勅撰史書・続日本後紀の承和六年(西暦 839年)六月二十八日の記事から、未確認空中現象(UAP: Unidentified Aerial Phenomena)とおぼしき現象の記録を紹介します。承和六年は平安京遷都から 45年が経過した平安時代初期、仁明天皇の治世です:
是夜。有赤氣。方■丈。從坤方來。至紫宸殿之上。去地廿許丈。光如炬火。須臾而滅。(「■」は「卅」に縦線が 1本追加された文字で「四十」の意。)
 
本日夜、方四十丈の赤色の光る物体が、東北の方角から紫宸殿の上まで進んできた。地上二十丈程の高さのところに炬火(たいまつ)のように明かるく見えたが、しばらくして消えた。
 
現代語訳は、『続日本後紀(上)』(森田悌 全現代語訳、講談社、2010)から引用しました。
 
1丈は約 3m なので「方四十丈」はおおよそ 120m × 120m、二十丈は約 60m となります。
 
原文にある「赤氣」は、多くの場合、地平線近くの空が赤みを帯びて見える現象とされ、太陽活動の活発化によって日本などの低緯度地域でも見られたオーロラと解釈されますが、上記の場合は紫宸殿の上まで移動してきて明るく見えていることから、通常の「赤氣」とは違うようです。
 
 

「終末の氷河」が地熱で融ける — 南極大陸

 
西南極は急速に温暖化している地域の一つですが、そこにあるスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)は 1980年代以降、5400億トンの氷を失っており、その間の世界の年間海面上昇の 4%を単独で担っているとされています。この氷河が完全に海に崩れ落ちると、世界の海面は約 65cm 上昇し、世界中の海岸地域に壊滅的な打撃を与えると予想され、「終末の氷河(Doomsday Glacier)」と呼ばれています。

8月18日付の学術誌「Communications Earth & Environment」に掲載された研究では、このスウェイツ氷河が、温暖化した大気や海水だけでなく、地熱によっても融けている可能性が示されました:
 
記事によると —— 西南極の地殻は東南極に比べてかなり薄く、東南極の地殻の厚さが約 40km あるのに対して、西南極の厚さは約  17~25km しかなく、上部マントルからの熱をより多く地表に放散している。このため、西南極にあるスウェイツ氷河は東南極の氷河に比べてかなり多くの地熱にさらされている。大量の地熱によって、氷河の底が完全に凍らなくなったり、氷河の表面に一定の水の膜ができたりする可能性があり、氷河の氷が地面の上を滑りやすくなり、氷河の減少がかなり加速するおそれがある。さらに、西南極氷床の端をワインのコルク栓のように塞いでいるスウェイツ氷河がなくなれば、この地域全体の氷の減少が劇的に加速し、かつてないレベルの海面上昇につながる可能性がある —— とのことです。
 
 

2021年8月21日土曜日

キロメートル級小惑星が地球接近

 
8月22日、直径約 1.4km の小惑星〝2016 AJ193〟が地球に接近します:
 
2016 AJ193 (2021年8月20日付予報)
接近日時(日本時間)
8月22日 00:10
接近日時 誤差
±1 分未満
接近距離 8.92 LD
推定直径
1.374 ± 0.403 km
対地球相対速度
26.2 km/s ≅ 9万4000 km/h
発見から地球接近まで
次の地球接近2063年2月22日
公転周期2155日 ≅ 5.90 年
分類
アポロ群
(1LD=地球から月までの平均距離) 

このブログでは、原則として地球から 2LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2021年8月20日金曜日

ジーン・ロッデンベリー氏 生誕100周年

 
8月19日はスタート・レックの生みの親ジーン・ロッデンベリー氏の生誕100周年でした。NASA も記念の行事を支援しました:

ロッデンベリー氏の人生の分岐点となった墜落事故を描いたコミック(当時25歳の副操縦士):
 
