11月14日付「放射性物質・有毒物質満載のまま大気圏突入へ ― フォボス探査機」の続報です。
火星の衛星フォボスの表面物質を採集して地球に持ち帰ることを目指して11月9日に打ち上げられたロシアのフォボス探査機〝フォボス-グルント〟(Phobos-Grunt)は、火星へ向かう惑星間飛行軌道にのるためのロケット・エンジンが点火せず、通信が途絶したまま地球低軌道を周回し続けていました。NASAやESA(European Space Agency、欧州宇宙機関)がロシアに協力して通信の回復を試みていましたが、日本時間23日早朝、ESAがオーストラリアのパースに設けている衛星追跡ステーションが、フォボス-グルントとの通信を回復することに成功しました:
- ESA tracking station establishes contact with Russia’s Mars mission
- It's alive! Russia's Phobos-Grunt probe phones home
- Stranded Mars probe lets out a tiny cry for help
その後、フォボスーグルントからはテレメトリー(遠隔計測)信号も送られてくるようになり、ロシアのチームがその解析を急いでいます:
テレメトリー信号の解析によって、ロケットの点火失敗がソフトウェアに起因すると判明した場合には、新たに修正したソフトウェアをアップロードして火星に向かう軌道に載せることも不可能ではないとのことです。ただし、その場合でも、地球と火星の位置関係がすでに本来の計画からずれてしまっているので火星への片道飛行となり、フォボスのサンプルを地球に持ち帰ることは絶望的だそうです。
フォボスーグルントには、中国初の惑星探査機〝蛍火-1号〟が搭載されています。片道飛行であっても、蛍火-1号の計画への影響は最小限ですむと思われます。
フォボスーグルントの目的地を月や地球に近い小惑星に変更する、あるいは、2013年に地球と火星の位置関係が再び往復飛行に適したものになるまで地球周回軌道上で待機する、という選択肢も取りざたされています。
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