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この天体は IRAS 23166+1655、AFGL 3068、あるいは LL Pegasi(ペガサス座 LL星)と呼ばれ、強い赤外線を出していることで知られていました。地球から約 3000光年の彼方にあり非常に暗いため、これまで撮影された写真では点にしか写っていませんでした。今回、ハッブル宇宙望遠鏡が 33分という長い露光時間をかけて撮影したところ、幾何学的にほぼ完璧な渦巻きの形状が現れました。
この渦巻きの背後には二重星系が隠れています。2つの恒星が互いに相手の周りを回っているのですが、そのうちの一方の星が炭素星で、この渦巻きの原料を供給していると考えられています。
太陽のような恒星は、水素を核融合させてヘリウムを作りエネルギーを発生させています。燃料となる水素を使い切ってしまうと、今度はヘリウムを核融合させて炭素を作り出すようになります。そのような段階に至った恒星が炭素星です。炭素星が周囲の宇宙空間にまき散らす太陽風には炭素が多く含まれています。
二重星系は炭素星が放出した炭素を多く含む「雲」に囲まれているため、写真には現れていません。渦巻き状の構造は、この炭素を多く含む「雲」に二重星の回転運動が作用することによって形成されたと考えられています。
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