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MMX: 火星衛星サンプル・リターン・ミッション

 
JAXA の火星衛星探査計画 MMX(Martian Moons eXploration)は「はやぶさ2」の後継ミッションで、火星の衛星フォボスへの着陸、サンプル採取、地球帰還を目指しています。2024年度打上げ、2025年度火星周回軌道投入、2029年度地球帰還が予定されています:

「フォボス表面には、隕石衝突により火星表面から吹き飛ばされたサンプルが、かなりの量、降り積もっていると考えられています。MMX はフォボス自身のサンプルに加えて、火星表層からのサンプルを、NASA の計画よりも早く、2029年度に地球に持ち帰ります」:

 

アーチ雲出現 — 大阪市、神戸市など (続報)

 
8月19日付「アーチ雲出現 — 大阪市、神戸市など」の続報です。
 
神戸新聞と NHK の記事です。アーチ雲を写した動画があります:
 

2021年8月19日木曜日

能登半島群発地震 — 石川県珠洲市

 
能登半島の先端・石川県珠洲市(地図)周辺で起きている群発地震についての報道です。どちらも同じ大学教授が解説しています。同教授によると珠洲市周辺の地下 12km 付近で起きている地殻変動が影響しているとのことです。
 
「今年に入り急激に地震の回数が増えたほか、震源の位置が一部の地域に偏っていることがわかります」、「マグニチュード 6~7 程度の地震も考えられる」:
 
「奥能登の周辺地域で地震が起きていない場所では、地殻変動によりひずみが高まった状態が続いているため、大きな地震が起きる可能性がある」:

8月20日 富士山噴火説? (続報-3)

 
さらに『日刊SPA!』の記事 2本。
 
富士山噴火の予兆とされる低周波地震に焦点を当てて解説しています。低周波地震 → 高周波地震(有感地震) → 火山性微動 → 噴火という順序になるようです。「富士山では、この低周波地震が、山頂の地下 15キロメートルくらいの位置にあるマグマだまり上部でときおり発生している」、「噴火の前の前兆現象として真っ先に起こるのが、先ほどご紹介した『低周波地震』です」:
 
「2021年3月、17年ぶりに富士山噴火のハザードマップが改定された」、「まず大きな変更点は、富士山噴火によって想定される溶岩の噴出量が従来の約2倍に修正されたこと」、「溶岩の噴出量が増えると、溶岩が到達する距離と速度が変わってきます」:
 
以下の資料の 3ページ目・図3 に、富士山の低周波地震の発生頻度を示すグラフ、低周波地震の発生位置を示す断面図などがあります:
 
 
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アーチ雲出現 — 大阪市、神戸市など

 
8月19日朝、大阪府大阪市や兵庫県神戸市などでアーチ雲(棚雲)が目撃・撮影されました。発達した積乱雲から冷たく重い空気が吹き下ろし、小規模な寒冷前線(ガストフロント)が形成されることによって形成されるとのこと:
 

2021年8月18日水曜日

南海トラフ巨大地震の前に内陸の地震活動は活発化するのか?

 
8月18日01時31分ごろ、島根県東部(広島県との県境付近)を震源とする M4.2、震源の深さ 10km、最大震度 4の地震がありました。ちかごろ、中国・四国・近畿地方や瀬戸内海を震源とする大きめの地震が多いということは誰しもが感じていることと思います。これまであまり地震が起きていなかった徳島県を震源とする有感地震も散発するようになっています。
 
南海トラフ巨大地震の前には内陸の地震活動は活発化するという説があります。以下は海洋研究開発機構(JAMSTEC)が、2018年6月の大阪府北部の地震を機に発表した記事で、同説を吟味しています。
 
「この地震は、前回の南海トラフ地震によってしばらく発生できない状態になっていた断層で起きたものであり、次の南海トラフ地震に向けた活発化のメカニズムと整合するものだったと言えます」:
 
