「黒い砂」ってまるで松本清張の推理小説のタイトルにありそうですが、12月 15日に湘南地域などに降った黒い砂の正体は何なのでしょうか:
砂粒の大きさはおおよそ 0.1mm ということで、黄砂などと比べると一桁から二桁ほど大きく、大気中にそれほど長期間漂っていたとは考えられません。比較的近距離から飛来したか、上空から落下してきたかでしょう。
12月 14日に出現の極大を迎えた「ふたご座α」流星群の火球がまき散らした流星塵かとも考えましたが、粒子の直径が大きすぎますし、何よりも量が多すぎます。また、そのような火球の目撃情報もありません。
報道によれば黄砂の飛来、火山の噴火、工場事故などはなかったということです。『朝日新聞』の記事(上掲 1)では、専門家が「成分を見ると、何かの焼却灰のようにも思える」と指摘しています。
『東京新聞』の記事(上掲 2)には、「(神奈川)県内では今年四月、北西部の山北町で黒い砂が降ったとの情報が県に寄せられたが、砂を採取できず、原因は分からなかった」との情報が載っています。山北町は、今回も黒い砂が降った地域に含まれています。
群馬大学の火山学者・早川由紀夫教授のブログには、「富士山の表面をつくっている黒い軽石(スコリア)の細粉が強風で飛ばされたものだろう」との見解が示されています:
関東ローム層は富士山の噴火のときに降り積もったと思い込んでいましたが、「噴火しなくても富士山から砂が巻き上げられて関東平野に降り積もる事例が日本社会の記憶に残るといい。これが何度も繰り返されれば、関東ロームが富士山の噴火で降り積もったと誤解する人はそのうちいなくなるだろう」とのことです。