2010年3月24日水曜日

ダーウィンとチリ地震

アメリカ科学振興協会(AAAS)の発行する科学誌『サイエンス』のサイトが、チリ地震の発生当日に次のような記事を掲載しています:

今年 2月 27日にチリで発生した M8.8 の大地震は、チャールズ・ダーウィンが『ビーグル号航海記』に書き残した 1835年の大地震(推定 M8.5)と津波の記録から、近々発生すると予測されていたという内容です。以下に記事を一部補足してまとめてみました:
ダーウィンは、ビーグル号による航海の途上でチリの大地震を経験し、地震が地形をどのように変えてしまったかを記録している。この観察記録が、同じ震源域で次の M8 級地震が起きることを地震学者が予想するのに役立った。この震源域は長さ 300km あり、サイズミック・ギャップ(地震空白域)として非常によく知られるようになった。

このサイズミック・ギャップ(ダーウィンのギャップ)の南では、1960年に 1000km にわたって断層が裂けて、観測史上最大級である M9.4 の大地震が発生、北では 1906年にバルパライソ地震が発生した。しかし、この 2つの「破壊」の間に挟まれたダーウィンのギャップは 1835年以降、沈黙したままだった。地震学者たちは、1835年の地震以降にこのダーウィンのギャップに蓄積した歪みを計算して、近い時期に何かが起こるであろうと推測していた。

昨年、フランスやチリの地球物理学者のチームが、『Physics of the Earth and Planetary Interiors』という学術雑誌に GPS 計測の結果に基づく論文を発表し、ダーウィンのギャップで今後数十年以内に M8.0 から M8.5 のプレート境界型地震が発生する可能性があると推定していた。

今後数十年以内に大地震が発生すると予測されているサイズミック・ギャップは他にもある。それらの多くは人口密度の高い地域に隣接している。たとえば、インドネシアのパダン沖、インドのデリー北部、トルコのイスタンブール直近など。

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