その他の同趣旨の記事も紹介します。
 
「2011年の東北地方太平洋沖地震の前には新潟で中越地震や中越沖地震が起きたり、先の南海トラフ地震である東南海地震の一連の始まりは1943年の鳥取地震で、その後に福井地震が起きたりするなど、巨大地震の前後では日本海側で内陸地震が起きています」:
 
「西日本の内陸地震は次の南海トラフ巨大地震に向けて活発化しているとみたほうがよいでしょう」、「首都直下地震は大震災以前の 1・5~2倍のペースで発生しています。地震の統計では、小さな地震が増えると、大きな地震が起こりやすくなるという傾向があり、首都直下地震は要注意です」:
 
「フィリピン海プレートとユーラシアプレートとの境では、予兆となる地震が起きづらいという特徴がある」、「しっかりくっついてるので、ビシビシと小さな壊れ方をしないでずっとエネルギーをため込んでるので、普段あまり有感地震がないんです」: 
 

8月20日 富士山噴火説? (続報-2)

 
8月20日富士山噴火説にあやかった『日刊SPA!』の記事 3本。煽っても煽っても火がつかない?:
 
8月10日に気象庁が発表した資料によれば、富士山はいたって静かで噴火の気配はありません。「火山活動に特段の変化はなく、静穏に経過しており、噴火の兆候は認められません」:
 
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ハチクが開花 — 和歌山県紀南地方

 
和歌山県の紀南地方各地で、ハチク(淡竹)が開花して竹やぶが枯れるという現象が起きています。 

「ハチクが前回一斉に開花したのは、文献などから 1900年代初頭であるとされ、研究者がそろそろ咲き始めるのではと予測していたという。予想通り、5年ほど前から全国各地で咲き始めた」(南方熊楠顕彰館):
 
ちなみに 1900年代の初頭に内陸で発生した固有名のある地震としては、1905年の芸予地震(M7¼、震央地図) 、1909年の江濃(姉川)地震(M6.8、震央地図)があります。最近も同じような場所で地震が起きたばかりです。
 
 

マダケが開花 — 富山県高岡市

 
富山県高岡市(地図)でマダケ(真竹)とみられる竹に花が咲いているのが見つかりました。

「マダケの開花の周期と外れているが、自然のことなので、単発で起こることも考えられる」、「マダケの開花は百二十年周期とされており、一九五〇〜六〇年ごろに全国的に開花した記録があるという。次の開花のピークは五十年ほど先」(富山県中央植物園):
 

2021年8月17日火曜日

北朝鮮北部沖で深発地震

 
8月16日21時32分(日本時間)ごろ、北朝鮮北部沖で M4.3、震源の深さ 550km の深発地震が発生しました(震央地図)。ロシアのウラジオストクの南といってもよい地点です:
 
日本でもほぼ全国で揺れが観測されています。最も早いところでは 21時34分すぎから揺れ出しています(防災科学技術研究所のウェブサイトから):
 
 
 
 

小惑星 2021 PA17 が月と地球に接近・通過

 
小惑星〝2021 PA17〟が 8月14日に月と地球の近くを通り過ぎていたことが、8月16日付の NASA/JPL のデータベース更新で明らかになりました。
 
2021 PA17 (2021年8月16日付更新)
接近日時(日本時間)
(月)8月14日 20:28
 (地球)8月14日 23:11
接近日時 誤差
(月)±5分
(地球)±4分
接近距離 (月)0.96 LD
(地球)0.17 LD
推定直径
7 ~ 16 m
対地球相対速度
17.4 km/s ≅ 6万3000 km/h
発見から地球接近まで−1 日
次の地球接近
公転周期1000 日 ≅ 2.74 年
分類
アポロ群
(1LD=地球から月までの平均距離) 
 
 このブログでは、原則として地球から 2LD 以内に近づく小惑星を記事にしています。
 
 

2021年8月16日月曜日

近畿圏中心領域大型地震 (続報-243)

 
八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 8月15日15:30 付けで更新情報を出しています。
 
