欧米などのメディアでは、1週間ほど前から小惑星 2011 ES4 の地球接近をセンセーショナルに伝える記事が出始めています。日本のメディアでも追随するところがあるかも知れません:
- NASA warns that asteroid the size of Tron Kirk to shoot past Earth at 18,253mph (Tron Kirkに匹敵するサイズの小惑星が地球のそばを時速1万8253マイルで突っ切る、とNASAが警告)
- A Giant Asteroid Is Getting Ready To Skim By Earth Closer Than The Moon At 18,000 MPH (巨大な小惑星が月よりも近いところを時速1万8000マイルで掠めようとしている)
- Asteroid 2011 ES4 to shuttle past Earth soon at a much closer distance than moon (まもなく小惑星 2011 ES4 が月よりも近い距離で地球を通り過ぎる)
現時点の予報は以下のとおりです。このブログの小惑星関連記事を常々ご覧いただいている方はおわかりと思いますが、大騒ぎするほどの接近ではありません:
小惑星 | 推定直径 (m) |
接近日時 (日本時間) |
接近距離 (LD) |
---|---|---|---|
2011 ES4 | 22~49 | (地球)9月2日 01:12 (月)9月2日 13:57 |
0.32 0.22 |
(1LD=地球から月までの平均距離)
この小惑星はアポロ群に分類されています。
この小惑星が発見されたのは東北地方太平洋沖地震前の2011年3月2日で、3月6日には見失われてしまいました。わずか数日間の観測で得られたデータから軌道を計算していますので、地球と月への接近時刻には ±8時間を越える大きな誤差が見込まれています。また、地球への接近距離にも大きな幅があって、最短の場合 0.19LD、最長の場合 41.2LD とされています。
接近時の地球との相対速度は秒速8.2km(時速約2万9000km)と予報されています。
このブログでは、原則として地球から2LD以内に近づく小惑星を記事にしています。2LDよりも離れたところを通過する小惑星まで含めると、毎日数個は地球に接近しています。直径が1kmを上まわる大きな小惑星は、概ね30LDよりも遠いところを通りすぎて行きます。白亜紀末に恐竜を絶滅に追いやったとされる小惑星(あるいは彗星)の直径は少なくとも10kmはあったと推定されています。
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