2010年3月22日月曜日

先住民族の家屋とチリ地震

3月 17日付の朝日新聞(朝刊)に 「地震しのいだ先住民族の知恵 伝統家屋、くい打ちはり組むだけ」 というタイトルの記事が掲載されています(現時点でネット上には掲載されていないようです)。このブログの 3月 14日付記事 「チリはなぜ細長いのか」 で触れたチリの先住民族・マプーチェ(マプチェ)族を取材したものです。以下に一部を引用します:
「マプチェの家は倒れなかった。でも、近くにある(西洋式の)教会は倒れたよ」と郊外の村に住むドミンガ・ニクルマン・マリキオさん(74)は話した。

ドミンガさんは、マプチェ族の伝統を生かした、地面にくいを打ち込んではりを組んだだけの木造家屋に暮らす。村には約 100人が住むが、地震で倒壊したのは、れんがやセメントを使った家ばかりだったと言う。

伝統のわらぶきの家は、地震の揺れをよく吸収した。床をセメントなどで固めないことも重要という。

記事は 「マプチェ族は、気温や雲の色の変化などから、地震などの予兆を読み取ることができた、との言い伝えもあるという」と述べた後、マプチェ語の専門家で伝統文化に詳しい元大学教授の 「マプチェ族は、地震を暮らしの一部として受け止め、それと調和するように暮らしてきたのです」 という言葉で締めくくっています。

ところで、今回のチリの大地震(M8.8)では何か宏観前兆はあったのでしょうか。マプチェ族の人たちに尋ねてほしかったと思います。私は、これまで、各国の相当な数のチリ地震に関するニュース記事に目を通してきたのですが、いまのところこれといった宏観前兆の報道には出くわしていません。地震に宏観前兆というものが実在するのであれば、あれだけの規模の大地震でしたから、必ず何らかの前兆があったはずなのですが ……。


過去の関連記事