「K1 特異・CH07 特異等終息待ち 但し8月中発生の可能性低い 9/11±3 の可能性も出るが不確定 前兆終息待ち」:
 
推定時期K1 観測装置(高知観測点 )の特異変動と CH07(八ヶ岳)の特異変動が終息するのを待って計算予定
9月11日±3日の可能性があるが不確定
推定時刻 午後6時30分±2時間(または 午前7時±3時間)
推定震央領域 長野県北部、群馬県、栃木県西部、福島県西部、新潟県南部など
浅間山、白根山などの火山近傍
続報 No.308」所載の図 2 太線内(斜線領域は参考)
推定規模 M8.0 ± 0.3
地震発生で近傍火山の活発化・噴火の可能性あり
推定地震種 震源が浅い陸域地殻内地震
 
 

福徳岡ノ場で海底噴火 (続報-3)

 
新島が誕生しました。直径約 1km の馬蹄型。
 
福徳岡ノ場では依然として活発な噴火活動が続いており、直径約 1km の馬蹄型の新島が確認されました噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石やベースサージ(横なぐりの噴煙)に警戒してください: 

上の資料ではベースサージについて「横なぐりの噴煙」と補足していますが、わかりにくいのではないでしょうか。以下の資料によると、火口から垂直に立ち上がる噴煙とは別に、火口から環状に横殴りの噴煙が広がる火砕サージの一種核実験ではじめて認識された現象で、爆発中心から地表を這うように走る爆発煙同様の現象が火山噴火でも発生することが、明神礁の噴火(1952年)やフィリピン・タール火山の噴火(1965年)で確認されましたとのことです:
 
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ブルー・ジェット現象

 
嵐のさなか、メキシコのソノラ(地図)上空に現れたブルー・ジェット。超高層雷放電の一種です。8月3日から4日にかけての夜、米国アリゾナ州のセント・デイビッド(地図)から撮影されました:
 

2021年8月15日日曜日

かちけん君

 
鹿児島地方検察庁のマスコット(ゆるキャラ)の「かちけん君」。欧米の人は、火山が短パンをはいていることが気になるようです。以下はニュージーランドの火山学者のツイートです:
 
 鹿児島地方検察庁には「かちけん君」以外に「センパイ」と「ミストちゃん」というマスコットもあるようです。以下のページの下の方に図と説明があります:

南サンドウィッチ諸島近海で M7.5、M8.1、M6.3 (続報)

 
サウス・サンドウィッチ諸島近海での一連の大地震は日本列島も揺らしていました。
 
以下の「高感度版 100トレース連続波形画像」(防災科学技術研究所)において、03時53分ごろから記録されている黒い帯状の揺れが M7.5、同55分ごろから記録されているのが M8.1 に該当すると思われます。南の方(グラフでは下の方)ほど早く揺れ始めています。地震発生から 20分ほどかけて日本列島まで伝わって来たようです:
 
その後の余震も記録されているようです:
 
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南サンドウィッチ諸島近海で M7.5、M8.1、M6.3

 
8月13日(日本時間)、南極大陸に近い南大西洋のサウス・サンドウィッチ諸島近海で大きな地震が相次いで発生しました。余震も多数発生している模様です:
 
以下は、M8.1 の地震について、米国地質調査所(USGS)の “Tectonic Summary” の主要部分をテキトー訳したものです:
2021年8月12日(日本時間13日)にサウス・サンドウィッチ諸島で発生した M8.1 の地震は、スコシア沈み込み帯の深さ約 48km のところで逆断層が動いたことに起因している。発震機構解は、北西に傾いた急峻な断層面か、南東に浅い角度で傾いた断層面のいずれかで滑りが生じたことを示唆している。なお、この場所では、沈み込み帯の境界が西に傾いている。
 
