今朝は午前3時前に起床して NASA-TV の記者会見報道をリアルタイムで視聴したのですが、これまでの NASA の「重大発表」に比べると失望感が少なかった感じです。太陽系外惑星のスペクトルの中に葉緑素からの反射に近いパターンが見つかった、というような地球外生命に直接結びつく発表を期待していたので、その点では少しがっかりでしたが。
発表内容は、地球から約40光年離れたトラピスト-1 という恒星の周りを、地球に近い大きさの地球型惑星(岩石惑星)が7つ公転しており(図)、そのうち少なくとも3つの惑星はハビタブル・ゾーン(生命居住可能領域=恒星からの距離が適度で、水が液体で存在しうる範囲)にあることがわかった(図)というものです:
以下は英文の発表内容ですが、研究の中心となった ESO(ヨーロッパ南天天文台)の発表が図や動画が豊富です:
- Ultracool Dwarf and the Seven Planets (ESOの発表、図18葉、動画12本あり、各図はクリックで拡大)
- NASA Telescope Reveals Largest Batch of Earth-Size, Habitable-Zone Planets Around Single Star (NASAの発表、図4葉、動画2本あり)
- Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1 (PDF形式、Nature誌に発表された論文)
日本語の一般向け報道記事にはあまり載っていない情報を少しまとめて見ました:
- 恒星トラピスト-1(TRAPPIST-1)は赤色矮星(red dwarf)で、質量は太陽の8%、直径は太陽の10%で木星より少し大きい程度(図)。明るさは太陽の0.05%程度で非常に暗い。表面温度は約2300℃。
- 暗く燃料の消費が少ないトラピスト-1 の寿命は10兆年で、惑星の上で生命が進化するには十分な時間がある(太陽の寿命は残り数十億年)。
- トラピスト-1 はみずがめ座とうお座の間にあり、みずがめ座に属している(星図、いかにも水を連想させる位置にあります)。
- 〝TRAPPIST〟は、同星を発見したプロジェクトと望遠鏡の名前〝TRAnsiting Planets and PlanetesImals Small Telescope〟に由来する。望遠鏡の口径は60cmで、南米チリの ESO La Silla Observatory に設置されている。
- 7つの惑星はトランジット法によって発見された(観測によって得られた減光グラフ)。
- 7つの惑星の公転軌道は、太陽系の水星の公転軌道よりも小さい(図)。1番内側の惑星(1b)の公転周期は36時間(1.5日)、最も外側の惑星(1h)でも公転周期は14~25日程度。
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