このブログでも何度か取り上げたことのある小惑星〝2005 YU55〟が、また地球に接近します。『天文年鑑』(誠文堂新光社)によれば、最接近は日本時間では 11月9日で、そのときの地球との距離は 0.0022 天文単位(約 33万km)、明るさは 11等級で、天球上を 1日に 77°という超高速で移動すると予報されています。
〝2005 YU55〟は直径約 400m で、「航空母艦サイズ」と表現されています。このような大きさの小惑星が、今回のように地球の至近距離を通過するのは 1976年以来で、次に同様のチャンスが巡ってくるのは 2028年とあって、NASA もレーダー観測などの準備態勢を整えています。高額の費用を費やして探査機を打ち上げなくても、小惑星の方からこちらにやって来てくれるのですから、まさに「鴨が葱を背負ってくる」ようなものです:
- NASA in Final Preparations for Nov. 8 Asteroid Flyby (11月8日の小惑星の接近・通過に備えて NASA が最終準備; 写真、軌道図あり)
小惑星 2005 YU55 の軌道は非常によくわかっています。最接近のとき、この小惑星は地球に 32万4600km まで近づきますが、これは地球から月までの距離の 0.85 倍です。この小惑星からの重力は、地球の潮汐やテクトニック・プレートを含むいかなるものに対しても検出できるほどの影響をおよぼしません。2005 YU55 は地球(と金星と火星)に定期的に接近する軌道にのっていますが、2011年の地球との遭遇は、この宇宙の岩塊にとって過去少なくとも 200年間で最も地球に近づくものとなります。以下のページには、〝2005 YU55〟の軌道要素とともに、地球・金星・火星に接近する日時の予報が今後 50年間分掲載されています(ページ左下の [show close-approach data] をクリックしてください):
エレーニン彗星(エレニン彗星)の一件で懲りたかと思いきや、またぞろトンデモ屋さんたちがうごめき始めています。曰く、「地球に衝突する」、「重力の影響で地震や津波がおこる」、「実はエーリアンの宇宙船だ」、「謎の電波が発信されている」、「NASA は情報を隠している」等々。くれぐれも、このような愚劣な人たちの言動に惑わされることがありませんように。
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