この地震は,北に約 90km、深さ約 63km の位置で発生した M7.5 の前震の約 3分後に発生した。
 
M8.1 の地震が発生した場所では、南アメリカ・プレートがスコシア・プレートとサウス・サンドウィッチ・マイクロプレート(広いスコシア・プレートの一部)の下に西向きに沈み込んでいる。南アメリカ・プレートは南サンドウィッチ・マイクロプレートに対して 1年に約 71mm の速度で沈み込んでいる。
 
この地震の深さと発震機構から、この地震は、2つのプレートの境界ではなく、沈み込んだ南アメリカ・プレートの内部で発生(プレート内地震)したと考えられる。しかし、2つの大きな地震が時間的に接近して発生したため地震波が重なり合っており、M8.1 の本震の断層メカニズムを精確に決定することは困難である。

地震は一般的には地図上の点として描かれることが多いが、今回のような規模の地震は、より広い断層領域でのすべりとして表現するのが適切である。今回の M8.1 のような規模の地震は、通常、150km × 75km(長さ×幅)程度の大きさである。
 
今回の一連の地震は、大西洋に 2つしかない沈み込み帯 —— 小アンチル海溝(北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の間)と南スコシア海溝(南アメリカ大陸と南極大陸の間)—— の 1つで発生しました。この 2つの沈み込み帯は遠く離れていますが、多くの共通点があります(プレート図のカリブ・プレートとスコシア・プレートを参照):
  1. 大きな大陸に挟まれた海峡のようなところに存在している。
  2. 東向きに凸な形をしている。
  3. 大西洋側の海洋プレートが西向きに沈み込んでいる。
  4. 両海溝はかつては今より西に位置していたが、東進して現在地に至っている。
  5. 海溝の南北両端は、東西方向に伸びるトランスフォーム断層へと変化している。

カリブ・プレートと小アンチル海溝の起源については定説に近いものがあるようですが、スコシア・プレートと南スコシア海溝は人跡まれな場所にあるため、あまり研究が進んでいないようです。
 
 蛇足ですが、「サウス」がつかないただのサンドウィッチ諸島はどこにあるでしょうか?(
 
 
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福徳岡ノ場で海底噴火 (続報-2)

 
福徳岡ノ場の噴火を海上保安庁が撮影した動画です。核爆発と見まがうような凄まじさです。福徳岡ノ場の頂上は海面下 29m とされていますが、この動画の様子では、すでに頂上が海面上に出ているような印象です。
 
「噴火の状況。福徳岡ノ場北方約 90km、高度約 6,000m から撮影。第三管区海上保安本部 撮影」:
 
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2021年8月14日土曜日

西之島が噴火

 
しばらく静穏な状態が続いていた西之島(地図)が、昨日の福徳岡ノ場に続いて噴火し始めました。
 
「本日(14日)06時頃、気象衛星ひまわりの観測で西之島の噴火に伴う噴煙を観測しました。噴煙の高さは約 1900m と推定され、北方向へ流れています」:
 
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2021年8月13日金曜日

福徳岡ノ場で海底噴火 (続報)

 
8月13日付「福徳岡ノ場で海底噴火」の続報です。
 
噴煙は高さ 1万6000m に達しているとのことです:

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近畿圏中心領域大型地震 (続報-242)

 
 八ヶ岳南麓天文台の串田氏が 8月12日14:50 付けで更新情報を出しています。
 
高知観測点 K1 観測装置の特異変動終息せず。「K1 特異は直前特異ではなかった 『K1特異終息待ち』 8/14 以前の可能性否定 早い場合でも 8/15 以降の可能性」:
 
