2010年9月12日日曜日

「釣魚島に目配りを」

尖閣諸島に関する日本と中国の対立について、アメリカの主要紙『ザ・ニューヨーク・タイムズ』が、1989年に起きた天安門事件についての報道でピューリッツァー賞を受賞したことのあるジャーナリスト Nicholas Kristof 氏の寄稿を 9月 10日付で掲載しています:

記事のタイトルに「Diaoyu Islands(釣魚島)」という中国側の呼び名を使っている時点で、Kristof 氏が日中のどちらの言い分に正当性があると考えているかにじみ出ていますが、一般のアメリカ人にとって馴染みのほとんどない尖閣諸島問題のポイントを簡潔にまとめた第 4段落、第 5段落、第 6段落はわれわれ日本人にとっても参考になると思いますので、以下にテキトー訳します:
もう一つの問題は、もし尖閣諸島で戦闘が発生した場合、理論的にはアメリカは日本を救援する義務があるという点である。日中のどちらが尖閣諸島を領有しているかについてアメリカは立場を明らかにしていないが、日米安全保障条約は日本が行政的に管理している地域の防衛をアメリカが支援するむね明記している。さらに、1972年にアメリカが日本に沖縄を返還したとき、アメリカは日本が尖閣諸島を行政的に管理することに同意している。したがって、尖閣諸島が必然的に日本のものであるということにわれわれが同意しているわけではないとしても、日本が尖閣諸島について戦争を遂行するときにはわれわれは日本を支援せざるを得ないという不条理な立場におかれている。

現実問題としては、もちろん、少しばかりの不毛な岩礁のためにアメリカが条約上の義務を遵守する可能性はゼロである。中国のものである可能性が多分にあるいくつかの島をめぐって、われわれが中国と核対決をする危険を冒すことはない。しかし、われわれが支援しなければ、アメリカと日本の安全保障上の関係は破綻の限界点にまで達するだろう。

それでは、日中どちらの国がこれらの島々に対するより正当な主張をしているのだろうか? 歯切れのよい答えというわけにはいかないが、私の感じでは中国である。中国の航海記録は、何世紀にもわたってそれらの島々が中国のものであったことを示している。1783年製の日本の地図も同様に、それらの島々が中国のものであることを示している。日本がそれらの島々を「発見」したと主張したのは 1884年になってからのことで、自国に併合したのは台湾を獲得したのと同じ 1895年のことである。(それらの島々が “terra nullis”、すなわち 「どこの国にも属していない土地」であったと主張することも可能である。)

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