ビジネス誌『プレジデント』の記事です。執筆者は長尾年恭・東海大学教授:
長い記事です。興味深い点を拾い出してみました:
- 熊本地震について気象庁の失策 ― 「気象庁が4月14日の地震発生後に『今後も大きな揺れを伴う余震活動に注意』という発表だけで済ませてしまった事は大いに悔やまれる」、
「15日未明にM6.4という地震も発生しており、通常本震と最大余震とのマグニチュードの差は1程度あるのが地震学における常識なのですが、この段階で今後さらに大きな地震活動(後日、本震と認定されたM7.3の地震)が発生する可能性に言及できたはずです」
[注: 14日にM6.5、最大震度7が発生。これが本震であるならば余震はマグニチュードの差が1程度あるM5.5前後のはずなのに、15日未明にM6.4が発生。この段階で通常の本震-余震の関係から逸脱。余震の頻度や規模が徐々に減衰して地震活動が終わるという通常のパターン以外のことが起きつつあると認識できたはず、ということか。] - 大地震の連鎖 ― 1596年9月1日 慶長伊予地震(M7程度) → 9月4日 慶長豊後地震(M7以上と推定) → 9月5日 慶長伏見地震(M7.5程度)
- 大地震の連鎖 ― トルコの北アナトリア断層(東西800km)に沿って、20世紀だけで8個のM7クラスの地震が発生
- 東日本大震災の前、事前シグナルは出ていた:
数年前から 静穏化を含む地震活動の異常、
地殻変動の異常数カ月前から 地下水の異常、ラドンの異常 1カ月ほど前から 地磁気の異常 数日前から 前震の発生およびその震源域の移動、
電離層の各種異常1時間ほど前から 電離層電子密度の異常 - シグナルが出ていたにもかかわらず、東日本大震災はなぜ予測できなかったのか。それは、大地が発するシグナルを組織的に監視し、警告を発するシステムが存在しないから
- 熊本地震でも事前シグナルが出ていた。東海大学の「地下天気図プロジェクト」は、地下天気図上で地震活動静穏化領域が消えたため「2016年3月24日付のニュースレターにおいて『静穏化が終了した後に地震が発生する可能性大』」と予報していた
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