K1 観測装置(高知観測点)— 図1 参照
  • 前回の更新情報では、K1 観測装置に 8月2.1日から出現し始めた特異変動を、同観測装置の 7月21.5日極大の特異変動に対応する直前特異であると考え、地震発生時期を推定した。
  • しかし、特異変動は予想した終息時期になっても終息せず、8月12日午後現在も終息していない → 直前特異ではないことが明らか。
  • 図1 は K1 特異変動の最大部の変化を示す。8月5.3日と8月6.3日に同じ形の山型変動。2つの山の中心 8月5.8日、または後続の山型を含めた 3つの山の中心 8月6.8日が極大の可能性。
    • 初現 8月2.1日、極大 8月6.8日 → 8月15日± に地震発生(この場合、8月13日昼ごろに終息と予測)
    • 極大 8月5.8日、8月12日午後終息 → 地震発生は 8月15日以降(8月12日午後現在まだ終息せず → 早い場合でも発生は 8月15日以降となることは確実)
  • 「このK1特異が日々終息していない段階で何日迄は発生の可能性なしという情報を出すべきだったかもしれませんが、K1特異終息を待って確実な情報を配信予定でした。しかし終息せず情報が書けませんでした。大変申し訳ございませんでした。」

CH07 観測装置(八ヶ岳)— 図2 参照
  • 図2は、CH07観測装置の基線で横軸(時間軸)は図1 と同じ。基線から細かく突出している変動の多くは流星や航空機のエコー。基線から上下への大きな変動は特異前兆変動。8月5.2日と8月7.2日に下向きの大きな変動。
  • 8月5.2日を主極大、8月7.2日を副極大と認識すると、主・副極大型過去事例と調和。
  • 経験則では[主極大〜地震発生]:[主極大〜副極大]= 3.7:1 が平均的。主極大が鋭い形では 3:1、主極大が緩やかな形では 4.2:1 に近くなる。今回は主極大の継続時間が長いので、4.2:1 を使用して計算 → 8月13日±3日。
  • 最後の下向き変動は終息前時期に前兆が大きく出る場合がある過去例と同様。
  • CH07 観測装置の変動は高知観測点の K1 観測装置と同様な時期に出現した形態の異なる前兆変動と認識。このような例は初めて。
  • CH07 観測装置は 7月14日の落雷停電によって不調となり、7月18日に新受信機に交換し試験運用していたため、当初は気づけなかった。
  • 主・副極大型前兆変動と認識すると上記のとおり 8月13日±3日が算出されるが、8月12日昼までは CH07 観測装置に変動が現れているので地震発生は 8月15日以降となることが推定される。

そのほか
  • CH34 観測装置(八ヶ岳)のBT変動(Baseline Thickness anomaly、静穏時より基線幅が増大する変動)の周期性経験則からは、地震発生日として 8月15日±3日が算出される。
  • 以上述べたように 8月13日±3日や 8月15日以降の可能性を示す変動があり、8月15日または8月16日に地震が発生する可能性も否定できない。仮に 8月15日の場合は、CH07 も K1 も 8月13日未明には終息する可能性、8月16日の場合は 8月13日深夜ごろに終息する可能性が計算できる。
  • 「現在の認識が誤りであった場合は、9月等の可能性も否定できませんが、発生が近い可能性を考え、現段階で言えることとして、早い場合でも発生は、8/15以降であることをご報告いたします。K1が終息次第、発生日を計算して報告予定です。とにかくK1特異の終息を待ちます。」
 
推定時期高知観測点 K1 の特異変動が終息するのを待って計算予定
ただし、8月15日または 16日の可能性あり(8月16日±1日)
推定時刻 午後6時30分±2時間(または 午前7時±3時間)
推定震央領域 長野県北部、群馬県、栃木県西部、福島県西部、新潟県南部など
浅間山、白根山などの火山近傍
続報 No.307」所載の図3参照
推定規模 M8.0 ± 0.3
地震発生で近傍火山の活発化・噴火の可能性あり
推定地震種 震源が浅い陸域地殻内地震
 
 

福徳岡ノ場で海底噴火

 
南硫黄島の北北東約 4.5km にある福徳岡ノ場(地図)で海底噴火が発生した模様です。 

「気象衛星ひまわりの観測によると、福徳岡ノ場(硫黄島から南約 50km にある海底火山)で、本日(13日)06時20分頃から噴煙が観測され、西へ流れています」:

