上記写真の中で一番大きな小惑星はルテティア(21 Lutetia)です。ESA(欧州宇宙機関)の探査機ロゼッタが昨年(2010年)接近し撮影したものです。ロゼッタは 2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸することを目指しています。
ルテティアのすぐ左にある芥子粒のような天体がイトカワ(25143 Itokawa)です。これまでに探査機が訪れたことのある小惑星の中では最小です。
画面左上は小惑星・イダ(243 Ida) 。その右の小天体はダクティル(Dactyl)で、衛星としてイダの周囲を回っています。小惑星が衛星を持っていることが確認された最初の事例です。イダの周囲に衛星が発見されたとき、アメリカではその衛星の名前を “Ho” にしてはどうかという提案が冗談半分に出されました。2つの天体を合わせて “Idaho” という州の名前にしたいということでした。
ルテティアの右下には、彗星(の核)がまとめられています。一番大きいのが皆さんご存知のハレー彗星(1P Halley)です。
今年 8月には、アメリカの小惑星探査機ドーン(Dawn = あかつき、2007年打ち上げ)が 4大小惑星(準惑星・ケレスを含む)の一つ・ベスタに到着します。ベスタは他の小惑星と違って、内部に核やマントルがあると推定されているので、ドーンが送ってくる写真には興味深い地形が写っているかも知れません。
上記写真の中で最大のルテティアは直径約 96km、ベスタは約 500km です。ベスタを入れた写真が作られたあかつきには、イトカワは 1画素にもならないかも知れません。
ドーンは、日本の小惑星探査機「はやぶさ」と同様のイオンエンジンを搭載しており、ベスタを観測した後は再びイオンエンジンに点火して次の目標である準惑星ケレスとの邂逅を目指します。ケレスには 2015年に到着する予定です。
ケレスは小惑星帯最大の天体です。かつては小惑星に分類されていましたが、2006年に「惑星」の再定義がおこなわれ冥王星が惑星から準惑星に格下げされた際に、小惑星から準惑星に格上げされました。
ドーンは、ケレスの観測が終わった後、小惑星帯に永久にとどまる史上初の人工物となることになっています。
過去の関連記事
- カ ナダで大火 球 (08年 12月 8日)
- 地球のス トーカー (09年 1月 26日)
- 今夜、小惑星 が地球接近 (09年 3月 2日)
- 小惑星 2009 FH が地球に接近 (09年 3月 19日)
- 小惑星「2009 VA」が地球を掠めた (09年 11月 13日)
- 小惑星が地球 を掠める (10年 1月 13日)
- 小惑星が 地球を掠める (続報) (10年 1月 20日)
- 奇妙な 「彗星」 (10年 2月 3日)
- 太陽面を横切 る謎の物体 (10年 2月 9日)
- 「はヤぶさ」に知能? (10年 4月 1日)
- エイプリル・フール (10年4月2日)
- 小惑星 2010 GA6 が地球近傍を通過 (10年 4月 12日)
- 小惑星 2005 YU55 が地球近傍を通過 (10年4月30日)
- Naming X ― 天体 X に名前をつけよう (10年5月4日)
- 「はやぶさ」が地球を撮影 (10年5月18日)
- 小惑星 2010 KQ (10年5月28日)
- 「はやぶさ」の地球帰還 (10年6月13日)
- 「はやぶさ」の地球帰還 (続報) (10年7月7日)
- 東海3県で謎の「爆発音」 (10年8月8日)
- 東海3県で謎の「爆発音」 (続報) (10年8月25日)
- 2つの小惑星が地球に接近 (10年9月8日)
- 今夜、小惑星が地球直近を通過 (10年10月12日)
- 今夜、小惑星が地球直近を通過 (続報) (10年10月13日)