2009年8月6日木曜日

火星にモノリス !?

火星を周回中のアメリカの探査機 Mars Reconnaissance Orbiter(MRO)に搭載されている超高解像度カメラ(HiRISE: High Resolution Imaging Science Experiment)は、多数の非常に鮮明な映像を地球に送り続けています。その映像の中に、スタンリー・キューブリックの名作映画「2001年宇宙の旅」に登場する「モノリス」を思わせる長方形の物体が、火星表面に長い影を落としているように見える写真があり、話題になっています:
HiRISE を運用しているアリゾナ大学の HiRISE Operations Center が公開しているオリジナルの写真は以下にあります。この写真は非常に広い範囲を写したものですが、上に紹介した『The Sun』紙所載の写真と照らし合わせると、「モノリス」は写真中央部やや左上にあるらしいことがわかります:
おりしも、アポロ 11号で月に到達した元宇宙飛行士のバズ・オルドリン氏が 、TV 番組のインタビューで、「人類は火星の衛星を目指すべきだ、なぜなら火星の衛星フォボスにはモノリスがあるからだ」という趣旨の発言をしており、話題に事欠きません。オルドリン氏のインタビューは上記記事に動画があります。また、フォボス上の「モノリス」の写真は、上に掲げた「Buzz Aldrin stokes the mystery of the monolith on Mars」という記事の中にあります。

専門家は、「モノリス」は自然にこのような形状になったありふれた岩塊にすぎず、大きさは 5m 程度、人工的な物体というニュアンスのある「モノリス」という言葉を使うのは賢明ではないと語っています。

今回わき起こった「火星のモノリス」騒ぎは当分尾を引きそうです。この種の話題というのは、専門家がどのように理を尽くして説明し、証拠を示して否定しても、背景知識に乏しい一般大衆には受け入れられないようです。そのことは、ようやく下火になった感のある「火星の顔」の一件がよく示していると思います。