2016年5月29日日曜日

大西洋の沈み込み帯でM7.2


5月28日18時47分ごろ(日本時間)、南極大陸近くの南大西洋サウス・サンドウィッチ諸島近海でM7.2(気象庁発表ではM7.3)、深さ約73kmの地震が発生しました(震央地図)。

震源は、大西洋に2ヶ所しかないとされる沈み込み帯の一つで、東側から大西洋の海洋底がスコシア海の下に沈み込んで南スコシア海溝が形成されています。

大西洋のもう一つの沈み込み帯はカリブ海の東縁にある小アンチル海溝で、ここでも大西洋が東側からカリブ海の下に沈み込んでいます(地図)。

大西洋の2つの沈み込み帯には共通の特徴があります。木村学著『プレート収束帯のテクトニクス学』(東京大学出版会、2002)から引用します:
  1. 2つの海溝とも大きな大陸に挟まれた海峡的なところに位置している。
  2. ともに東へ凸にはり出した形をしており、かつ大西洋側の海洋プレートが沈み込んでいる。
  3. いずれも海溝はかつて今より西に位置していたが、時とともに東へ進んだ。
  4. 海溝の南北の端は、東西方向のトランスフォーム断層へと変化する。

上記の震央地図からは、太平洋の海底が南米大陸と南極大陸の間の地峡を突き破って東に進み、大西洋に「貫入」して先端部分が海溝になっている様子が見てとれます。ただ、南スコシア海は調査・観測が困難な場所で詳しいことはわかっていないようです。

カリブ海と小アンチル海溝の起源について有力な説は次のようなものです ―― 白亜紀に太平洋上にあったファラロンプレート上の海台が北米大陸と南米大陸の間にめり込み、その東端が小アンチル海溝となった(『プレート収束帯のテクトニクス学』から引用)。


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