2013年3月24日日曜日

河口湖の水位が大幅低下 ― 山梨県河口湖町


富士五湖の1つ、山梨県の河口湖(地図)の水位が大幅に低下していることについて、メディアの報道が増えています。

「最近10年間で最も低い水位を記録した」、「富士五湖の中で他の湖の減少幅は小さく、河口湖だけが大幅に水位が低下している理由については、専門家も『よく分からない』と首をかしげている」:

「現在、富士山の北北西の方で、微動や傾斜変動があるんですが。例えば、河口湖の湖底に割れ目が入り、水が(地下に)流れることがあるかもしれないが、傾斜変動や微動が直接、河口湖の湖面の低下に関係があるともないともはっきり言えない」(水位が大幅に低下した原因について、東京大学の笠原順三名誉教授):

水位低下の原因について、「一帯の降水量が少なかったというのが一つ。しかし、山中湖は水量が増えていますので地元の方は納得していません。富士山噴火や箱根山の地震との関係について専門家にも聞いてみましたが、富士山噴火の兆候は見られないし、2月下旬以降は箱根山の地震は少ないといことで、結局、原因はわからないということでした」:

「1997年には『今より1m以上下がっていた』」、「以前に水位が低下したときにも、『似たような下がり方だったと思う』という。つまり、今回だけが特別と言うことはないようだ」:

なお上記の記事で、「3月1日から4日にかけて水位が6mも急激に下がった」とネット上で騒がれていることについて、県の担当者は次のように答えています:
そういったことはないですね。ネットで数値を公開しているのですが、河口湖の計測器に不具合が出ていて、現在は公開をやめています。3月頭に機器を補修した時に、変な数字が一瞬表示されていたんです。それをご覧になったのでは。

気象予報士・森田正光さんのブログ『チーム森田の“天気で斬る!”』でも河口湖の水位低下を取り上げています。「理由はわかりません。雨が少ない、富士山の雪融けが遅いなど、理由はいくつか考えられるものの、降水量も、気温も、今年だけ際立って異常値が出ているわけでもありませんし、富士山近辺の他の湖では同様の現象は現れていないようです」:

上掲の記事で、笠原名誉教授は「現在、富士山の北北西の方で、微動や傾斜変動があるんです」と述べています。3月12日の火山噴火予知連絡会で使われた資料「その5-2(弥陀ヶ原~富士山) 」(PDF形式、8MB)には、そのような傾斜変動の情報は載っていません。その一方で、92ページに載っている「図6 富士山 太郎坊観測点における傾斜変動」のキャプションには:
  • 静岡県東部の地震(2011年3月15日、M6.4)の発生後、及び山梨県東部・富士五湖の地震(2012年1月28日、M5.4)の発生後に北東下がりの傾斜変動がみられる。
  • 火山活動によるとみられる傾斜変動は認められない。
との記述があります。太郎坊観測点は富士山頂から東南東の方向にあります。

2010年から異常湧水が報道されている静岡県富士宮市淀師(地図)は、富士山を挟んで河口湖とは反対の位置にあります。富士山の北では水が減り、南では異常湧水が起きているということになります。富士宮市の異常湧水については、下の関連記事をお読みください。

富士五湖の水位は、下記の国土交通省の水位観測データで見ることができます。現在、河口湖だけは測定の下限を下回ったためか、水位が表示されません:

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