2015年6月4日木曜日

冥王星の衛星が予測困難な動き


5月31日付「冥王星の衛星に何が起きているのか?」の続報です。

冥王星の衛星ニックス(Nix)とハイドラ(Hydra)が予測困難なほど不規則に揺れ動いている(wobble unpredictably)ことが、ハッブル宇宙望遠鏡による観測で明らかになりました:

「もしあなたがこれらの冥王星の衛星で暮らしているとしたら、毎日、いつ、どの方角から太陽が昇ってくるのかを予測するのは困難だろう。」

NASAは、冥王星の衛星がこのような不規則な動きをする理由を2つあげています:
1つ目の理由は、冥王星が2重惑星と言われるほど大きな衛星カロンを従えていること。冥王星とカロンは、両者の共通重心の周りを周回しているが、この重心は冥王星本体の外側にある(地球と月の場合は共通重心は地球の内部にある)。このため、冥王星系では、冥王星とカロンの回転によって重力場が周期的に大きく変動し、ニックスやハイドラのような小さな衛星の動きを不規則にする。

2つ目の理由は、ニックスとハイドラが球形ではなく、ラグビーボールのような形をしていること。残りの衛星、ケルベロス(Kerberos)とスティックス(Styx)も同様な形状をしていると考えられている。

以下は、冥王星の5つの衛星の大きさを比較した図です。右下に一部だけ描かれているのが最大の衛星カロンです。カロンは冥王星の半分ほどの大きさです。クレーターなど、表面の模様は実際のものではありません。カロンが、ほかの4衛星に比べていかに大きいか、おわかりいただけると思います:

衛星が冥王星をまわる周期に共鳴関係があることも見つかっています。「もしあなたがニックスの表面にいるとしたら、ハイドラが冥王星を3周する間に、スティックスが精確に2周するのを目撃することになる。」

また、ケルベロスの表面が豆炭(charcoal briquette)あるいはアスファルト(asphalt-black)のように暗い色をしていること、そのほかの衛星は砂に覆われているかのように明るく輝いていることも、ハッブル宇宙望遠鏡による観測で明らかになっています。

衛星の表面はどれも同じような色をしていると予想されていたので、ケルベロスだけが異なる色をしていることは研究者たちにとって驚きだったようです。土星の衛星イアペトゥスでは、表面のほぼ半分が炭の粉をまぶしたように黒くなっているのが探査機カッシーニによって発見されていますが、原因に共通性があるのでしょうか。


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