2012年6月6日水曜日

金星の日面経過 (その1)


私の暮らす関東地方では、雨や曇りで金星の日面経過はまったく見ることができませんでした。残念至極。次回は105年後の2117年12月ですから、今生きている人でそれを見ることができるのは、ごくごくわずかでしょう。

日食は、場所を問わず海外に出かける労をいとわなければ毎年のように観測できます。それに対して、金星の日面経過は非常にまれな現象です。NASAの資料(12)によると、17世紀初頭に望遠鏡が発明されて以降に起きた金星の日面経過は、今日のものを含めてわずかに8回。紀元前2000年から現在まででは53回。範囲を広げて紀元前2000年から紀元後4000年までの6000年間でもわずかに81回です。それを考えると、今日の日面経過を見逃したことに対する残念さが募ります。

ところで、私は「日面経過」という言葉を使っていますが、報道などでは「太陽面通過」という言葉が使われています。私自身は天文関係のクラブに所属していたときから「日面経過」という言葉を使い慣れており、当時目にしていた資料も「日面経過」を使っていたと記憶しています。このところ「太陽面通過」を目にすることの方が多くなってきて疑問に思っていたのですが、国立天文台の資料に以下のような説明があり得心しました:
国立天文台暦計算室が提供する情報(理科年表を含む)においては、原則として「日面経過」という用語で統一しています。 
2004年に、天文の教育普及関係者より「太陽面通過」という用語で統一することが提案された経緯から、現在では教育関係、報道関係で「太陽面通過」が多く用いられているようです。それにあわせて、この記事でも「太陽面通過」を主に用いています。 
なお、ほかに「日面通過」「太陽面経過」という用語も見かけますが、誤りではありません。 

たしかに、「日面経過」では天文分野になじみの薄い人たちにはわかりにくいのに対して、「太陽面通過」だとどのような現象なのかイメージしやすいと思います。私自身、初めて「日面経過」という用語を耳にしたときには、「日面」はともかく、「経過」の方には違和感を覚えたものです。

この件については、詳しい説明が以下にあります:

(続く)