ここ数週間、ヨーロッパ上空に放射性物質の雲が漂っている、とフランスの研究機関が11月9日に発表しました。9月最後の週に、ロシアかカザフスタンで核関連施設から放射性物質の漏洩があったと推定されています。検出されたのは放射性の〝ルテニウム 106〟で、自然には存在せず、原子炉の中で核分裂反応にともなって生成されるものです。半減期は約1年で、その半減期の短さから核医学の分野で利用されているとのこと:
- French institute suspects nuclear accident in Russia or Kazakhstan in September
- French Nuclear Watchdog: Radioactive Cloud In Europe Came From Russia Or Kazakhstan
- Harmless radioactive cloud spread over Europe from Russia or Kazakhstan
ほとんどのメディアが健康や環境に影響はないと報じています。悪名高い枝野官房長官(当時)風に言えば「直ちに人体や健康に影響を及ぼす数値ではない」といったところでしょうか。しかし、専門家は、漏洩があった地点の近隣では有害なレベルに達したはずだと推定しています:
ロシアは、自国が放射性物質の漏洩源ではない、と否定しています:
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