以下に記事の内容をまとめてみます:
チリ国土の細さは地理的制約、長さは軍事的征服に由来します。地理的制約については言うまでもないと思いますが、東のアンデス山脈、西の太平洋によって東西方向に発展する余地がなかったということです。
一方、長さについては、チリの歴史を学ぶ必要があります。チリの歴史は、16世紀にペルーの植民地から金を求めてやって来たコンキスタドール(スペイン人征服者)の分遣隊が、現在の首都サンティアゴ付近に定着したことから始まりました。1818年にスペインから独立したときの国土は、サンティアゴを中心として、現在の国土の中央部 3分の1 ほどでした。北部 3分の1 と、南部 3分の1 は軍事的征服によって獲得したものです。
1880年代、チリは北部の豊富な硝酸塩資源を獲得するためにペルーやボリビアと戦端を開きます。この戦争を War of the Pacific (紛らわしいですが、訳すと「太平洋戦争」)といいます。この戦争に勝利したチリは、ペルーの南部と、ボリビアの太平洋沿岸の領土を獲得しました。この結果、ボリビアは太平洋への出口を失い、完全な内陸国家になってしまいました。こうして、チリの北部 3分の1 がチリの領土に加わりました。
南部 3分の1 は、北部とほぼ同じ時期に、マプーチェ(Mapuche)人という先住民族を軍事的に制圧することによって獲得しました。マプーチェ人は、インカ帝国やスペイン帝国の支配下に入ることに抵抗し、独立を守り続けた歴史をもっていたのですが、1880年代の末についにチリ陸軍に屈服させられました。
このような経緯で、チリは 1880年代の末には現在のような細長い国土となりました。
領土的野心の遺伝子が引き継がれているのか、チリは南極大陸に1,250,000 km²の領有権を主張しています。
チリに太平洋沿岸の領土を奪われ完全な内陸国になったボリビアですが、いまでも海軍を保有しています。しかし、実体は「湖軍」あるいは「川軍」のようです: