この動画では、オポチュニティがかなり速いスピードで斜面を登っているように見えますが、実際は斜面を登り切るまでに火星の時間で 5日かかっています。その内の 3日分の写真をつなぎ合わせてこの動画は作られました。クレーター壁の影の移動に注目すると、時間の経過がわかります。
斜面の勾配は 23° あり、画面から受ける印象以上の急勾配です。当初、NASA はオポチュニティをクレーターの中に入れることをためらっていました。オポチュニティが斜面を登れなくなり、クレーター内に閉じこめられる事態を恐れていたのです。しかし、最終的にはクレーターの内側からクレーター壁に現れた地層の調査をすることの学問的価値の方が、脱出できなくなるリスクに打ち勝ちました。
画面中央に見えるクレーター壁には地層が浮き出ています。この地層を詳細に調べることによって、この地域の過去の環境についてかなりのことがわかりました。また、クレーターの底には風紋が形成されていることにも注目してください。
ビクトリア・クレーター(直径 0.8km)の調査を終えたオポチュニティは、現在、より大きなエンデバー・クレーター(直径 21km)に向かって進行中です。
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