6月6日付「金星の日面経過 (その1)」の続きです。
金星の日面経過については、例によってスピリチュアル系やオカルト系のウェブサイトで災害との関連が取りざたされています。
そのような「関連」は疑似相関として一蹴できるレベルのものですが、試みに17世紀以降の金星の日面経過について、その年と前後1年に起きた地震と火山噴火をリストアップしてみました。▼印のついた年月日が金星の日面経過が起きた日付です。
金星の日面経過と相前後して発生した特に大きな災害としては、1883年のクラカタウ山の巨大噴火(日面経過の翌年)、2004年のスマトラ島沖大地震と大津波(日面経過の半年後)、2011年の東北地方太平洋沖地震(日面経過の前年)があります:
▼ 1631年12月7日
- 1630 江戸 M6.25(江戸城の石垣崩れ、塀も破損)
- 1631 イタリア・ヴェスヴィオ山(死者3000~6000?)
- 1638 北アメリカ東部 (マグニチュード不明)
- 1638 ジャワ島のラウン山(死者1000人)
- 1640 北海道駒ヶ岳(山体崩壊に伴う岩屑なだれが内浦湾に流入し、大津波が発生。死者700余名)
- 1640 加賀大聖寺 M6.25~6.75(家屋の損潰多く、人畜の死傷も多かった)
- 1760 モルッカ諸島のマキヤン山(泥流により死者2000人)
- 1760 琉球(城墻57ヶ所崩れる)
- 1762 土佐(高岡郡で瓦落ち、山崩れる。岩国・宇和島・筑後で有感)
- 1762 佐渡 M7.0 (石垣・家屋が破損、銀山道が崩れ死者、鵜島村で津波により26戸流出。新潟で地割れを生じ、砂と水を噴出。酒田・羽前南村山郡・日光で有感)
- 1763 陸奥八戸 M7.4、M7.25、M7.0
- 1768 トルコ・アナトリア地方 M 8.0 死者 8,000人
- 1768 琉球(王城などの石垣が崩れた。津波が来て、慶良間島で田園と民家9戸を損じた)
- 1768 陸奥八戸(3回地震、家屋・塀などの被害が少なくなかった。和賀郡沢内で震動が強かった)
- 1769 有珠山(火砕流で山麓の民家焼失)
- 1769 日向・豊後・肥後 M7.75(延岡城・大分城で被害多く、寺社・町屋の破損が多かった。熊本領内でも被害が多く、宇和島で強く感じた。津波があった)
- 1873 アメリカ・カリフォルニア州-オレゴン州 M 7.3
- 1881 北海道 M7.0(国後島泊湊で板蔵など倒れ、または大破した。津軽でも強く感じた)
- 1882 高知市付近(市中で壁が落ち、板塀が倒れ、石灯籠の頭が落ちるなどの被害があった)
- 1882 アメリカ・コロラド州 M 6.6
- 1883 インドネシア・クラカタウ山(津波と火砕流で36,000人以上の犠牲者)
- 2003 宮城県沖 M7.1
- 2003 宮城県北部 M6.4 震度6強記録
- 2003 釧路沖 M8.0 『平成15年十勝沖地震』
- 2003 アルジェリア北部 M 6.8 死者 2,266人
- 2003 イラン南東部 M 6.6 死者 31,000人
- 2004 新潟県中越地方 M6.8 『平成16年新潟県中越地震』
- 2004 インドネシア・スマトラ島沖 M 9.1 死者 227,898人
- 2005 福岡県西方沖 M7.0
- 2005 宮城県沖 M7.2
- 2011 三陸沖 M7.3
- 2011 三陸沖 M9.0 『平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震』、その後、長野県北部(M6.7)、静岡県東部(M6.4)などの誘発地震や余震多数
- 2012 鳥島近海 M7.0
上記のリストを眺めると、金星の日面経過は6月と12月に起きていること、日面経過が1度起きると8年後の同じ月にまた起きること、などの規則性があることがわかります。このような規則性は、金星と地球の公転周期の比や、金星の公転軌道が地球の公転軌道に対して3度以上傾いていることなどによって生じています。
(完)
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