気象衛星ひまわり 8月13日12時30分の赤外画像から
Credit: 気象庁 Japan Meteorological Agency
 


先日、アイスランドでも、海面から黒っぽい噴煙が上がっているとの通報にもとづいて沿岸警備隊の船が現場に急行することがありました。現場は、噴火が続いているレイキャネス半島の南岸近くでしたが、結局、海底からの噴火は確認されず、「噴煙」と見えたのは気象現象だったのだろう、ということで幕引きとなりました:

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2021年8月12日木曜日

韓国・浦項地震 — 関係者を業務上過失致死容疑で検察に捜査要請

 
日本貿易振興機構(ジェトロ)の「ビジネス短信」です。韓国・浦項で 2017年11月15日に発生した M5.4 の地震は地熱発電事業が誘発したとされていますが、それについて「浦項地震真相調査委員会」が 7月29日に公表した調査結果の内容を伝えています。
 
「関係者がそれぞれに与えられた役割と責任を怠ったことに加え、安全を確保するための法的・制度的不備も相まって、地震発生に至ったと結論づけた」、「NEXGEO、韓国地質資源研究院、ソウル大学の責任者に対し、業務上過失致死容疑で検察に捜査を要請することとした」:
 
当ブログの浦項地震に関する記事です:

 

富士山大噴火、その時

 
京都大学名誉教授・鎌田浩毅氏の「富士山大噴火、その時」と題する連載(全5回)が完結しました。富士山の噴火について、多数の図を使ったかなり詳しい解説です。
 
「富士山は昔から美しい円錐形だったのではなく、山が大きく崩壊して山頂の欠けていた時期が何回もあった。標高が高いということは、上部が不安定であることを意味する」、「富士山では過去に12回も山体崩壊が起きたことがわかっている」、「富士山はまだ小学生の年齢だ。今から成長して何回も山体崩壊を起こすだろう」:
 
 

箱根山が山体膨張

 
神奈川県と静岡県にまたがる箱根山(地図)でわずかながら山体膨張が観測されています。
 
「GNSS連続観測では、7月頃から一部の基線でわずかな伸びの変化がみられています。同様な変動は、過去の活動期にも見られていますが、今回の変動量はまだ小さく、その他の基線での変化はみられていません」:
 
伸び(膨張)が観測されているのは、裾野(地図)と小田原(地図)を結ぶ基線です。この基線は、箱根山を西南西から東北東に横切っています。


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ミンダナオ島南東沖で M7.1 — フィリピン

 
日本時間 8月12日02時46分ごろ、フィリピンのミンダナオ島南東沖で M7.1、震源の深さ 65.6 km(米国地質調査所 USGS 発表)の地震が発生しました(震央地図)。フィリピン火山地震研究所(Phivolcs)は M7.3、D69km、日本の気象庁は M7.2、D49km としています:

以下は USGS の “Tectonic Summary” の主要部分をテキトー訳したものです:
2021年8月11日[日本時間では 12日]にフィリピンのミンダナオ島南東沖で発生した M7.1 の地震は、中程度の深さで、斜めの逆断層と横ずれ断層の結果として発生したものである。

地震の深さと発震機構の暫定的な推定によると、今回の地震は、深さ約 90km の沈み込んだフィリピン海プレートの上にある大陸リソスフェア内で発生したと考えられる。発震機構解は、西南西または東南東に傾いた逆断層上で、北東への右横ずれ、または南東への左横ずれの成分を伴う破壊が起こったことを示している。

地震が発生した場所では、フィリピン海プレートがスンダ・プレートに対して年間約 100mm の速度で西北西に移動している。

今回のような規模の地震は、一般的には地図上の点として描かれるが、広い断層領域でのすべりとして表現するのがより適切である。今回のような規模の地震では、通常、50×20km(長さ×幅)程度の大きさがある。
 
 
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