2010年5月27日木曜日

カエルの大群出現 ― 今度はギリシャ

5月 26日、ギリシャの都市テッサロニキ(地図)の東約 20km にある街で、小さなカエルの大群が幹線道路を横切ったため、道路が 約 2時間にわたって閉鎖されました:

道路が閉鎖されたのは動物愛護の観点からではなく、大量のカエルをひいた自動車が 3台、スリップ事故を起こしたため。交通整理にあたっていた警察官はカエルの大群を 「カエルの絨毯(じゅうたん)」 と表現しています。

ギリシャは地震が多発する国ですので、当然のことながら地震の前兆ではとの見方が出ています。以下の記事には、それに関する情報が補足されています:

以下に記事の内容を抜粋・意訳します:
カエルは食料を求めて移動しているのではないかと警察は考えている。

しかしながら、イギリスの科学者は別の理論を唱えている。つい先月(注: 記事は 4月としていますが、正しくは 3月)発表されたイギリス人生物学者らの研究報告では、カエルは地震を予知して行動することがしばしばあることが示された。

実際に、2009年 4月 6日にイタリアで発生した M6.3 の地震(ラクイラ地震、死者 300人超、家を失った者 40000人超)では、その 5日前に近隣のカエルの行動に変化が現れていた。その地域に生息するオスのカエルの 96% 以上が群れ集まり始め、地震の 1日前に数百匹のカエルが集団で逃げだした。(この件については、このブログの 3月 20日付記事 「ヒキガエルの繁殖行動とラクイラ地震」 を参照してください。)

もう一つの事例は、2008年におきた中国の地震(四川大地震)である。この地震はカエルの大群の移動によって予知されていた。2008年 5月 5日、大量のカエルが移動し、中国中央部の住民に嫌な予感をもたらした。住民らは不吉な前兆であると考えたが、政府はカエルの移動は正常な出来事であると発表した。

果たせるかな、5月 12日に中国中央部で地震が発生し、1万2000人が犠牲になった(注: 国連の国際防災戦略(ISDR)によれば死者は8万7476人、USGS の資料では 8万7587人)。

地震を予知しているのはカエルたちだけではない。何人かの地震学者たちは彼らの分析に基づいて、24時間以内にギリシャかトルコで大地震が発生する可能性があると明言している。

最後に書かれている 24時間以内に大地震云々について、記事は情報の出所を書いていませんが、おそらく VAN 法による地震予知を続けている科学者グループではないかと思います。(VAN法については、このブログの 09年 5月 22日付記事 「VAN 法で強震を予測 ― ギリシャ」 も参照してください。)

ラクイラ地震は 4月、四川大地震は 5月に発生しています。ともにカエルの行動が活発になる時期です。そのような時期だからカエルの行動に前兆が現れたのか、そのような時期に地震がおきたのでカエルの行動が地震と結びつけられたのか、慎重に検討する必要があると思います。


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